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チート能力は親の金でした  作者: ぴっぴ
第1章 学園入学編
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商業ギルドと屋台

 異世界で屋台を始めて稼ぐと言う、貴族とは思えないセコイ方法で金を稼ごうとしている俺だが、現実は甘くなかった。この異世界って奴は基本的に貧乏だから組合が権力を持っているのだ、つまり商売を勝手に始める訳には行かないのだ。商売をする場合は商業ギルドに入らなくては成らないのだな、つまり会員に成るのに金を取られるのだ。そしてその金はギルドや領主の懐に入るわけだ。


「そんじゃ、バーグが代表して商業ギルドに登録してくれ。金は出すから」


「分かりました、登録料金は1万ゴールドになります」


「ふ~ん、安いのかな?」


「まあ商売の仕入れや場所の確保なんかもしてくれるので安いと思いますよ、あっちも商売が上手くいったら仕入れ代金で儲かりますからね」


 商業ギルドに入ると、商品の仕入れなんかの面倒も見てくれるのだそうだ、そして組合員がギルド内でお金を儲け合うって構造らしい。結構良いかも知れない、独占と言えば聞こえは悪いが安定性って考えれば道理には叶っているな。

 そして商業ギルドの最初のランクはFクラスなのだそうだ、取引が大きく成って商業ギルドに利益が出ると階級がドンドン上がって行って商業ギルドでの発言権が増すのだそうだ。つまり目指せAランクの商人って訳だな。ここら辺は冒険者ギルドと同じ構造みたいだ。

 商品のハンバーガーの開発は1ヶ月かけて完成した。この一ヶ月毎日ハンバーガーを食ったのだ、もう見るのも嫌な食物と化してしまった。売る商品はハンバーガーとポテト、それにエールだ。全てセットで500ゴールドにした、この値段なら平民でも買えるからだ、しかし儲けは大したこと無いのだな。バーグが最初に言ってた通り家族が一月暮らして行ける程度の儲けしか出ない計算だ。


「う~む、困ったな。これでは俺の豊かな老後は無理っぽいな」


「だから言ったじゃないですか坊ちゃん。大して儲かりませんよ、屋台なんて」


「いやまだだ!ここで諦めたら試合終了だ、俺は折角の異世界ラクラク計画を諦める気は無い!」


「資金が勿体無いですよ坊ちゃん、辞めときましょうよ」


 この1ヵ月で何とか貯まったお金は105万ゴールド。つまり俺の小遣いと食費を削った分だけだ、俺は1ゴールドも使わずにこの1ヶ月生活したのだ、学校と家との往復だけの一月だった。


「セバス!この家に売れそうなものは有るか?」


「・・・まあ有りますけど・・・、銀の食器とか・・・」


「良しそれを売ろう!運転資金が必要なのだ。初期費用をけちると失敗するからな、まあ失敗しても1ヶ月の小遣いが無くなるだけだから問題ない」


 その後、屋敷に有った銀の食器や贅沢品を売って50万ゴールド程資金を造った俺は屋台を始める事にした。


「という訳で来週から屋台を始める、用意は良いか?」


「何時でも行けるぞ!任せておけ」

「良いわよ」


 何時もの様に教室で昼飯を食っているのだが、最近仲間が増えた。ハラペコの先輩で2年生の美人さんだ。名前はマミさん、金髪ドリルヘアーの巨乳さんなのだ。この美人さんを餌にしてハンバーガーを売るのだ。そう言えばハラペコもこの一ヶ月ハンバーガーやフライドポテトを食いまくって肌ツヤが良くなって来た、よく見ると美少女に見えない事も無い様な気がする。


「頼むぞ美人達!売上は君達のスマイルに掛かっているのだ!」


「「「スマイル?」」


「そうだスマイル、笑顔で男共をたぶらかすのだ!な~に、チョット微笑めば男なんかチョロイモンダ」


「え~!!」

「良いわよ、その代わり売れたらボーナス頂戴よ」


「任せろ!」


 そして学校が終わると俺は棍棒を持ってダンジョンに向かうのだ。早い話金を稼ぐ為に冒険者になった訳だ。貴族の冒険者って言うのは結構居るから珍しくはないらしい、貧乏貴族の3男とかが小遣い稼ぎに良くやる仕事の様だ。


「うお~!!100ゴールド発見!死ね!」


 発見したスライムを棍棒でメッタ打ちして仕留める。100ゴールドの魔物なので棍棒で叩けば俺でも仕留められるのだ。消えてゆくスライムの核を拾って腰に吊るした袋に入れて次を探す、体を普通に鍛えても一円にも成らないので最近はダンジョンで棍棒振りをやっているのだ。少しは体力が着いた気がする。


 俺は初心者の上に弱いので、ダンジョンの1~2階でスライム狩りが主な仕事だ。執事のセバスが居ればもっと下の階層で稼げるのだが、今は屋台の準備で忙しいので俺はボッチだった。最初は薬草採取をしていたが、どれも似たような草ばかりだったので俺には見分けがつかなかったのだ。薬草はわからなくてもスライムは流石に俺にも分かった、それに魔物って凄く親切にあちらの方から近づいてくれるので楽チンなのだ、探す手間が省けるからな。もう少し体が出来たら次は1000ゴールドの魔物ゴブリンを狩りに行こうと思っている。


「お帰りなさい坊ちゃん、今日はスライムに食べられなかった様ですね」


「ああ、今日は少ししか服が溶けなかったぜ!俺も日夜進歩してるって事だな」


 スライムを狩るとスライムの酸で服が溶けてしまうのだ、だからスライムは冒険者には嫌われ者の魔物なのだ、せっかく買った鎧が溶かされて泣いている冒険者を時々見かける位だ。俺は普通の普段着にそこら辺で拾った棍棒でスライムを狩っているので被害は最小限だ。やはり冒険者も頭を使わないと儲からないって事だな。学校から帰って3時間程ダンジョンでスライム狩りをして儲けた金は大体1500ゴールド程だった、お金を稼ぐのは本当に大変だった。

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