2年生になった
折角進級して2年生になったのに3ヶ月も学園を休んでしまった。無遅刻無欠席どころか出席日数が足らずに留年が見えそうだ。もっともドワーフ先生と校長が裏で手を回して俺は学外実習中って事に成ってるらしい。
「ゴールド君、学園長がお呼びです、至急学園長室までおいで下さい」
「へい」
久々に学園に来たら早速呼び出しだ、それも学園長直々とはな。
「久しぶりだねゴールド君、元気だったかね?」
「お久しぶりです学園長、なんとか生きてます。非常に辛い3ヶ月でした」
「へへへ、元気そうで何よりだな。坊ちゃん」
「おやおや、サー・ドワーフ様では有りませんか。お久しぶりです」
「けっ!余計な事しやがって!」
学園長とドワーフ先生に鉱山の事を報告した。現在順調に採掘中で現場では作業員200人が鉱山を掘っている所だ、そして周囲は騎士団300人が守っている。規模が大きくなって人員が増えてきたので鉱山を中心に既に村から町が出来かけている状態なのだ。将来的には宝石の加工工房や輸送隊の基地まで出来るので人口千人を超える町になるハズだ。
「良かったな!ゴールド」
「良くねーよ!人手不足が深刻なんだよ!」
「そんなにか?」
現在我がグラハム領は深刻な人手不足なのだ。農地を開拓してるので農民候補が大量に欲しい上に新しい鉱山まで出来そうなので炭鉱夫も必要なのだ。そしてそれらの人達が増えると関連して他の職業もいる事になるのだ、よって兎に角領民が欲しい!喉から手が出るほど欲しいのだ。
「という訳で学園長、来年の卒業生は全員グラハム領に下さい」
「全員って・・・200名も居るのだが・・・」
「全員雇います、それも王国騎士の給料の倍出します!本当は後1000人位欲しいです」
「ひえ~!何と太っぱら!驚きじゃわい」
俺は領民が大量に欲しかったのだが、ただ居れば良いと言う訳でも無かった。俺は優秀な領民が欲しいのだ、働かない奴や犯罪を犯す様なクズは要らないのだ。その点この学園は王国最高の学園と言うだけの事は有って俺以外の人間は皆優秀だった、この学園の卒業生なら幾らでも欲しかったのだ。勿論彼らに農民や兵士をさせる気は全く無い、高い給料を払うのだから幹部職員になって貰いたいのだ。頭の良い人間は開発や教員に、戦闘が得意なものは騎士団の指揮官になって我が領土を盛り立てて欲しいのだ。出来る人間に単純作業をやらせるのは勿体無い、実力を出してもらいたいのだな。俺はその場を用意するだけだ、まあ自分は実力を出すのは面倒だからやらないけどな、俺は給料分しか働かないって昔自分に固く誓ったのだ。
学園長は卒業生の就職率が過去最高になりそうなのでホクホク顔だった、これで又学園長の株が上がるのだ。そして俺に恩を売れば又温泉旅行と宴会が付いてくるからね。
「任せたまえ!ゴールド君、学園を上げてグラハム領に就職の斡旋を行おう」
そして学園長が3年生の就職について説明した後は、最高学年の連中が大騒ぎしだした。コネが有って就職先が決まってる人間は平然としていたが、王国も平和が長く続いた為に経済の停滞期に入っていて、良い就職先はコネが無いと入れない状態になっていた為だ。
親のコネや賄賂を使えない優秀な人間達が次の日から俺に履歴書を持って来る様になった。なにせ俺に雇われれば好景気のグラハム領の幹部職員になれるのだ、俺の領地は今王国で尤も熱い場所だからな。
「「「「ゴールド様、履歴書でございます。何卒面接を宜しくお願いします」」」」
最上級生達が下級生の俺の元に履歴書を持って来てペコペコしている。俺は面倒なので選抜なんてチンケな事をやらずに全員面接をした、そして面接した人間を全員雇った。彼等は学園に入る際に厳しい試験をくぐり抜けているので今更選抜する必要等ないからな。それに工房や屋台関係で先輩達も結構な人数雇っていたので顔見知りも大勢いたのだ。
