契機
次回から三話はカタールW杯、日本代表戦の翌日に更新します。
アウェーのヴォルフ・シュタディオンに響くホームサポーターの熱狂的な、攻撃的な声援。
それを聞きながら鷲介は軽く体を動かし、センターサークル内にいるヴォルフガングらヴォルフFCのFWたちを見つめる。
今から行われるドイツリーグ第十四節はヴォルフFCとRバイエルンの試合だ。Rバイエルンは現在二位の勝ち点33に対し、ホームのヴォルフFCは現在六位の勝ち点26。
昨季ほど勝ち星を上げられていないヴォルフFCにとっては優勝争いをするため、またライバルを蹴落とすため負けられない一戦だろう。ピッチに充満している彼らの闘志は昨季と同等か、それ以上に感じられる。
システム、メンバーは昨季と変わらない。それだけにタフな試合になるのは間違いないだろう。
(まぁ負けられないのはこちらも同じなわけだが)
昨季と同じく今季も優勝争いは厳しいものとなっている。13節終了時点での順位はこうなっている。
1位 Lミュンヘン 13戦12勝1分 勝ち点37
2位 Rバイエルン 13戦10勝3分け 勝ち点33
3位 Rドルトムント 13戦10勝2分1敗 勝ち点32
4位 フランクフルトK 13戦8勝4分け一敗 勝ち点28
5位 Rゲルセンキルヒェン 13戦8勝3分け2敗 勝ち点27
6位 ヴォルフFC 13戦8勝2分け4敗 勝ち点26
Rバイエルンはこの試合引き分けか負けとなれば、昨日の試合に勝っているRドルトムントに抜かれて三位転落は確定。
また四位であるフランクフルトK、五位であるRゲルセンキルヒェンも同様に勝利しており、まだ差はあるが予断は許さない状況だ。
そして首位のLミュンヘンもしっかりと勝利しておりRバイエルンとしては下位のチームに追いつかれないため、また直接対決を残すLミュンヘンに差を広げさせないため、今日の試合は負けも引き分けも許されない。
ホームチームのヴォルフFCは前回と同じ4-3-3。メンバーもほぼ変わりない。
GKはモンテネグロ代表のファスト・サヴィッチ。DFラインは右からアメリカ代表のヒース・スペンサー、DFリーダである元オランダ代表のジョバンニ・デ・バッケル、ドイツ代表候補のザシャ・アッカーマン、元U-23ドイツ代表のコンラート・レーデ。
中盤三人、ワンボランチはドイツ代表候補に名を連ねた20歳のトビアス・クスター。ザシャと同じく元U-23ドイツ代表のローマン・エビングハウス。そしてウルグアイのガラスの天才、エクトル・アラーナ・オルネラス。
最後のスリートップ。右WGは先日の親善試合でコロンビア代表に復帰を果たしたレナト・バラシオ。左WG今季は新たに入ってきた若手選手に追いやられベンチが定位置となっていたが、途中出場してはゴールやアシストを決めてスタメンを奪い返した32歳の大ベテラン、元スペイン代表のアルドフィト・ブトラゲーニョ。
そしてCFはいわずもがな。クルトの宿敵でありドイツ代表であるヴォルフガング・カイザー。今季もチームのエースとして得点を量産している。
鷲介は後ろを振り返り今日の試合に挑む仲間たちを見る。Rバイエルンのシステムは従来通りの4-3-3。GKは怪我から復帰したアンドレアス。DF四人は右からフリオ、ジェフリー、クルト、ジュニオール。中盤三人ボランチはドミニク、両SMFはフランツとアントニオ。スリートップは右からアレックス、ジーク、そして左に鷲介だ。
主審の笛が響き、両チームの選手は積極的に前に出る。5レーンで挑むRバイエルンに対し、ヴォルフFCイレブンは昨季通り、走力と優れたポジショニングでこちらの攻撃を防ぎ、狼の群れを思わせる猛々しいカウンターで攻めてくる。
