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チート能力は親の金でした  作者: ぴっぴ
第2章 学園の支配者
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ドワーフ先生の頑張り

 テニスの布教活動をしていると騎兵が大慌てで走ってきた。普段は冷静な騎兵が真剣な顔をしている、俺の護衛の騎士が慌てている所を始めて見た。護衛任務をしている者は護衛対象に不安を与えない様に普段はノンビリしているのだ、彼等が緊張するのは緊急事態の時だけなのだ。


「大変です!坊ちゃん、ドワーフ先生が!」


「どうした!ドワーフ先生が温泉に溺れて死んだのか!」


「いえ、違います!」


「チッ!生きてるのか・・・」


「先生が至急坊ちゃんに来て欲しいそうです」


「理由は?」


「言えないそうです、ですがただ事では無いと思います。先生が走って来ましたから」


 あの適当なオッサンが走るってのはよっぽどの事だな、温泉に入って酒飲むだけの男だったからな。仕方ない一応恩師だから出向いてみるか。

 護衛の騎士達と温泉に出向いた。城からはかなり遠く馬を飛ばしても半日掛かる距離だ。普段馬に乗らない俺には辛い行程だ、兎に角尻が痛いのだな。そして太腿で体を支えてるので太腿の内側の筋肉がツリそうだった。まあ、用事が済んだら温泉に浸かってゆっくりすることにしよう。


「ハハハハ、ゴールド!遅いぞ!」


 一緒に付いて来た腹ペコは元気だ、馬の上で揺れるのに高笑いしている。家が貧乏で馬に乗る機会がないので馬に乗るとテンションが上がるらしい。あいつこそ生まれつきの騎士って奴だった。マミ先輩も貴族のたしなみとして上手く馬に乗っていた、まあ一番下手なのが俺だな。


「なんだ~!疲れて話も出来ないのか?軟弱者!」


「ほっとけ!脳筋が!」


「ゴールド様。でももう少し乗馬の訓練が必要ですわね」


「すいません先輩、頑張ります」


 何でも上手くやる先輩にはかなわない、先輩が男だったら凄い貴族になっただろう。俺とは基本的なスペックが違うのだ、比べる気にも逆らう気にも成らないな。俺が先輩に勝てるのは鋼の精神と何処ででも生きていけるサバイバル能力位しか無いな、そもそも俺には常識がまるで無いからな。


 馬を飛ばして半日、やっと温泉に辿りつた俺達は休む暇もなくドワーフ先生達に囲まれてしまった。ドワーフ先生は薄ら笑いをしている。どうやら相当俺にとって都合の悪い事態が起きている様だ。


「何故笑ってるのかな?先生」


「ほれ!これ見てみろよ」


 先生は俺に岩の塊を押し付けた。


「なんだこれ?形が悪いから漬物石にもならねーぞ」


「馬鹿!原石だよ!原石!」


「原石?・・・宝石が混ざってる石のことか?」


「そうだ!スゲーだろ、お前の家が又金持ちになるぞ!」


「うへ~!金の次は宝石かよ!」


 宝石が出そうな鉱山を発見したのでこの場に居る全員に口止めし、現場を確保する為に騎兵隊の派遣を俺は要請した。価値の有る者が見つかるとそれを盗みに来る連中がいるためだ。金山には護衛の部隊が千人単位で駐留しているほどだ。この場所ももしかしたら重要な場所になるかも知れないのだ。どちらにしろ調査が終わるまでは領地の軍隊に守らせて他の人間は立ち入り禁止だ。


「先生、厄介なものを見つけてくれたな」


「フヘヘヘ、宝の山だったら宴会だな!」


 ドワーフ先生とその仲間がニヤニヤ笑っている。この人達は宴会のため・・・と言うか酒の為ならどんな事でもするのだ、ドワーフ族の酒好きは異常なのだ。おまけに賑やかに騒ぐのが大好きな人達なのだ、都会より俺の領地の人達と上手くやるはずの性格をしていた。


「上手くいったら宴会頼むぜ!坊ちゃん!」


「あんたは宴会の為に調査してたのか!」


「当たり前だ!旨いもの食って、旨い酒が飲めるなら幾らでも頑張ってやるぞ」

「「「そうだ!そうだ!」」」


 次の日に領地の親衛隊員100騎と調査隊がやって来た。パパスも心配してついてきたようだ。


「息子よ、一大事だと聞いたぞ!どうしたのじゃ」


「父上、どうやら又鉱山が出来そうな感じです」


「又か、面倒じゃの」


 俺もパパスも面倒なことは嫌いなのだ、今でも充分な金が有るのでもうこれ以上は望んで居なかったのだな。それよりも心静かに生きていきたいのが本音だった。


「へへへへ、領主様!こいつは凄い鉱山になりますぜ!」


「マジか!」


 ドワーフ先生が嫌な笑いをしていた。鉱山が儲かれば儲かるほど、先生の飲める酒の量が増えて行くから期待しているようだ。しかも嫌な事に先生と言うくらいだから鉱山については物凄く詳しいのだ、国一番の学校の教師をしている位だから国でもトップクラスの発掘調査員なのだな。

 その後の専門家の調査でも先生の見解と同じく、将来有望とされたのでこの場所は中隊規模の騎兵の駐屯地となり鉱山の開発が行われる事になった。


「父上、鉱山に名前をつけましょう!」


「おお、いい考えだな。なんて名前にする?」


「ドワーフ先生が見つけたからドワーフ鉱山にしましょう!そしてドワーフ先生の偉業を称えるのです!」


「止めてくれ!」


 にやにや笑いをしていたドワーフ先生にムカついたので、俺はパパスに進言して鉱山の名前をドワーフ鉱山にしてやった。ついでにパパスに頼んで先生に騎士爵を与えた、これで先生も貴族の端くれになったのだ、平民と違って貴族のしきたりと世間の目を気にして生きて行かなくてはならなくなったのだな。余計な事をするからこうなるのだ。

 折角ののんびりするハズの里帰りは散々だった、テニスの広報活動に工房の建設、屋台の開店、鉱山の開発と目白押しだ。温泉に浸かってのんびりする計画は俺だけには無かった、他の人達は楽しそうに温泉に浸かって疲れをとっていたのが羨ましかった。そしてその費用は全て領主持ちだった。


「ウエ~ヘッヘ!ゴールド、また温泉に来ような!」


「もうあんたは誘わないからな!俺の仕事が増えたじゃねーか!」


「「「「ぶ~!!!!!!」」」」


 タダで温泉に浸かって毎日宴会をして楽しんでいた人達は盛大にブ~イングを上げていた。しかし俺だけ忙しいのは納得がいかん、俺だってのんびりしたかったのだが。両親による「儂は何をして良いのか全然分からないな。息子よ、任せたぞ!」「そうよ!今こそ大賞の力を見せる時だわ!」という鶴の一言によって鉱山開発の責任者にされてしまったのだ。


 それから毎日俺は関係者と話し合い、鉱山開発を秘密裏に運んでいったのだな。ただし金山の開発を行って居た経験が有る者が多かったので予想以上に開発は順調に進んでいった。その間俺は学校を休学したのだが、先生や校長による工作によって現場で実習中と言う扱いになり全科目出席って事に成っていた。


 鉱山開発の目処がたって俺が学園に戻れたのは暑くなってからだった。2年生の春は鉱山開発で始まった訳だ、そして帰れば直ぐに中間試験という間の悪さだった。

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