そして俺に雇われた事で先輩たちは俺に恩義を感じている様だが、感謝するのは俺の方だった。黙っていても優秀な人間が来てくれるので俺は毎日神に感謝を捧げていた・・・まあ、嘘ですけど、神に祈ったぐらいで幸せになれるなら人間苦労はしない。
「おいゴールド、先輩達が凄く喜んでいたぞ!」
「凄い財力ですわね」
「ハハハ、俺は馬鹿だが金だけは持ってるのだ!」
「ゴールド!私も卒業したら雇ってくれ!」
「よっしゃ!よっしゃ!任せとけ」
「ねえ、お願いがあるのだけど・・・」
「先輩のお願いなら何でも聞いて差し上げますぞ!ゴールドにおまかせ下さい、金だけは有るのですぞ!」
先輩の悩みは金の事だった。それなら俺の、いやグラハム家の得意分野だ!任せてもらおう。マミ先輩がボランティアで毎週炊き出しに行っている孤児院が存続の危機なのだそうだ。小さな子供達が食べる物や住む所が無くて困っているらしい。
「王都も最近では景気が悪くなって寄付金が集まらないの。それで孤児院の経営が難しくなって来てるの」
「成程、不景気のせいですか・・・」
「ゴールド寄付してやれ。お前なら簡単だろう」
「簡単だ、だが寄付した所で問題は解決しないな」
俺の財力なら寄付等は簡単だ、金を1億程寄付して世間体を良くするのも良いだろう。だが寄付した所で孤児達が救われる事は絶対に無いのだ、寄付金は殆どが中抜きされて孤児達に使われる事は無いのが普通だからな。孤児ではなく関係者が使うのだ、少なくとも俺の居た世界ではそうだったな。
「ではどうすれば・・・」
「任せて下さい先輩。孤児院毎、俺が貰い受けましょう。俺の領地で孤児達を引き取ります」
「豪快だなゴールド!男らしいじゃないか」
「良いのですか?随分お金が掛かりますよ」
孤児達を引き取り育てるのには時間と金が掛かる。だがグラハム領は深刻な人手不足なのだ、彼等は将来大人になってグラハム領を盛り立ててくれるはずだ。子供の頃から教育を受けさせれば優秀な領民になるし優秀な領民が増えればグラハム領は安泰だ。金や宝石等には価値は無い、真に価値が有るのは優秀な人間なのだ。
マミ先輩の知り合いの孤児院は俺が引き取って借金も肩代わりしてやった。そして俺の領地へと全員送り出すことにした、全員で30人程なので大した事は無かった。今の俺の月収は1500万ゴールド程有るので、子供達なら300人程食わせる事が出来るのだ。まあ金が有るから出来る大技って所だな、それに俺は領主の息子なのでパパスに孤児院を作って貰う様にお願いした。そしてママスには孤児や領民が無料で学べる学校の建設をお願いした。勿論パパスとママスは喜んで両方造ってくれた、優秀な人間の必要性を俺が説いたからだ。学校の教員は来年卒業する学園の卒業生を当てる予定だ、先輩たちには頑張ってもらわないといけないな。
「あの~ゴールド君・・・言いにくいんだけど・・・」
「どうしました先輩、先輩の心配顔は見たく有りませんぞ」
「それがね、他の孤児院からも助けを求められてるの」
「なんだそんな事ですか、すべてこのゴールドに任せて下さい!」
まあ予想通りだ、一箇所助けたら他の所も頼ってくるとは思っていた。人間って弱い生き物だからから助けが有ると思うと頼るのだ、甘えていると言えばその通りなのだが、今のグラハム領は人が欲しいので黙って援助する事にする。尤も王都に住まわれては丸損なので全員俺の領に連れて行くのだ、見方によっては人身売買に近いのだが、飢え死にしそうな孤児を助けているので世間からは俺や両親は聖人の様に思われていた。金さえ有れば良い人ってのは簡単になれるもんだな、金を自分じゃなくて他人に使うだけで良いのだからな。




