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6.アドバイザーさんのお願い


 フォス達用の難易度の設定を終え、ついでに食材用のダンジョンも造った後、リビングで白湯を片手にゆったりとする。

 フォス達ももう与えられた自室で休んでいるから私も休んだ方がいいとは思ってはいるけれど、慣れない環境にいきなり投げ出されたせいか睡魔が訪れてくれない。


[リナ様、お休みになられないのですか?]

「あ、アドバイザーさん……あはは、ちょっと眠れなくって」

[……やはり、不安ですか?]

「……えっと。……うん。ちょっとだけ」


 だって私はまだ高校生で、親の庇護下にあったのだから。

 それがいきなり右も左もわからない異世界に放り出されたんだから不安に思わないわけがないんだ。


[リナ様……]

「まあでも、アドバイザーさんのおかげで大体の不安はなくなってるから大丈夫大丈夫!

 さぁって、明日に備えて寝ないとね。目の下にクマなんてこさえてたらフォス達に心配されちゃうかもだし」

[……リナ様。一つお願いがあるのですが、よろしいでしょうか]

「おっ?」


 アドバイザーさんのお願い?なんじゃろな?


[できたらでよろしいのですが、後二、三匹……いえ、四匹ほど《生命創造クリーチャー・クリエイト》で生き物を創って欲しいのです]

「……それまたどうして?」


 確かに人手……魔物手?は多いにこしたこたぁないけど。

 アドバイザーさんは少しの間だんまりになった後、迷いを滲ませた声色で話し始めた。


[一番初めに《生命創造》を行使した際、創造神様よりお告げをいただいたのです。

 リナ様が創造した肉の身体うつわに転移した人間の魂が宿ったと]

「ヴァッ?!」


 まさかの一緒に転移させられた人達、人外に転生させちゃった?マジで?


「……え、えっとですね、彼等に人間だった時の記憶はあるんです……?」

[うっすらとですがあるでしょうね。

 幸い犯罪者等の穢れた魂はないとのことなので大丈夫かと]

「うおお……マジですか……」


 思わず頭を抱えてテーブルに突っ伏す。

 マジか、ほぼ全員の全裸をばっちり視界におさめちゃったよ……しかも内一匹は完璧に人間の部分ないし。むしろ蜘蛛だし。


「……怒ってないかな……?」

[その点に関しては大丈夫でしょう。

 現に彼等から危害やそれに類する感情を感じることはなかったでしょう?]

「それは……そうだけど」

[……それに、そのような感情を持っているならば、貴女のことを"母"だなんて呼ばないでしょう?]

「……」


 ……それもそうか。

 っていうかあの様子でそんなことできたらプロ中のプロだわ。俳優になれる。

 それだったら人生……いや、人外生?を謳歌できるように努めるのが私の役目だよね。

 そしたら早速明日、残りの四匹……いや、四人を創造しなきゃなぁ。


「それにしても私も入れて十人も転移させられたとか多いね?

 ダークネス帝国にいるだろう魔導士半端ないな……」

[……いえ、実のところ転移させられた人間は九人でございます]

「へ?」


 でも今いる人数と合わせると十人になるよ?


[ええと、ですね。実は、わたくしも自分の身体が欲しくてですね……]

「えっ」

[何と申しますか、わたくし、自我があるスキルとして創造神様に造られたわけなのですが、今日一日過ごしてみて思うところがあったと申しますか……]

「思うところ?」


 思わず首を傾げてアドバイザーさんの言葉を反芻する。

 アドバイザーさんは[あー]だとか[うー]とかいう意味のない言葉を発した後、


[……わたくしだってリナ様に褒めていただきたいですし、頭を撫でていただきたいのですよ。

 リナ様のお役に立つのがわたくしの義務であり存在意義なのです。

 ですが自我を持つとやはり見返り……というより、ご褒美が欲しくなると申しますか]


 と、恥じ入るようにぼそぼそとつぶやいた。

 要するに、フォス達が羨ましかったと。

 アドバイザーさん、真面目な優等生キャラと思いきや、デレキャラなんです?


「うん、分かった。あ、でももう《人の創造石》残ってないな……」

[わたくしは別に人型でなくても構いませんが]

「でも下手したら喋ることができない種族になりそうで……

 だってアドバイザーさんとはたくさんお喋りしたいし」


 これは本音だ。何だったらフォス達よりも頼りに思っている。

 驚かされるようなことを結構な頻度で言われるし聞かされるけど、アドバイザーさんがいなかったら今の私はいないかもしれなかったんだし。

 そもそもアドバイザーさんがいなかったらフォス達にだって出会えていない。


[そ、そうですか……でしたら朗報がございます]

「朗報?」

[はい。《創造石》は一週間に一度、一つだけ創造することが可能でございます]


 ほうほう。

 創造神様からお詫びでいただいたものしか使っちゃいけないと思ってたわ。

 ……いや、本当に詫びなきゃいけないのは創造神様じゃないんだろうけど。

 まぁ詫びろっつって詫びるような相手でもないよなぁ。だってダークネス国家だし。

 むしろ捕まって奴隷も真っ青な仕打ちが待ってるわ。


 ……話が逸れた。

 ともかくないなら作ればいいじゃないってことね。

 早速やってみよう。

 ……、……。ええと。


「……何使って作ればいいんだろう」


 多分普通に《製造メイキング》じゃあ造り出せないものだよね。


[使用するスキルは《創造クリエイト》でございます。

 基本的に無から有を作り出す場合は"創造"とつくスキルになります]

「なるほど。……何かこれ、贈り物ギフトってぇより創造神様の権能をそのままポンと譲渡されてるような気が……」

[……]


 あ、これやっぱり権能なんだ。

 なんかアドバイザーさん気まずそうに黙っちゃったし。

 多分これ、生身の肉体があったら無言で目ぇ逸らされてるよね。

 ……これ私、本当に人里に行けなくない?

 隠しきれる気が全くしないぞ。

 ……、……。……。

 が、頑張って生きよう……うん。


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