入学式6
バスを降りると、目の前は校門だった。校門は普通科の校門と比べると、地味なものだったが、敷地は明らかに特別科の方が広い。それを見ると、隣にいた雛が言った。
「うわぁ〜、広いね〜。なんか山の中に佇むお城って感じだね。」
「うん。そうだね。」
確かにそうだった。校舎は洋風で、まさに、城、っていう雰囲気を醸し出している。
「この山全部が特別科の敷地みたいだよ。」
「えっ、そうなの!?」
雛はかなり驚いている感じだった。
(もしかしたら、他県から来た子かな。)
なぜなら、特別科に来る子はこの程度のことは知っているはずだからだ。
「みなさん、私についてきてください。」
校門を入ると、校門の外からは見えなかった施設がたくさんあった。ドーム型の競技場、よくわらない大きな四角い建物…などなど。それに加え、話によると、地下も大きな施設になっているらしい。主に魔法関係のものだが。
さっきから雛はあれなんだろう、これなんだろうとキョロキョロしている。そのポニーテールが揺れるのがなんだか子犬が尻尾を振ってるみたいで、かわいかった。
ついつい笑みがこぼれてしまった。
「ふふっ」
「どうしたの?」
「なんでもない」
「えー」
(なんか、百合を見てるみたいだな。)
百合というのは今年中学生になる、私の従者だ。ついこの前まで一緒に暮らしていたのだが、今は中学生になって、勉強に専念するために別々に暮らしている。百合は子犬みたいなでほんとにかわいい。
(だからかな、こんなに雛に親しみが湧くのは。)