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チート能力は親の金でした  作者: ぴっぴ
第3章 ゴールド無双編
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もう一人の嫁は魔女

 マミ先輩がやって来た事で辺境はピリピリした雰囲気になって来た。理由は簡単、魔王である腹ペコや俺を顎で使うからだ。特に普段から緊張感の無い俺が真面目な顔をしていると部下や周りの人間が緊張するのだ、そしてその雰囲気が辺境の人間達にも伝わるらしい。


「パパが王様になっただと!一体何が有ったんだ」


「まあアレよアレ、流れって奴ね」

「良かったなゴールド、これで貴様も子爵から王子にパワーアップだぞ」

「そうそう、私たちも子爵婦人からランクアップだわ」


「良いのかそれで?」


「もうなっちゃったんだから文句言わないの」

「ワハハハ、出世したな」


 俺が辺境でチマチマやっている時に本国では、パパスやマミ先輩が頑張って反王国勢力を増やしていたのだそうだ。金と物が有り余っているグラハム領が周辺の領主を取り込んで王国の半分位を手に入れたのだが、このまま戦争に移行すると折角の領地や領民が被害を受けるのでそのまま独立を宣言して勝手にグラハム王国を建国しちゃったらしい。勿論王国や周辺国も認めていない。


「あちゃ~、勝手に独立宣言したのかよパパス」


「良いじゃない、戦争しても勝てるわよ。でもね両方に被害が出るから今は国境付近に軍隊を置いて睨み合ってる状態よ」


「フフフフ、大チャンスだな!」


「はふ~、俺の仕事が増えるってわけだな。メンドクセー」


 パパスとママスが王国を相手に睨み合ってるって事は、つまり辺境の俺が重要なポジションに居るって事だ。この辺境をまとめあげて俺も独立宣言してしまえば王国は2つの国に挟まれた状態に成って一気に不利になり瓦解してしまうだろう。これがパパスの国や王国にとって最も良い結果になるのは理解出来るのだが俺の状態が悪すぎる。本国から遠すぎて全て現地調達で辺境を切り取らなくては成らないのだ。


「任せておけい!ゴールド、お前に共和国をくれてやろう!」

「フフフ、では私はゴールドに帝国をプレゼントしますね」


「いらね~!面倒だから。俺は子爵で充分なんだ」


 2人の嫁は簡単そうに言っているが、今まで王国は出来ても共和国まで含めた帝国は誰も造った者の居ない覇道なのだ。でも、うちの嫁ならやりそうで怖い。


「でもこれだけ派手に辺境を切り取ったからには、必ず共和国と戦争になりますわ」

「うむ、間違いない」


「分かってるよ、だから一応城塞都市を造ってるんだ。ああ~後半年有ればな~」


 戦争ってのは相手が居るのでこっちに都合が良い展開には成らないのだな。大体戦争って万全の用意が出来てから起こったりはしない、双方準備不足で始まるのだ。そして双方が金と物資を潰しあって余力が有る方が勝つのだ。寡兵で大群を破るってのはタマには有るかも知れないがそれはあくまで戦術的な勝利で、戦略的には無視出来る様な些細なイレギュラーなのだ。

 まあ早い話、今共和国と戦争したら俺達は確実に負けるって話だ。相手の動員兵数15万人位に大してスマイル領の最大動員兵数は多分3万人位だと思う、これは支配地域の人口に大体依存するから結構正確な予想だと思う。この数の兵力にゴールド領の兵士2千人を加えても大して戦況は変わらないのだ。


「負けそうだな、いや絶対負ける!俺は負ける自信がある!」


「弱気はいかんぞ!戦争は気合だ、気合!」

「戦争は策略ですわ!負けなければ良いのです。何時もの様に勝てる作戦をお願いしますね」


「そんな事を言われても・・・・・・」


 俺は無い知恵を振り絞って必死に考えたが良い考えが浮かばなかった。当たり前だが兵力に差が有りすぎるのだ、俺の嫁や騎士が幾ら強くても全部で2千位の数しか居ないから当然相手が幾ら弱くても5千人以上の軍隊には勝てないのだ。まあ5千位なら何とか成る位には強いのだが。スマイル領の領民を兵士にしても人口30万人だから精々3万人位でハッキリ言って弱いから相手の3万人と互角に戦えたらラッキーだなって程度でしか無い。いまから訓練しても最低3ヶ月無いと最低限の軍事行動が取れないから間に合うかどうか微妙だしな。


「うわ~あああ!やっぱり無理」


「どこら辺が無理なのだ?言ってみろゴールド」


「兵員数が無理、こっちの3万に対して相手は15万人位は集めてくると思う」


「フフフフ、ゴールドは阿呆だな。相手が集まるまで待たなければ良かろう」


「まさか先制攻撃する気か?」


「共和国なのだから纏まりが無い兵士が集まるだけだぞ、集まる前に叩く!戦いの基本だ」


「では私は情報戦を仕掛けますわ。相手の集まりが悪くなるように、ついでにこっちに寝返って貰えれば最高ですわね」


 俺の嫁達は自信満々でお茶を飲んでいるが俺は不安だ、どう考えても勝てる道理は無いのに嫁の自信はどこから来てるんだろうな。腹ペコは何時もの様に正面突破、マミ先輩は得意の情報戦、ならば俺は新兵器開発かな?


 次の日、赤薔薇騎士団は共和国に攻め込んで行った。スマイル領から5千人程集めただけなので本格的な戦争は無理だと思うのだが魔王は自信満々で出かけて行ったのだ、まるでピクニックに行くような感じで。

 もう一人の嫁はスマイル領から胡散臭い人間を大量に集めて大金を持たせて共和国に放っていた。こっちは情報戦を仕掛けた様だった、こっちの国の良い所を大げさに宣伝して共和国が如何に酷い国なのかを民衆に広報して戦争に協力させない作戦なのだ、つまりスパイを大量に放った訳だ。彼等は兵士を集める妨害をしたり戦争が始まったら寝返って共和国に打撃を与える部隊になる訳だ。

 そして俺は兵器の開発だ、一方的に攻撃してこっちの被害は最小限にする兵器を開発して相手の戦意を低下させるのが目的だ、勿論少しは効果が有るだろうがこれで戦況が大きく変わる事は無い。いわゆる決戦兵器って言う名の苦し紛れの兵器なのだ。こうしてゴールド一家の生き残りを掛けた時間稼ぎの戦いが始まった。時間が経てば経つほど俺達は強く有利に成るのだ。

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