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7.新しい仲間たち


 あれから大体二週間ほどが経ちまして。

 我が家には新たに三人の仲間が増えていた。


 まずはオーガロードのソル。

 褐色の肌に襟足だけが長い黒髪と鳶色の瞳をしたガテン系の鬼のお兄さんだ。

 土いじりが好きなのか、率先して畑の世話をしている。

 時々地表に出てくる妖精さん達にも大人気の好青年だ。

 ……ただ、まあ……


「おっかん、農具が壊れてしもた。直したもんせ」

「ありゃ~……こりゃまたばっきりいったねぇ」


 力加減がうまくいかないのか、しょっちゅう道具を壊す。

 大体一日に一本、鍬が犠牲になっていたりする。

 頻度が高すぎてわざとかな?と思ったりしないでもなかったけれど、毎回申し訳なさそうにしょぼくれてるからそれはないだろう。

 うーん……やっぱりあれか?柄部分が木製だからダメなのか?

 思い切って総金属性にした方がいいだろうか……

 でもそれはそれで真ん中からぐんにゃり曲がりそうな気もする……

 どっかに折れもせず曲がりもしない丈夫な金属はないもんかねぇ……

 ……そんな都合のいいもの、ホイホイ転がってるわけないよね。

 大人しく壊れたらその都度作り直そう。


 次は夢喰い羊ドリームイーターのエニュ。

 来るべき冬に備えて、温かい素材が欲しいというルヴィニとイリスの要望でお迎えした子だ。

 外見はまんま羊である。ちょっと毛が星が瞬くようにキラキラと、いろんな色に光ってるけども。

 それと種族としては夢魔らしい。

 なんでも、善人からは悪夢を食べて良い夢を見せて、悪人には食べた悪夢の内容を強制的に見させるという言い伝えられているんだそうだ。

 ……夢魔と言ったら蠱惑的なお姉さんが思い浮かんでしまったあたり、日本のサブカルチャーに毒されてるなぁとちょっぴり一人で自己嫌悪に陥った。

 でもその日の夕食の時に、夢以外にも同じものが食べたい、と金髪碧眼の体つきがボンキュッボンな綺麗なお姉さんになった時は「あっ……やっぱり夢魔ってそういう傾向になるんだ……」とちょっぴりチベスナ顔になりかけた。

 だけどエニュが人化したことに一番ショックを受けていたのはルヴィニだった。

 人型じゃないことに仲間意識を芽生えさせてたらしい。

 翌日、一日拗ねて部屋から出てこなかった。

 なんか私が言えることじゃないけど……ドンマイ。


 三人目がマーチャントパンドラボックスのアイトリア。

 黒っぽい灰色の肌をした、金髪のポニーテールと白目部分が黒で虹彩部分が金色の瞳をしたお姉さんだ。

 ちなみにマーチャント、とだけあって商売にすごく興味があるらしい。

 私が暇な時にちまちまと作っている装飾品などをじっと見ては、良くエア算盤している。

 一度「きっと人に売れるようなクオリティじゃないから売れないと思うなぁ」と言ってみたら、物凄い剣幕で、


「何を言うてんねん!これ売らずして何を売るんや!

 これが人に売れるようなクオリティちゃうって言うんやったら世の中のもの全てがクズや!

 万が一にもこれクズやちゅう奴がおるのなら、そいつの目はとんでもない節穴や!」


 ……と思いっきり怒られた。

 なんでだ解せぬ。

 ……と思っていたら、アドバイザーさんから作ったものを一度鑑定してみることをお勧めする、とちょっぴり呆れが入った声色で言われた。

 言われたとおりに出来上がった総シルバーのアクセサリーに《鑑定》を使ってみたところ、【毒無効】なんて付加属性がついてた。

 ……そりゃあ怒られるわ。

 そういえば初めてアクセサリーを作ったとき、作り方なんて知らないはずなのに、勝手に手がぬるぬる動いてたな……

 神様の権能ェ……


 と、まあこんなことが二週間のうちに起こってました。

 そして今日。

 これから新たにもう一人仲間が増えます。

 いや、最初から仲間だったんだけどね。肉体があるかないかの違いしかなかったけどね。


「それじゃあこれからアドバイザーさんの肉体からだを創ろうと思うんだけど……」

[はいっ。どの創造石で創られるのか、とても楽しみです]


 もう声だけでテンションがダダ上がりなのが分かってしまうくらいにアドバイザーさんの声が弾んでいる。

 うん、ずいぶん待たせちゃったもんね。本当に申し訳ない。

 《アイテムボックス》から三つの創造石を取り出して、《生命創造クリーチャー・クリエイト》を発動させる。

 使うのは《魔の創造石》と《聖の創造石》、そして《人の創造石》だ。


 《生命創造》を発動した瞬間、おなじみになりつつある眩い光に視界を奪われる。

 光がおさまるとそこには……


「おや、こうなりましたか!」


 山羊の角を側頭部から生やした、白い長髪に赤い瞳をした浅黒い肌の線の細い男性が立っていた。

 ……なんだか、山羊の角がなければ、愉快犯的な別の何かを彷彿とさせるカラーリングの容姿である。

 というか、男性だったのか。

 かなりハスキーな女性のような声をしてたからてっきり女の人なのかと。


「リナ様、ありがとうございます!早速なのですが鏡を拝見してもよろしいですか?」

「うん、でもその前に、前を隠しなさい前を」

「おっと、これは失礼をいたしました」


 あらかじめ用意していた布を手渡すと、アドバイザーさんはそれを受け取って手早く腰に巻いた。

 ついで手鏡を手渡すと、その手鏡に映った自分の顔を見て「ほうほう!なかなかの美男ですね!嬉しいです!」とめちゃくちゃ喜んでいた。


「ええっと……とりあえずルヴィニとイリスのところに行こうか。服作ってもらおう」

「はい!ふふふ、これからもっともっとリナ様のお役に立てるよう尽くして参りますからね。

 まずはきっちりと身だしなみを整えませんと。

 ……ところで、執事と神父と牧師、どちらがお好みです?」

「それどういう選択肢?!」


 服のチョイスだったら普通のものでいいからね?!


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