前半開始早々、切り崩した守備から抜け出したアレックスとGKの一対一、フリーとなったジークのダイレクトシュートといった場面があったがファストの飛び出しにジョバンニの体を張ったDFでゴールネットは揺らせない。
一方のヴォルフFCもエクトルの三十メートルロングシュートにヴォルフガングがペナルティエリアギリギリ外からマーカーであるクルトを強引に振り切って放ったミドルシュートがあったが、アンドレアスがゴール左上に横っ飛びしてのスーパーセーブや、体を広げたアンドレアスがしっかりキャッチしたことでしっかりとRバイエルンのゴールを守ってくれた。
一進一退の両チーム。両エースのジークとヴォルフガングが危険なシュートを放つもスコアは動かない。鷲介も相手ゴール前でシュートを放ちパスを出してはいるが食らいつくようなヴォルフFCの守備やDFたちに弾かれ、防がれる。
瞬く間に過ぎる時間。偶然視界に入った電光掲示板には前半二十五分の表示がされていた。
ヴォルフガングとクルト──同期のライバル二人が競り合いこぼれたボールをアンドレアスがクリアー。そのボールに相手チームの選手が駆け寄っていくのを見ていると、後ろにいるトビアスが声をかけてくる。
「今日も随分大人しいな。昨季のキレはもうなくなったのかな」
すでに不動のスタメン、チームの主力となっているトビアス。ドイツ代表候補にも選出されたという彼は今日もいいタイミングで鷲介やチームメイトが作ろうとしているチャンスを潰しては、Rバイエルンがピンチになるようなパスを放っている。
「別にそう言うわけじゃない。あんたが成長したように俺も変わっているだけだ。
特に最近はいろいろ考えることが多くてね」
「そう。ならそのまま考え続けていてくれ。その方が僕らとしては楽だ」
楽と言うのは鷲介がドリブルをしないからだろう。彼の言う通り今日も鷲介は5レーンを意識した動きとパスをすることがほとんど。ドリブルできそうな場面はあったが、あえてパスを選択していた。
今の鷲介はドリブルすることよりもオフ・ザ・ボールの動きでゴール前に近づくことを優先していた。──もちろん必要と思えばドリブルをする気ではあるが。
(先日のヴァレンティーアFC戦の最後でゴールをした直前の動き、あれが意図してできるようになれば……!)
ヴァレンティーア戦のあれは単純に言えば味方の作ったスペースに飛び込んだだけだ。今までもやってはいたが、あくまでボールと人の動きだけを見て行っていた。
最近はそれに加えてゴール前全体を見るようにしている。ジーク曰くそうすることでより早くスペースが生まれる瞬間を察知できるのだと。
どちらも譲らぬ状況が続く。そして前半終了間際、チャンスがやってくる。右サイドにいるアレックスに飛んだボールを見て、左ハーフレーンにいた鷲介はセンターレーンギリギリに寄ってくる。
ジークとの距離が一メートル程度しかない場所への移動。必然とヴォルフFCの守りは中央に固められる。
それを見ながら鷲介は素早く敵と味方の位置、そしてピッチを見渡す。ゴール左にスペースができると予想したその時、アレックスがセンタリングを上げてくる。
跳躍するジークとジョバンニ、そしてザシャ。しかしボールはあと少しのところで三人の元に届かず。それを見ながら鷲介は空いた左に切り返す。
そしてそこに向かってきたボールをトラップする鷲介。すぐに近くにいたヒースが寄ってくるが、それより速く鷲介はトラップしていたボールをボレーシュート。ボールはゴールネットに突き刺さる。
(なるほど。こうすればいいのか……!)
