入学式2
国立赤羽根大学附属高等学校。場所は東京都。最寄り駅からは徒歩10分ほどのところにある。ここは超エリート校として全国的にとても名が知れており、おそらくこの学校の名前を聞いたことがないという人はいないと言っても過言ではないだろう。卒業生には国際的な賞を受賞するなどして、偉業を成し遂げている人も数多い。そういうこともあって、この学校の生徒はとても将来を期待されている。なので、学校は勉強に対してとても厳しい。入ってから留年する人が学年の15分の1ほどで、中には退学してしまう人もいる。この学校はそういう意味でも有名だ。
学校の敷地内に入ると、少し驚いた。思っていたより校舎やグラウンドが大きく、とても開放的な雰囲気だったからだ。普段ならとても気持ちよく感じるだろう。しかし、正直今はあまり気持ちよくない。なぜなら、さっきから、いや学校に入る前からチラチラと視線を感じるのだ。人に見られるというのはあまり気持ちのいいことではない。おそらくその原因は私のこの容姿にあると思う。実を言うと、私は純粋な日本人ではない。私はイギリスと日本とのハーフだ。お母様がイギリス人だったらしい。「だったらしい」というのは私のお母様はもう亡くなってしまっていて、それに私があまりお母様の記憶がないからだ。そのため、髪は金髪までとはいかないが、日本人離れした薄い茶色で、目の色は水色だ。そして、一般的な日本人よりも肌が白い。そのためか、町を歩いていると、よく声をかけられる。やはり、目立つのだろう。
ふと、前を見ると、人だかりができていた。そして、友達と思わしき女子2人組が話している声が聞こえた。
「私、1組だった。」
「そっか、私5組だったんだ。クラス離れちゃったね。」
おそらくあの人だかりはクラス発表を見ている人たちなのだろう。
(たしか私はA組だったような。)
父親の伝手で知っているのだ。
(まあ、でも一応確認してみるか。)
人だかりに入るのは少し嫌だったが、仕方がないので突っ込んだ。何度も押されたが、なんとか見える位置までたどり着き、小さい背を精一杯伸ばした。
(あ、あった。特別科A組風月院由佳。)聞いていたとおりだった。
その後、なんとか人ごみを抜け出し、校舎へ入った。