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チート能力は親の金でした  作者: ぴっぴ
第1章 学園入学編
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ツンデレに餌付け

 次の日の朝から早起きして体を鍛える。と言っても腕立ても腹筋も大した数は出来ないので20分で体の限界だった。ランニングも3分で終わり筋肉痛にも成らない雑魚さ加減だった。

 学校に行くまでに時間が余ったのでこの家の使用人全員を集めて会議をする事にした。全員といってもこの家の使用人は全部で3人、執事、調理師、メイドだ。そして俺を入れて全部で4人がこの屋敷にいる人間の全てだ。取り敢えず朝飯を食べながら会議をする事にした。


「第1回節約会議を開きます、全員食事をしながら忌憚のない意見をお出し下さい」


「え~と、ぼっちゃま。何故節約をするのでしょう?」


 執事のセバスチャンが使用人を代表して俺に質問した。40歳位の渋い中年の男だった。この屋敷の全般の業務と馬車の世話をしている。


「簡単に言えば、いつまで実家の金が有るか分からないからだ。今は金の鉱山のお陰で我々は豊かだが今日金が無くなる可能性だって有るのだ。そうすれば我が家は元の貧乏貴族に逆戻りだ。だから我々は将来に備える必要が有る」


「そんな・・・・・・こんな美味しい仕事が無くなるのですか」


「あくまで可能性の話だが、金が無限に有る事は絶対に無い。何時か無くなる時が必ず来る。その日が何時来るかが問題だ」


「では節約すれば何とかなるのですか?」


 俺達の飯を造ってくれる調理師のバーグが不安そうに言った。彼は俺達の食事と庭の管理を行っている、そしてこんな簡単な仕事で結構な給金を貰っているのだ。


「早い話が実家が貧乏になっても俺は普通に生活したいのだ。その為には君たちの協力が必要だ」


「私は坊ちゃんに協力します。もう貧乏はゴメンです!」


 メイドのマリーが真剣な眼差しで俺に言った。彼女は元々俺の幼馴染で元の貧乏生活を知っているのだそうだ、金が採れる様になるまえの俺の実家は、貧乏貴族のオリンピックが有ればメダルが狙える位の貧乏さだったらしい。飯は一日一食、基本的に生きるだけで精一杯の領地だったのだそうだ。


「それではこの屋敷の一月辺りの経費を書き出してくれ、今晩から節約体制に入る」


「あの~ぼっちゃま。私達の給料もカットされるのでしょうか?」


「心配するな君達の給料を減らしたりはしない。贅沢な部分をカットする」


 給料の心配をする使用人達を安心させる。俺の味方は彼らだけなのだ、給料を減らせば俺に敵対する事になるだろう。節約したうえで更に利益を与えて仲間にするのだ、俺の味方が儲かる事が分かれば彼らは俺の味方であり続けるだろう。まあ、元手が有れば金儲けなど簡単な事だ。


「しかしボッチャマ、随分な変わられようですな」


「そうそう、坊ちゃんが難しい事を言うなんて。ビックリしました」


「坊ちゃんは頭を打ってから変わったんです。普通は馬鹿になるのですが、元が馬鹿だから賢くなったのかもしれませんね。今まで動いてなかった脳ミソが動き出したんですよ!」


 何だか馬鹿にされている気もするがどうでも良い。俺の心は物凄く広いのだ、それに俺は基本的に他人は信用しない。信用するのは信頼に値する行動を見せられた後だ。


「では会議は終了だ、通常業務に戻ってくれ」


 実際問題として本当は他人に頼るのは好きじゃない。裏切る可能性が有るし、どの程度の能力が有るか全然分からないからだ。だが現状では自分の実力も置かれている現状も全く分からないので仕方ない。周りの人間の善意にかけるしか無い状態だ。状況が全く分からないので将来の計画が立てられない、全くルールを知らずにスポーツをしてるような物だな上手くやれる訳が無い。

 まあ文句ばかり言っていても問題は解決しないのでやれる事をする事にしよう。俺の今できる事は学校に行って学ぶ事だ、ついでに信頼できる仲間が欲しい所だが難しいだろうな。信頼なんてものは時間が掛かるからな、それに俺が信頼に足る人間じゃないと相手から信頼されることは無い。つまり俺も他人から信頼される行動を取らなければいけない訳だ。