選手とボールの動きだけではなく、ピッチの状況も把握したうえでのスペースへの飛び込み。
ヴァレンティーア戦の時とは違う確かな手ごたえを感じ、味方の喜ぶ声を聞きながら、鷲介は心中で喝さいの声を上げるのだった。
◆
前半が終わり、両チームの選手が控室に戻る姿がTV画面に映る。
自室にてヴォルフFCとRバイエルンの試合を見ていたヨアヒムはコーヒーを一杯飲んで一息つく。
「先程の先制点の時の動き、狙ったのだろうか」
TVに映る前半ハイライトを見ながらヨアヒムは独りごちる。
脳裏に浮かぶ鷲介のゴールシーン。いや、正確に言えばゴールまでの動き出しだ。
開いたハーフスペースに鷲介が飛び込んだように見えるが、ヨアヒムは生まれるスペースを鷲介が先読みし、入り込んだように見えた。
ヴァレンティーアFC戦での勝ち越しゴールは完全な偶然──もしくは一か八かの結果だろう。だが先程開いたハーフスペースに飛び込む前の彼の素振りを見て、狙ったように見えた。
「……まさか、もうスペースが生まれる瞬間を察知できるようになったのか」
ゴール前に生まれるであろう穴を事前に察知して動く。自分が出した課題──ポジショニングの改善の先──彼が抱える三つの問題点が解決した先にあるものの一つ。
現在のサッカーは基本、ゾーンディフェンスを構築してスペースを潰す場合が多い。しかし陣形は生き物。試合の流れによってすぐに穴は生まれる。
しかし世界トップレベルのクラブともなれば選手一人一人の高い守備意識と危機察知能力により味方と連動してすぐにその穴を埋めてしまう。しかし優れたオフ・ザ・ボーラーの中には、そんなわずかな時間でできるスペースを察知して動く選手がいる。世界的に名が知られているのはRNSミランのエメルソンと、ユヴェントゥースTFCのバッジョが筆頭か。
今までも鷲介はオフ・ザ・ボールでスペースに飛び込みゴールやアシストをしたことはある。だがヴァレンティーアFC戦や今のゴールのようにトップレベルの相手に意図的にやったことはほぼ皆無。できたとしても偶発的か、流れの中でFWとしての本能によるものばかりだった。
しかし今、彼の動きは明らかに意図的なものを感じさせた。まさかという思いと、しかし一抹の期待がヨアヒムの胸に宿る。
(もし意図的なものならば素晴らしい。しかし問題はこれを続け、さらに自分の武器として昇華できるか)
ピッチに戻ってきた両イレブンにヨアヒムはTVに真剣な眼差しを向けるのだった。
◆
ボールがゴールに吸い込まれネットを揺らす。
訪れる一瞬の静寂、そして次の瞬間スタジアム中が歓喜の声に揺れる。
「おっしゃあああっっ!」
Rバイエルンゴール前でガッツポーズをするヴォルフガング。彼に駆け寄っていくヴォルフFCイレブンを見ながら鷲介は歯噛みする。電光掲示板のスコア表示が0-1から1-1へと切り替わる。
(やられた……!)
前半終了間際、鷲介のゴールで先制したRバイエルン。しかしその後も一進一退の状況が続いていた。
5レーンアタックでヴォルフFCの守備は崩せる。だがジョバンニのコーチングを始め互いが互いの穴を埋めるべく必死に連動、動くヴォルフFCの守りに、Rバイエルンはゴールネットを揺らせずにいた。
後半ニ十分から疲労の色が濃かったアレックスに変わりエリックが投入されたり、また鷲介もダイアゴナルランによるエリアへの侵入、カットインからのシュートを放つなどしてはいたが前半と同じくヴォルフFCイレブンが立ちはだかりゴールを死守した。
そしてヴォルフFCは後半、エクトルとヴォルフガングを中心にいくつかの危険なシーンを作っており、その努力が今、実ってしまった。後半三十分、CKからのボールをクルトとの競り合いに勝利したヴォルフガングがヘディングシュートを放ち、アンドレアスの手をかわしてゴールに突き刺さってしまったのだ。
「さぁ逆転するぜ!」
