生まれ変わったグラハム領
ド派手な戦争準備をした俺に絡んでくる上級貴族達は居なくなった、ついに俺は平穏な学園生活を手に入れたのだ。毎日休まず学園に行ってノンビリ授業を受けて、暇になるとテニスやドッチボール等のスポーツをして生活を楽しんでいた。
「平和だな~」
「少々物足りないが、のんびり昼飯を食えるって言うのも悪くは無いな」
平和なので何時もの様に腹ペコと教室で昼飯を食べている。最近では俺の領地から海山物が届くので食事の質も上がって来ていた。
「お~いゴールド、なんか用か?」
「ドワーフ先生、約束の品物が届いたよ。要るかい?」
「もしかして・・・あれか!要るいる!」
ドワーフ先生は相変わらず俺の領地で色々な物を掘り出していた。温泉に引き続きこの間は石炭の埋蔵地を見つけ出したのだ。石炭によって森林の伐採が減り、高品質の鉄製品が作れるようになったのでドワーフ先生は男爵に位が上がり更にご褒美として俺が蒸留酒の工場を作ったのだ。
「か~!うめ~なコレ!何て酒なんだ?」
「そりゃあウオッカって言う奴だ、冷やして飲むと旨いぞ」
「こんな旨い酒が飲めるならもっと掘ってやるぞ」
「また何か役に立つもの掘り出したら、今度はバーボンを作ってやるよ」
「なんだそれ?美味いのか?」
「火がつく酒だ。喉と胃が焼ける感じが良いんだぜ」
「うほ~!!!これ飲んだら直ぐに堀に行って来るぜ!」
「先生、何で色々な鉱物資源の在り処がわかるんだ?」
俺は以前から疑問に思っていた事をドワーフ先生に聞いてみた。この先生が優秀なことは分かっているが優秀過ぎるのだ、幾らドワーフが種族的に地面に愛されている種族だとしても成功率が高すぎなのだ。
「へっへっへ、そりゃあオメ~これだよ」
ドワーフの先生は曲がった金属の棒2本を取り出して俺と腹ペコに見せた。腹ペコは興味深々で見ていた。
「その棒で何するのだ?」
「この棒を持ってだな歩き回るわけだ、そうするとな、お宝が有ると棒が反応するんだぜ」
「おお~!すごい魔法の棒なのだ!欲しい」
「へへへ、今ならウオッカ2本で売ってやるよ」
このオッサン秘密をばらすつもりはまるで無いようだな、腹ペコは簡単に騙された様だが俺に詐欺は通用しないのだ。
「おっさん、ダウナーがインチキだって事はネタが上がってるんだよ。何なら試してやろうか?」
「ちっ!やっぱり駄目か、食えない奴だな」
「なんだ、嘘だったのか」
ダウジングのイカサマを暴くのは非常に簡単だ、何処かに何かを埋めて発見させれば良いだけだ。勿論インチキだからお宝を発見するのは無理なのだ。
まあ結局先生に言わせると地質学の応用で確率の高い所を採掘調査して見つけるのだそうだ、やっぱり感で見つかる様なものでは無いという事だった。全然浪曼が感じられね~結果だった。
「そう言えばお前、色々発明してるそうじゃねーか」
「まあな、工業製品や軍需製品を造ってるぜ。グラハム領は敵が多いからな」
「軍需も良いが旨いものを開発してくれ、美味いものが食いたいぞ」
「そうだな味噌や醤油をそろそろ造るか」
「美味いのか?」
「美味いぞ、これがないと人生の半分は損をしてるって代物だからな」
余裕が出来たので醤油工場と味噌工場の図面を引くことにした。農地の開拓によってグラハム領では大豆や大麦等の穀物も大量に採れるし、塩も俺の領地の製塩工場で良質な塩が大量生産されているので楽勝なのだ。そもそも味噌や醤油は田舎では自宅で作ってた位作り方は簡単なのだ。まあ酒なんかも田舎じゃ密造していた連中がいたくらい簡単なのだが。
「大変だ!息子よ!」
「終よ!この世の終わりだわ!」
3年生をのんびりやっていた所、両親が血相を変えてやって来た。俺を見るなりポロポロと涙をこぼして泣いていた。これはただ事では無いな。
「金山が・・・大事な金山が死んでしまったのだ」
「金が取れなくなったのよ!大変だわ!もうおしまいよ」
「な~んだ、そんな事ですか」
とうとうグラハム領の金山の金が枯渇したようだ。金山のお陰で1日1食の貧乏騎士から伯爵にまで成り上がった両親達にしてみれば大問題だな、だが以前から予想していた事なので何の問題もない。全ては金が無くなる事を前提として計画を立てたからな。
「大丈夫です、何の問題も有りません。全ては折込済です」
「本当か!何とかなりそうか?」
「私達毎日ごはん食べられるの?」
「フフフ、既に鉄鉱石と石炭の鉱山が金山並の利益をだしております。それ以外にも大規模農場、製塩工場各種制作工房、それに蒸留酒工場が本格始動しだせば金山の5倍程の利益を出すことが可能です。つまり金山の役目は既に終わったのです」
「何だと!今より豊かになるのか!魔法でも使ったのか?」
「まあ!何とかなるものね!流石は天才だわ、立派な息子をもてて嬉しいわ」
何とか間に合った様だな、減産して時間を稼いだ甲斐が有った、稼いだ時間で大規模農場や工場を造りまくり、優秀な人材を雇ったグラハム領は以前より強力になったのだ。これからは不安定な資源等に頼らない技術で勝負する領地になるのだ。




