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チート能力は親の金でした  作者: ぴっぴ
第1章 学園入学編
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学園2日目

 学校から帰って来た俺は猛烈に悩んでいた。毎日学校に昼飯だけを食いに行く生活が3年も続いたら頭がおかしくなってなってしまう。友達が居ないのは平気だ、一人で遊ぶのは得意だからな。でも何もせずに歳だけ取るのは我慢できん。


「マリー!晩飯は何時だ?」


「今から2時間後ですよ、早く食べたいなら特別に造ってあげますが?」


「そうか、では俺は2時間体を鍛える事にする。邪魔をしないように!」


「はあ!坊ちゃんが体を鍛える?・・・またまた詰まらない冗談を言いやがりますね!」


 メイドが失礼な事を言っているが、俺は大人だから無視する事にする。大人は一々子供の言うことに反応したりはしないのだ。


 この家の庭は結構な広さが有る、テニスコートなら2面取っても余る位の広さだ。一人で体を動かすには十分な広さだ、オマケに芝生まで生えてる豪華仕様だった。俺の実家ってどんだけ金持ちなんだろう?裏口で学校に行かせて、学校用にこんな豪華な家を買うぐらいだからかなりなものなのだろう。




「ぜ~!ぜ~!もう動けん!」


 開始5分で俺はあえなくダウンした。走ってみたが直ぐに息が切れる。腕立て伏せは5回で限界、スクワットは20回、腹筋は15回しか出来なかった。


「物凄い雑魚ですね!坊ちゃん!」


「うるせ~!!!」


 俺の不甲斐ない姿を見てメイドが爽やかに笑っていた。物凄くムカついたが雑魚なのは事実なので仕方ない。体は貧弱、精神も脆弱。これでは良いところが一つも無いではないか、早急に何とかしたいが鍛えた位で何とかなるのか?元の俺は何もしてなくても強かったから鍛え方を知らないのだ。


「おいマリー、足を持ってくれ」


「嫌です」


「ぐぬ~」


 腹筋をしようとしたが、足を持ってもらわないと出来ないのだ、仕方無いので足上げ腹筋をする。うむ、10秒位で限界のようだ。やはりあれかな?寝る前の運動が効果的とか聞いたことが有る様な・・・・・・無いような・・・・・・。まあ良い、地道に頑張れば学校を卒業するまでには人並み位にはなるかもしれない。


「よし!次だ」


 庭に落ちていた大きめの石を持って投げる。


「いて~ええええ!」


 2~3キロの石を投げようとしたら、肩がグキって鳴って激痛が走る。勿論石は足元に転がっている、こんな石ころすら投げる力が無い様だ。・・・・・・俺はこの体で運動するのを諦めた、基礎体力は幼児並しかないようだ。

 仕方ないので部屋に戻って勉強だ、体力が無くても勉強が出来れば問題ない・・・かも知れない。


「おやおや、もう尻尾を巻いて逃げるんですか?坊ちゃん」


「うるせ~!俺は勉強に生きることにする。体力馬鹿は飽きたからな」


 部屋に戻って教科書を広げて見る。薄っぺらい本が5冊、中学程度のレベルなのかな?たかが5冊程度なら2週間で完全に暗記出来るな・・・・・・等と考えていた時が有りました。


 どうもこの頭は記憶力が余り無い様だ、幾ら読んでも頭に入って来ない。書きながら大声を出して読んでみたが駄目、繰り返し読んでみても駄目。どうやらこの頭は全然勉強をしなかった様だ、脳の神経が上手く育って回路が繋がらない様だ。仕方ない、勉強出来る様な頭に作り変えるのに3ヶ月位はかかりそうだ、もしかしたらもっと掛かるかもしれんな。頭が悪くて体力も無い、これが底辺の人間って奴なのか、何だか新鮮だな。ふふ、成長が楽しみだ。


「なんて思うか~!全然面白くない!何をやっても駄目とかクソ詰まらん!」


 こんな状態で魔物に出会ったら、ゴブリンに軽く殺されるだろう。いや、その前にクラスメートに苛められて殺される事も有りうる。つまり俺は安全の為には引き籠もりをするしか無い状態だ。何か俺の武器を見つけなければ俺の将来は暗い。今は親が金持ちかも知れないが、バブルって言う奴は簡単に弾けるのだ、親が陰謀に巻き込まれて死ぬかもしれないし、俺が誘拐されて殺される事も有りうるからな。


「坊ちゃん、晩御飯ですよ~!」


「今、行く」


 俺は食堂に行って驚いた。大きなテーブルに5人前位の豪華な食事が並んでいるのだ。そしてテーブルに座っているのは俺一人。メイドは俺の後ろに控えていた。


「何だこの料理は、多すぎだろ」


「そのようですね、坊ちゃんは何時も残してました」


「マリー、一緒に食え」


「使用人は主人と一緒に食べたりしません」


「命令だ、一緒に食え。残すと勿体無い」


「命令だったら仕方ありませんね」


 俺はメイドと一緒に晩飯を食べながら色々と我が家の事について聞いてみた。兎に角情報が欲しい、俺の現状がどうなってるのか知りたいのだ。体力と学力を付けるのは当然だが、それだけで生きていけるのかどうか分からないのだ。元の世界なら遊んでいても死ぬことは無いが、異世界は命が安いかも知れない。というかニートが生きていける世界の方が異常なのだ、能力が無ければ死ぬのが普通なのだ。


 色々な話から俺の実家は金の鉱山を発見したお陰で金持ちに成ったって事が分かった。文字通りの成金って奴だった。金が見つかる前は貧乏な田舎の騎士爵だったらしい。そして掘り出した金を国王に沢山貢いだら子爵になったのだそうだ。金の力で貴族の位を2段階上げたって事だな。まあこのあたりは日本と変わらないな、金を出せば肩書きなんかは幾らでも買えるからな。

 しかし困った、金の鉱山で出世したのは良いが。金が取れなくなったら破滅するのは確定だ、オマケに資源で成り上がった人間って能力は皆無だから物凄く打たれ弱くて馬鹿なのだ、そして金目当てで近寄って来る人間に簡単に騙されて貧乏になるか破滅するのが大半を占める事を俺は知っていた。だから俺は益々追い詰められた様な気がした、明日から更に自分の平和な生活のために頑張らなくては成らない様だ。無駄遣いを辞めてヘソクリを貯めなくてはな、目標は取り敢えず3000万ゴールド位か?俺が一人前に成るまでの生活費。10年くらい地道に頑張れば手に職を付ける位は出来るだろう。


「なあマリー、相談が有るんだ」


「なんでしょう?」


「実は節約して欲しいんだ」


 俺は実家が何時までも金持ちでは居られない可能性が高い事をマリーに話した。だから余裕のある今の内に金を貯めておきたい事をマリーに話したのだ。マリー達使用人にしても今は羽振りが良いかも知れないが実家が以前の様な貧乏貴族に戻るのは困る様で俺に協力してくれる事になった。


「では私は何をすれば良いのですか?」


「今まで通りやってるフリをして節約してくれ。そして貯まった金で将来に備えよう」


「分かりました、坊ちゃんに協力します。以前の貧乏暮らしに戻りたく有りませんから」


 メイドのマリーは協力してくれる様だ。俺は一応安心して腕立て伏せを5回して寝ることにした。寝る前にチーズを食べてタンパク質も補給しておく、早く筋肉を付けなくてはな。貧乏になっても体さえ丈夫ならば何とかなるはずだ。




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