そう叫びヴォルフガングはボールを抱えて自陣に戻る。それに引きつられるようにヴォルフFCのイレブンたちも彼の後を追う。
味方から見れば頼もしいことこの上ないエース。そして敵である自分たちから見れば厄介極まりない選手だ。
(くそ……追加点が奪えていれば。
やはりあの時、ドリブルを仕掛けるべきだったか)
鷲介が後悔するのはほんの数分前のことだ。Rバイエルンのカウンターが発動し、ペナルティラインから数メートル離れた場所でトビアスと一対一となった。
反射的に突破しようと思ったが、自分よりジークがゴール近くにいたので突破すると見せかけて彼にパスを送ったのだ。結果から言うとジークはジョバンニに体を寄せられながらもシュートを放ったが、横っ飛びしたファストのスーパーセーブによりゴールを阻まれた。
そしてそのボールを拾いヴォルフFCのカウンターが発動。一気にRバイエルンゴール前まで迫るもクルトが防ぐが、その時ボールがゴール外側のラインを割りCK。そして同点に追いつかれることとなった。
「気にするな」
声がかけられたと同時、軽く背中を叩かれる。
振り向けば平然とした顔の──しかし瞳は戦意で燃えている──ジークの姿がある。
「ドリブルで突破すればチャンスだったことは間違いないが、俺へのパスも間違いじゃない。
むしろ責められるべきは得点できなかった俺のほうだ」
「ジークさん……」
「残り十五分。今まで通りのプレイを続けろ。
特に前半終了間際のゴールの切っ掛けになった、スペースが生まれる瞬間を見逃すな。いくら守備を固めても穴ができなくなることはないからな」
「もちろん、そのつもりです。ジークさんも同じようにお願いします」
「当然だ。──それともう一つ、大変だと思うが挑んでほしいこともある」
ジークの言った言葉に鷲介は絶句する。
それは今の鷲介には難しい──というか疲労している今の状態では難しすぎる。しかしチームのエースストライカーは笑って言う。
「やれると思った時でいい。もし成功すればだれかしらの決定機になるし、失敗してもフォローする。
頼むぞ」
軽いながらも信頼が籠ったジークの言葉に鷲介は頷き、彼と共にセンターサークルに向かう。
鳴り響く笛の音とサポーターの大声援を背にヴォルフFCイレブンは猛然と襲いかかってくる。
逆転するという意気込み、そして優勝争いに残るという執念が籠った彼らにRバイエルンは押され、じりじりと陣形が下がっていく。
とはいえ負けられないのはこちらも同じ。相手の攻勢に圧倒されながらも、チームメイトの誰一人として勝利を諦めた様子はない。
「ジークフリートさん! 右ハーフレーンに!」
「鷲介、もっと早くフォローしてくれ!」
「エリック! こっちにボールを寄こせ!」
後半四十分に入り、ようやくRバイエルンも攻勢に転じる。残っていた交代枠全てを使ってミュラーとアレンを投入。5レーンで相手ゴールに迫る。
先程まで攻撃に力を注いでいたヴォルフFCは一転して押されるも下がらず積極的に前に出る。敵チームのハイプレスをかわし敵陣深く侵入するRバイエルンだが、最後の最後でヴォルフFCのイレブンがゴール前に立ちはだかり得点を阻む。
「ザシャ! 底から動くな。アレックスの動きにつられてスペースができる!」
「コンラート! そこで待て! 不用意に飛び込むな!」
「ヴォルフガング、そこでキープしろ! すぐにフォローに行く!」
さながら縄張りを守る狼の群れを連想させる必死の守り。鷲介もドリブルを仕掛け、一度はパスやシュートを放っているがヴォルフFCイレブンの体を投げ出すような守りに弾かれてしまっていた。
前半のゴールの時に見えたスペースが生まれる瞬間。後半も今も察知できてはいるのだが、ヴォルフFC守備陣の動きや試合の流れで泡沫のように消えてしまう。
表示されたロスタイム三分も過ぎこのまま試合が終わるかと思った時だ、こぼれ球をトビアスが蹴り上げる。
