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チート能力は親の金でした  作者: ぴっぴ
第2章 学園の支配者
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今度は金賞だった

 パパスが伯爵になったり俺が子爵になったりして忙しかった2年生も早くも終わってしまった。自分の領地の面倒を見るので物凄く忙しくて大変な学年だった。一日睡眠時間が7時間しか取れない悲惨さだ、俺は一日8時間寝ないと調子が悪いのだ。

そして恒例の進級試験。嫌な予感通り今年の俺は【金賞】だった。去年の大賞に続き2年連続の順位外を受賞したのだ。今年の受賞理由は「学園の就職率歴代1位に多大なる貢献をしたため」なんだそうだ。確かに卒業生200人のうち160人は俺が雇った、お陰で今年の就職率は100%。先輩も学園長も大喜び、学園の評判も最高となり今年の学園の受験競争率は100倍を超えたって話だった。


「お~いゴールド、今回の里帰りは偉く派手だな」


「だよな、これだけの人数を移動させるのは大変なんだよ」


 試験休みに田舎に帰っているのだが、人数が凄いのだ。何時ものメンバーにプラスして卒業生が160名、孤児達が100名居るので護衛と俺達を入れて300人を超える人間のキャラバンになってしまった。食料を運ぶ馬車と人を運ぶ馬車を合わせると馬車50台、護衛騎兵20騎だから目立ってしょうがなかった。盗賊が狙いそうだが、卒業生の中には戦闘員が100人近く居るのでそこらの盗賊が100人程度で襲って来ても簡単に返り討ちにする戦力だった。


「誰も襲ってコネーな、詰まらないな」


「何だゴールド?襲って欲しいのか?」


「盗賊捕まえて働かせたかったんだがな~、働き手が欲しい・・・」


「盗賊もお前に捕まると災難だな、死ぬまでこき使われるんだな」


 グラハム家の護衛騎士の強さを知っているのか、それとも学園の卒業生が全員戦闘員としても1流なのを知っているのか盗賊は襲ってこなかった。魔物が少し出たがあっという間に討伐されて俺は魔物を見ることも出来なかった、部下が優秀過ぎて俺の出番は全然無いのだ。


「こんなに一度に移動して大丈夫なの?」


「大丈夫です、既に宿舎も孤児院も完成してます。先輩達を採用した時点で田舎に宿舎の建設を依頼しましたから」


「凄い財力だな、300人分の宿舎って結構金掛かっただろう」


「宝石がジャンジャン採れてますから平気です。高値の内に売って物に替える作戦です」


 今、田舎で産出している宝石は珍しさも有って非常に高値で売れている。市場が落ち着いて値段が下落する前に荒稼ぎして資産に替えるのだ。石ころが宿舎や優秀な人材に変わるのだから笑いが止まらないぜ。


「おお!見えたぞ!街だ」


 前回来た時よりも更に大きくなった街が見えた。現在の人口は1万人近い規模になって来た様だ、前回は3千人位の町だったから急激に成長している。伯爵領の中心都市となるので周辺からの住民の移住も進んでいる様だ。そして恒例の歓迎だが、前回よりも更に横断幕が大きく成っていた。


【金賞受賞おめでとう!ゴールド坊ちゃん!】

【郷土の誇り!サー・ゴールド子爵】

【歓迎!学園の卒業生!】

【なんか掘り出せ!サー・ドワーフ!】


 最初は恥ずかしかったが流石に3回目だと何とも思わなくなるもんだな、俺は田舎の歓迎に慣れてしまった様だ。フルオーケストラの演奏と美人達の花輪を受け取り住民に挨拶をする。俺の田舎の歓迎会を始めて見る先輩達は凄まじい田舎の歓迎ぶりに感動している様だった。


