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チート能力は親の金でした  作者: ぴっぴ
第3章 ゴールド無双編
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坊ちゃん怒り出す

 辺境の要塞に来てから3週間、隣の共和国の領民との小競り合いは未だ続いていた。と言っても双方ともやる気が無いので負傷者は出るが死者ゼロの戦いだった。向こうの兵隊は昼飯が終わって3時位になると要塞の周りに集まってそこらの小石を拾って要塞に投げて、王国の悪口を散々言って夕飯になると帰っていくだけの簡単なお仕事だった。

 此方といえば本気になれば俺の護衛の騎士達全員でかかれば相手の100名程の兵士を殲滅出来るのだが、そんな事をして相手を怒らせたら本物の軍隊が出てきて俺達の方が殺られそうなので要塞に閉じこもって我慢している状態だった。


 という訳で俺が今何をしているのかと言うと、要塞の柵の中に投げ込まれた石を拾い集めているのだ。戦争と言うよりも雪合戦を石でやってる感じだった。これでも最初は弓等も使っていたのだが放った矢を相手に拾われてしまうので面白くないのだ、相手は高価な矢は絶対使わないで石か木切れしか投げてこないのだな。


「あ~腰がイテ~、石拾いも飽きてきたな」


「平和と言えば平和ですな、石に当たっても死人は出ませんからな」


「補給が無いから矢も使えないしな」


 そもそも粗悪とは言え革の鎧を着ているので石が当たっても何ともないのだ、顔や手に当たれば結構な被害が出るのだが、相手をしっかり見ておけば石を躱すのは意外と簡単だった。複数から一度に狙われると流石に当たるが危なくなると俺達は建物に逃げ込むので平気なのだ。相手と言えば偉く素早い連中ばかりで危なくなると森に逃げ込むのでどちらも被害者は精々運悪く鎧を身につけてない所に石が当たって痛い思いをする程度ですんでいた。


「坊ちゃん、使者が来てますよ」


「やっとか、直ぐに行く」


 補給もなしで3週間、細々と食いつなぎ。相手が投げてきた石を拾って投げ返すという屈辱的な戦いをしてきてイライラを募らせていた所にやっと王都から補給が来たようだ、だが俺は王都からの使者を見た瞬間に激怒した。


「たったこれだけなのか!」


「国王からの補給品に文句でもおありですか?ゴールド子爵」


 王都からの補給品は僅かな小麦だけだった、武器の補給も兵士の補給も全く無いのだ。早い話王都は俺達に補給をする気が全く無いって事だった。そして補給出来ない理由が、少し離れた所に大規模な要塞を造っているので余分な資材が無いと言う理由だった。


「王都は我々を舐めているのかな?」


「何だ貴様!不敬であるぞ!」


 王都の余りに露骨な態度に護衛隊長が怒り出した、王都の補給がなければ要塞の防衛は出来ないし俺の安全にも問題があるのだ。本格的な戦争になって居ないので比較的安全だが、こんな状況は何時終を告げるのかは誰にも分からないのだ。現場の兵士は最悪の状況を想定して戦うのだが、後方の安全な場所にいる連中は何時でも自分に都合の良い状況ばかりを夢見るのが普通だった。


「隊長、そこまでにしておけ」


「流石は神童ゴールド子爵、話がわかりますな」


「勿論だ、王都の考えは全て分かっている。俺が何とかするから問題ない」


 王都からの使者は王都の権威を心から信じている、王都の命令に逆らう貴族はいないのだ。つまり自分の言葉に全ての貴族が黙って従う事が当然と思っているのだ。俺がその気になれば使者も王都の連中も皆殺しに出来る事は理解出来ないのだ、常に安全な立場に居たので永久に自分が安全だと信じきっているのだ。愚かでは有るが特権階級に居る連中はこんなのが普通だった、時代の変化についていけない無能だらけになるのが伝統って奴なのだ、故に全ての王朝は滅んで新しくなるのだ。


 王都からの使者は俺が大人しく指示に従ったので安心して王都に帰って行った。俺がどう思っているかなど分かる程の能力は無いようだ、自分に与えられた仕事を果たした事で満足した様だった。多分あいつは自分がこの国の滅亡の直接の原因になった事は気づかないだろう。


「どうしますか?坊ちゃん」


「もう我慢は終わりだ、王都は敵だ!滅ぼしてやる」


「面白そうですな、では早速ゴールド領に帰り戦闘準備ですかな」


「ふふふ、そんな簡単に滅ぼす訳なかろう。チビチビ嫌がらせをして滅ぼしてやるのだ」


 直接に反乱を起こして王都に攻め込んでも勝てそうなのだが、こちらの被害が大きくなりそうなので出来ればそんな事はやりたくない。おまけに王都が隣国ともめているので両者が疲弊した瞬間に隣国が攻めてくるのは間違いない、隣国が参戦すると泥沼になって制御不能になりそうだ。そのまま戦争が長引くと俺の平穏な生活なんか望むべくも無い、つまり自分の戦力を使わずに王都には滅んでもらわなければ成らないのだ。


「坊ちゃん、自分の軍隊を使わずに王都を滅ぼす方法なんて有るんですか?」


「あるある、目の前居るじゃないか。王都が嫌いな連中が」


 何時もの様に要塞に石を投げ込んで来る連中を今回は全力で迎え撃った、とは言っても殺したりはしてない、要塞から全員で突撃して30人ほどを捕まえたのだ。


「放せチクショウー!」


「黙れ!殺すぞ!」


 30人程捕まえた連中は非常に元気だ、普通なら怯えるはずなのだが俺がこの要塞に来てから死人が出ていないので舐めてる様だった。


「この部隊のリーダーは誰だ?」


「誰が教えるかバカ野郎!」


「一度だけ警告する、大人しくしろ。このまま騒ぐなら全員殺す、そして森の中の連中も全員討伐する」


 若い俺を舐めきっているのは分かっていたが、流石に捕虜の癖に高飛車な態度は腹が立つ。冷静に立ち回ろうとしてきたが限界だ。本来の姿を見せておくのも良いかも知れない。


「やれるものならやってみろ!仲間が大勢来るぞ」


「よし、優しい時間は終わりだ。お前が望む様にしてやろう」


 捕まえた捕虜を全員縛って砦の屋上から吊り下げてやった。森からよく見えるので石を投げるのをやめるはずだ。ついでに捕虜が生きているのも分かって好都合だ。元気が有り余っている様なので2~3日飯を抜いても平気だろう、まあ平気でなくても問題ない、死にたい奴は死ねば良いのだ。


「これからどうしますか?坊ちゃん」


「よく見える所に吊るしたから、向こうから使者が来るはずだ。少しは話が分かる奴なら良いんだがな。流石にあれだけ馬鹿だと利用すら出来ないからな」


「敵の敵は味方ですかな?」


「敵の敵は利用するだけだよ隊長、味方なハズないじゃないか」


「坊ちゃんが冷静で良かったです、味方と勘違いする馬鹿がいますからね」


「心配するな隊長、俺は官僚じゃない。兵士だからな」


 戦争は最悪な事を想定して戦うものだ、特に現場に居る兵士は非常に現実的だ。なにせ自分の命が掛かっているのだ、負けて一番困るのは現場の兵士だ、後ろで喚くだけの王族や上級貴族達などどうでも良い。アイツ等は上手くいったら自分の手柄で、失敗すれば現場の兵士のせいにするだけの無能なのだ。


「見てろよ王都の無能共、俺が地獄に引きずり込んでやるからな」




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