だがそこにミュラーが駆け寄り向けた背中にボールが当たる。横に弾かれたボールが鷲介の目の前に転がってきた。
(──やれそうだ)
自分の位置、敵と味方のポジショニング。それを見て瞬間的に鷲介は思う。
もう残り時間はほぼない。ならばイチかバチか、ジークの頼まれごとを実行するよう動く。
そう思い鷲介は左サイドに開いていたアレンにパスを出すとゴール前に向かう。先程ピッチに入ったばかりのアレンはキレのあるドリブルで相手DFを突破する。
「アレンさん、こっちです!」
そう叫び、そしてジークにアイコンタクトをして鷲介は左ハーフレーンを突き進みエリアに侵入する。
ゴール正面を固めていたヴォルフFCのDFたちは鷲介の声を聞き、そして先制点と同じ位置にやってきたのを見た何名かが左にずれる。
そのため固めていた正面の守備ブロックが崩れ、微かだがスペースができた。──そしてその直後アレンがグラウンダークロスを上げ、ボールとジークが鷲介に釣られたヴォルフFCイレブンたちが移動したことでできた中央のスペースに飛び込む。
「おおおっ!」
シュート直前でジョバンニがジークの前に立ちはだかる。しかしRバイエルンのエースは一切の躊躇を見せず右足を振りぬく。
相手DFの開いた股間を通過するグラウンダーのシュート。遅れて反応したGKの手を横切り、ゴールネットに突き刺さった。
ホームサポーターの悲鳴にわずかなRバイエルンサポーターの喜びの声がスタジアムに轟くと同時、ゴールを認める笛の音と試合終了のホイッスルが耳に聞こえてくる。
2-1。土壇場での勝ち越し点。そして勝利だ。
「ジークさん! 勝ちました! そしてナイスゴールです!」
「お前もな! よくスペースを作ってくれた! 俺の得点の半分は、お前のおかげだ!」
喜び力強く抱擁してくるジーク。鷲介も歓喜の感情のままに彼の逞しい体を抱きしめる。
ジークからの頼まれごと。それは鷲介が動いて相手の守備を乱して穴──スペースを作ることだ。こちらも今までと違い人とボールだけではなく、状況を把握したうえでの動きだ。
「鷲介、この調子ならレギュラーに返り咲くのも近いぞ」
「本当ですか? 勝利に浮かれて調子のいいこと言ってません?」
「そんなことはない。ただ今日の動きをしっかりと身に付ければの話だ。考えるより早く反応できればな」
「それはそれは。道はまだ長そうですね……」
考えるより早く実行するというレベルは完全にマスターした人のそれだ。鷲介はまだまだそのレベルにはない。
鷲介は微苦笑を浮かべ、ジークと共にサポーターの元に歩いていくのだった。
◆
TV画面に映し出されている今終了したばかりのRバイエルンとヴォルフFCの試合のハイライトを見ながらヨアヒムは鷲介のことを思う。
より広い視点から味方が生み出したスペースを察知。また同じやり方で自らスペースを生み出し味方のゴールを演出。トップレベルと比べればまだまだだがこの調子ならば数年で彼らに並ぶだろう。
(流石に来年のW杯には間に合わないだろう。だが次のW杯は……)
ヨアヒムは思う。もし鷲介が自分の思う通りの成長を遂げればあのジークと肩を並べるFWになりうるだろうと。
そして彼を要する日本代表は次のW杯では優勝トロフィーを掲げることも夢ではなくなる──
「……と、いけない。夢想するのはこの辺りにしておこう」
ヨアヒムは苦笑して、脳内に浮かんだ未来の日本代表の姿を消す。
まだ来年のW杯さえ始まっていない。だというのに次のW杯の事を考えるなど早計過ぎる。
ヨアヒムが考えなければいけないのは今の代表だ。彼らに優勝トロフィーを掲げさせるために知恵を絞らなければ。
そう思い直してヨアヒムはTVを消す。そして一息入れるために部屋を出ていくのだった。
リーグ戦 8試合 5ゴール 2アシスト
カップ戦 0試合 0ゴール0アシスト
CL 2試合 2ゴール1アシスト
代表戦(三年目)1試合 1ゴール1アシスト




