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回宮
廃妃宅に尚宮が訪れた。府院君や紅雲府夫人は復位の知らせかと思い込んで踊り出した。
廃妃の部屋に尚宮が入ると彼女は驚いた。尚宮はなんと慶華だったのである。
「お久しゅうございます」
「何故、中殿媽媽が!?」
「どうしてもお会いしたくて参りました」
慶華は廃妃の目の前に腰を下ろした。
「近いうちに回宮なさいます」
「どういうことですか?」
「公主の生母として回宮するのです」
「公主の生母は中殿媽媽です」
廃妃はぶっきらぼうに言うと顔を背けた。それでも慶華はゆっくりと話を続ける。
「母子の情は断ち切れません。それに左承旨から聞きました。私のために公主を犠牲に…」
「止めて!」
「公主は生母を恋しがっています!それだけは…お忘れなきよう」
そう言うと黙って慶華は部屋を後にした。




