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チート能力は親の金でした  作者: ぴっぴ
第3章 ゴールド無双編
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避難民を守れ

「ゴールド様、お気をつけて!」


「任しとけって、スマイルちゃんも気をつけてな」


「顔色が悪いぞ、ゴールド。大丈夫か?」


「・・・・・・大丈夫な訳ないじゃん」


 避難民を救う為に共和国軍と戦う訳だがハッキリ言って怖い。俺がチート級に強かったら腕組みして高笑いするのだろうが俺は強くない、剣で切られたら死ぬ、槍で突かれても死ぬ、弓矢で射られても死ぬのだ。腹ペコみたいに飛んできた矢を剣で切り落としたり、囲まれても余裕で切り抜ける様な強さは持って無いのだ。


「これを身に付けてじっとしていろ、危なくなったら守ってやるからな」


「うむ、頼んだぞ腹ペコ」


 総大将の俺は重いフルアーマーを着せられて椅子に座っている。フルアーマーは重いので逃げる時に邪魔になりそうで嫌なのだが、総大将は敵から物凄く狙われるので我慢して着ることにする。

 少しだけ高くなった丘の上に布陣して俺は中央に置物として座って居るのだ。防衛戦正面には魔王と呼ばれている嫁、もう一人の嫁は気球に乗って上空に待機している。俺を守るのは学生時代から俺の護衛をしている精強な騎士10人だ、そして防衛戦の中核を担うのが俺の作り出した装甲馬車。この走行馬車を連結すると高さ2mの簡易防壁と成るのだ、今回は100台の装甲馬車を連結したので一瞬で500メートル程の防壁が出来た事になる。後ろを守るのは装甲馬車から降りた兵士1000名、それと工兵200名。そして防壁の左右に難民から志願した兵士約3万人、そして相手は共和国から選抜されたそれなりに優秀な兵士5万人、圧倒的にこっちが不利な戦いだった。


「嫌だな~、せめて敵の3倍位の兵力が欲しいよな。ヘマさえしなければ勝てる数が欲しいぜ」


「そろそろですな、坊ちゃん」


「あの連中やる気満々だな、なんであんなにやる気なんだろうな?」


「我々が逃げたからではないでしょうか?」


 こちらが簡易防壁を作って待ち構えているのを見て、一瞬怯んだ様だが直ぐに立て直した様だ。こちらを驚異と見なして居ないのでやる気が溢れているのだ、そしてこちらはその戦意に飲まれて萎縮している感じだった。

 こういう場合、味方の士気の向上を図らなくては成らないのだ。でなければ一気に負けて味方が総崩れに成って指揮も制御も出来なくなってしまうのだ。


「仕方ないマーガレットを出せ!突撃を掛ける、気球の魔道部隊も出し惜しみは無しだ最初から全力攻撃を指示せよ!」


「了解しました」


 最大戦力である嫁2人を始めから突撃させる、本当は危険な事はさせたくないが突撃以外に選択肢が無いからしょうがない。


「赤薔薇騎士団出撃!」


「魔導兵団前進!」


 2人とも嬉々として出撃したが夫が後方で控えているのは何とも情けなかった。俺が嫁並みに強ければ最前線に出るのだが、俺が前線に出たら集中攻撃を受けて瞬殺される自信が有った。死ぬ事自体は何とも思わないが、司令官が殺られると味方が総崩れになって避難民まで殺られるのでここは我慢する事にする。まあ何時まで我慢できるか分からないのだが。


 戦いは魔道部隊と赤薔薇騎士団の驚異的な頑張りで互角の戦いに成っていた。少し高い位置に布陣しているので位置エネルギーを攻撃に上乗せ出来る事とバリスタとボウガンを主力平気に使ってる事が効いている様だ。しかし、2万人の兵力差をひっくり返す程では無かった。


「不味いな、味方が押されている。嫁も危ない」


「あと少し持てば日が落ちるのですが、後1時間位ですが難しいですな。後退しますか?」


「ここで下がれば総崩れだな」


 昼過ぎからの戦いは既に夕方まで続いていた、敵の進軍を魔道部隊と赤薔薇騎士団が叩いて止める戦いだ。赤薔薇騎士団も既にボロボロで限界に近かった。頼みのバリスタも残りの矢が後少しって所ろだった。ハッキリ言って負けそうなのだ。


「仕方ね~な、それじゃ行くか」


「坊ちゃん!もしかして突撃する気ですか?死にますよ」


「まあここが勝負所だからな、生きてたら又会おうぜ隊長!」


 嫁の後ろで控えているのはもう限界だ、ここで嫁を犠牲にして生き延びたとしても一生後悔するのは馬鹿らしい。俺は自由に好きな様に生きて死にたいのだ。


「うわ~はっは!腹ペコ、今行くぞ!」


 俺は陣地から飛び出して最前線、嫁の元へと走り出した。何時もの様に両手にオリハルコン製の無駄に豪華な棍棒を手に持って。


「指令官!待って下さい」


「誰が待つか、俺は行くのだ!」


 俺が突撃したので護衛や幕僚たち幹部連中も慌てて付いてくる。俺が殺られれば戦線が崩壊するので皆必死だった。これで味方のギアが一弾上がった感じになった。これで駄目ならもう駄目だろうなと心の中で思いながらの突撃だ。


「ウワ~ハッハッハ!弱い!弱いすぎるぞお前ら!」


「こらゴールド、何しに来た!」


「ハハハハ!しっかり守れよ腹ペコ。俺は弱いから直ぐに死ぬぞ!」


 嫁の傍の最前線に走って行った俺は、弱そうな敵兵を見つけて兜毎頭を粉砕してゆく。強そうな兵士の側には近寄らない、危ないからな。そして強そうな敵兵は俺の護衛の騎士達が必死に切り伏せていた、何時もの様に俺が無茶苦茶する尻拭いだ。俺の危機に2人の嫁も限界を超えて頑張りだした、彼女達は既に人間を辞めて別の何かの様だったな、例えば魔王とか勇者とか。まあ俺は弱い敵兵を見つけて棍棒で頭を砕くだけの簡単な仕事しかしてないのだが。1時間ほど敵兵の頭を砕いていたら、敵兵が寄って来なくなった、俺が居る周辺には魔道部隊の攻撃魔法と魔王が居て死を振りまいて居るからだ。周り中に敵兵の死体が積み重なっていたが、ダンジョンで毎日オークの大群とボッチで戦って小遣い稼ぎをしていた俺は意外に強かった様だった、ボッチな事にチョットだけ感謝した。


「全軍後退!」


 日が暮れ出したので両軍ともに後方に後退した。今日の戦いはここまでだ、両軍ともにボロボロでもう戦う力は残って居なかった。明日も戦えるかどうか分からなかったが、敵は後方に15万人居るのでこちらが一方的に不利な状態だった、これが数の差って奴だ。


「ふひ~、何とか生き残ったな」


「無茶する奴だ、鎧がボロボロだぞ」

「その鎧じゃ無かったら死んでますわよ」


「まあ死ぬときは死ぬから気にするな、逆に死なない時は死なないのだ」


 半日の戦いで敵も味方も随分な被害が出た、伴に兵力が半分位に成ってしまった。だが俺達の不利は変わらないので休む間もなく撤退だ、早く逃げなくては後続の共和国軍が来るかも知れないのだ。

 歩けない兵士は装甲馬車に乗せて避難民の方へと交代する、歩きながら晩飯を食べて勿論そのまま寝ずに歩く。2~3日寝ずに戦うのは兵士の基本なのだが寄せ集めの俺達には大変な事だった。



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