「よっしゃ!3年間無遅刻無欠席で行くぞ~!」


「無理です。坊ちゃん!」


「えっ、なんで?」


「既に坊ちゃんは遅刻しまくりです!」


「さいでやすか~」


 力が抜ける真実だった、ゼロから頑張ろうと思っていたら既にマイナス評価を貰っていた様だ。このクソ餓鬼のサボリのせいで俺の人生はハードモードになりそうだ。多分誰からも好かれてないし、評価も最低だろうな、いや待てよ、不良が普通の事をすると何か良いことをしたように思われる例もある。この世界の人間も、もしかしたら俺が住んでいた世界の連中の様に勝手に勘違いしてくれるかも・・・。


「しかしとんでもね~餓鬼になったもんだな、いやいや、ゴブリンやスライムなんかになるよりマシだ、一応人間だしな、頑張れば人並み位にはなれるかも」


 そうして俺は又大きなバスケットを持って馬車で学校に運ばれて行った。そして教室に行き一番後ろの席に座る、昨日の昼に餌付けした女の子がチラチラ俺のバスケットを見ている、多分昼飯を期待しているのだろう。勿論今日も俺の嫌いな野菜サンドを全部やるつもりだ、中身が有ると重いからな。

 午前中の授業も良く分からない、一日勉強した位では理解するのは無理なようだ、当たり前だが。基礎学力ゼロで理解するのは無理の様なので、今度暇なときにもっと下の勉強からやることにしよう。それが一番早く勉強が出来る様になる方法だろうな。聞いても分からないので寝ることにする、皆の勉強の邪魔になると悪いからな。


 そして昼休み、昼飯の時間。皆は教室から出ていった、俺は昨日の女の子の隣に移動する。


「うっす、昼飯食おうぜ」


「なに!また来たの」


「何だ食わないのか?」


「どうしてもって言うなら、食べてあげても言いわよ」


 これがツンデレって奴なのか?ラノベやアニメでは必ず出てくるが実物をみると結構変な生き物だな。もっと自分に正直に生きたほうが楽だと思うのだが、俺には分からない理由が有るのかも知れないな。まあ無いかも知れんが。


「俺の嫌いな野菜サンドを食ってくれ、ついでに果物も全部やる」


「え~、果物って高いのよ。高級品なのよ!」


「高級でも嫌いなものは嫌いだ、全部やる」


 今日も俺は卵サンドとチーズサンド、それにハムサンドだけを食べる。飲み物はワインだ、俺は酒に弱いのでワインの小瓶も女にやった、高級品らしく物凄く喜んでいた。俺が変な顔をしていると、売って金に変えるのだそうだ。一本1万ゴールド位する高級品なんだそうだ、俺は飲み物無しで昼飯を終えた。胃酸が薄まるので食事の時に飲み物は極力取らない主義なのだ。それに腹がタプタプすると動けなくなるからな、世の中何が有るか分からないのだ、何時でもベストコンデションで動ける様にしておくのが正しい大人の対処法だ。寝ている状態から1秒で全力で戦闘できる様に戻すのが今の俺の目標だ、金持ちの餓鬼は危険だ、金目当てで誘拐でもされたら困るからな。


「あ・・・あの、ありがとう」


「気にするな、嫌いな物を食べてもらっただけだ」


 これがデレって奴なのか?まあ良い、一人で食べるより女の子と食事した方が楽しいからな。それに見られて居ると飯が食いにくいからな。もしかしたらこの子が俺の知りたいことを教えてくれるかも知れんしな、俺には情報が必要だ。

 そして午後の授業もサッパリ分からないまま、この日も終わってしまった。俺は今日も昼飯を食いに来ただけだった、これが日常って奴なのかな?異世界って随分退屈な所だなって思う・・・・・・おかしいな?確かラノベの転生って結構色々な問題が山積みだった様な気がしたのだが、あれかな?俺の実家が金持ちなので俺の人生イージーモードなのかな?生まれつき運が良いというチート能力が有るのかも知れんな、まあそんなあやふやな物に頼るほど俺は馬鹿じゃ無いけどな。

 

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