「何だか見る度に派手に成って行ってるな」


「いいじゃねーか!ショボくなるよりマシだぞ!」

「これなら晩飯も期待できるな!」


 ドワーフ先生や腹ペコは単純に喜んでいた。今回はパパスが伯爵に成った事も有って派手な宴会になりそうだ。


ゴールド「盛り上がってるか~!!!!」


先輩たち「「「「「ウエ~~~イ!!!!」」」」」


 先輩や孤児達、大勢の人間がグラハム領に引っ越して来たので大宴会が開かれている。パパスの伯爵位への昇進と俺の子爵位への就任記念も含めた大宴会だ。領民全員にタダ酒と料理が振舞われれているので城の中はもう何が何やら分からない状態になっていた。改めてグラハム領の底力を見た感じだったな、楽団、踊り子、花火等がてんこ盛の大宴会だ。


「ふへへへへ、この酒うめ~な!」

「先生、この料理もいけるぞ!」

「ゴールド君!雇ってくれて有難う!」


 先生達は酒が飲めて幸せそうだった、腹ペコや孤児達は食べきれない程の料理を喜んでいた。そして俺はと言うと既に次の作戦を考えていた。既にグラハム領は大きくなりすぎて一人の手には余ってきていたのだ。全部の計画を俺ひとりで進行させると俺が過労死してしまう・・・ならばどうするか?


「相変わらず一人だけ冷めてるのね、ゴールド君」


「やあ先輩、将来の事を考えてただけですよ」


「それで?これからどうするの?」


「フフフフ・・・勿論先輩たちに頑張ってもらいます、先輩達は俺より賢いですからね」


 卒業生160人を雇ったが大まかな内訳は戦闘員100名、内政要員60人って感じだ。戦闘員の方は騎士団に鍛えてもらえば良いだけなので簡単だ、内政要員の方はパパスの領地に40人入れて鉱山や農地開拓が円滑に行く様に頑張ってもらう、残りの20人は俺の子爵領に来てもらって海から塩を取り出す製塩工場の製作に頑張ってもらうつもりだ。両方が完成すればグラハム領は食料自給率100%を超す独立した領地になれるはずだ。


「へ~、もう人員の振り分けまで決めてるのね」


「はい!俺が楽する為には絶対に必要ですから」


 テラスで先輩と真面目な話をしていたらドワーフ先生がやって来た、先生はいくら飲んでも酔わない様で俺達の様子を見に来たのだ。この先生は抜け目が無いので油断できない人物だった。


「で?俺は何すれば良いんだ?」


「先生!海の見える露天風呂で、酒飲んだら旨いと思いませんか?」


「成程、お前の領地で温泉見つければ良いのか」


「それだけじゃ有りませんよ、先生の為に酒造りも始めようと思います。果樹園を沢山作って先ずワインの製作から始める予定です」


「うほ~!任せろ!温泉でも何でも掘り出してやるぜ!」


「で?私は何をすれば言いのかしら?内政?」


「嫌々、先輩はもっと重要な仕事が有りますから。先輩にしか出来ない仕事です」


「そんなものが有るの?」


「俺の護衛件秘書です。俺を女達から守って下さい、そして俺が暴走しかけたら止めて下さい」


「そう言えば、王家や上級貴族が騒がしいわね」


 最近グラハム領の景気が良いので王家や上級貴族が俺を取り込もうとして騒がしいのだ。俺の嫁や妾になってグラハム領の金を分捕る気なのだな。王家の王女なんかと結婚したら尻に敷かれて財産を全部取られるのが目に見える様だ、金だけじゃなくもしかしたら殺されて領地全部を取られるかも知れないくらい危険なのだ。


「先輩と腹ペコが居ないと俺の命が危ないんです」


「仕方ないわね」

「ふふん、任せておけ。私の鉄拳で守ってやる!」


「大変だな・・・お前・・・」


 俺は先輩に頼み込んで俺の特別秘書に成ってもらった。腹ペコはいつも通り俺の身近にいて腕力で色々と解決してもらう事にする。俺の領地の金や宝石を狙っているのは盗賊だけでは無いのだ、盗賊よりも恐ろしい王族や上級貴族って奴等がいるのだ。

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