表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

熊本県民が異世界転移した~大分の逆襲~

作者: 麦酒

( ´∀`)そっと閉じてください

ここは異世界、キューシュー大陸に人々を拒む水墨画のような山々が連なる秘境ヤバケイがある、そしてその更に奥にある魔境裏ヤバケイに魔王の城蒼の洞門があった


玉座に座る偉丈夫がいた、自らサファリパークファッションと名乗る数多の動物の皮で作られた衣装に身を包む男がいた

まるで上等のワインを嗜むように唐揚げを食している者こそ何を隠そう魔王地獄王センであった


「また勇者に草を狩られたのか?」

不機嫌を隠そうともせずに言う魔王に報告へ来た若い男性は笑顔で答える

「ヒゴーの国へ渡るアーソ山スカイラインに監視網が敷かれてるみたいですね、あそこを通る限りこちらの動きは筒抜けでしょう」

「ならば監視網を破壊せよ」

苛立つ魔王の言葉を更に笑顔を強めた男が否定する


「いえもっと良い考えがあります……ミルクロードを使うのです」

男の言葉に魔王は目を見張る

「馬鹿な、あの道は現在震災の影響で通行止めだ!ラピュタみたいな景色も見れないのだそ!」

「魔王様、すべてはこの知将トリニータンにお任せください」

男の目には既にゴールが見えているようだった、そしてゴールが見えたらシュートを打つのがこの男なのである



アーソ山の広大な草原の中そのもの達は居た、派手な黄色と赤の衣装のピエロの集団…魔王の使徒ジョイフールである

ジョイフールに強力な攻撃能力は無い、有るのは24時間走り回る事が出来る体力と絶対たるスピードだけだった

だがそれこそトリニータの必要とする物でもあった、今回トリニータンが考えた策は至ってシンプル

部隊を2つに分け、片方がミルクロードを封鎖してる砦の兵を引き付ける間にもう片方が突破し、更に突破した部隊で砦の後方から撹乱させる事で囮部隊まで突破させようというのだ

そしてそれをやり遂げるだけの速度と持久力をジョイフールは持っている、作戦が始まる前からトリニータンは成功を確信していた


《これより作戦オフサイドトラップを開始します》

《吉報を待つ、カボース》

《カボース》

通信が終わると同時に動き始めるジョイフール達…そして悲劇は始まった


「ヒゴモッコスゥゥゥウウウ!!」

大音量の奇声とともに現れたのはヒゴーの国の勇者、熊本丈クマモトジョーであった

突然の奇声で一瞬動きを止めたジョイフール達、その一瞬が彼等の命運を分けてしまった


勇者の持つ銘華カラシレン棍によって瞬く間に数を減らすジョイフール達、彼等もただやられるばかりでは無い、攻撃能力は弱いながらもそのスピードと手数で応戦するが、その攻撃はことごとく躱され一撃も喰らわせられないでいた


「安っぽい攻撃ばかりだな、もっと本気ださなきゃ俺は食らわないぜ」

挑発だと分かっていてもジョイフール達には我慢が出来なかった


《トリニータン様、セキサバーの使用許可をっ!》

《……それを至近距離で食らったら、お前達も無事では済まないぞ》

《許可を、このままでは無駄死にです》

《……許可する、奴を倒せカボース》

《必ずやカボース》


1人のジョイフールが懐から銀の容器を取り出す、これこそヒゴー国の王都で使用するばずだった毒ガス兵器セキサバーである

吸った者を生きたまま腐らせ、苦痛で身動きが取れなくなったまま殺す悪魔の兵器であった

その為本来は時限式の魔道具と併用して使う物であったが、彼は躊躇する事なくその容器を破壊した


銀色のガスが吹き出す

高濃度に圧縮されたガスは容器の破壊とともに辺りを満たす、中心に居た者を一瞬で溶解させ、勇者をそのカイナに抱く


銀色のガスの中に紫色の光が見える、勇者を中心に輝く光は次第に眩しさを増しガスを押しやっていく

「銘華武者返し、この銘華は城壁のように全ての攻撃を跳ね返す」

ヒゴー国より勇者に与えられた銘華の一つ武者返し、それは皮を剥いた小豆の如く優しい光を放ち、周囲のガスを霧散させていく


動くものが居なくなった元草原で丈は無線魔法を発動させる

《こちら丈、作戦は成功したこれより帰還する》

《こちら太平燕オオヒラツバサ銀色のガスが確認されましたけど、ご無事ですか?》

珍しく焦った声が無線越しに聞こえ鼻白むが、すぐに苦笑交じりに返答する

《クク……問題ない、腐る趣味はないからな…でもしばらくは桜納豆は食いたくないかな》

《……ご無事でなによりです、夕飯に桜納豆を用意してお待ちしております》

《聞いてた?》

《もちろんです》

丈は頭をかきながら、どうやって機嫌を直そうかと考えながら歩き出した



玉座に座る魔王地獄王センは不機嫌であった、そしてその前に座するトリニータンもいつもの笑顔は無い

「失敗したそうだな」

「……はい、今思えば監視網の情報を意図的に流出させ、私は誘い出されたかと……」

「……降格だ、しばらく頭を冷やせ」

「なっ!待って下さい!」

「くどいっ!返事はどうした」

魔王はその手に持っていた唐揚げを握り潰し一喝した

「……カボース」

「下がれ」

トリニータンが退出し場は静寂に包まれる

「勇者熊本丈よ覚えておれ、我はけしてこの大陸の覇を諦めぬぞ」

カボースってなんやねん

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