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保身
大妃は話した。あの日、控え室に趙氏付きの金尚宮が入っていたのを全尚宮が突き止めたこと、全てが趙氏の指示だったことを。
「趙氏…なんて女なの!直ぐに趙氏と金尚宮をを連れてきなさい!」
大王大妃の命令で雲珠坊から白衣姿の趙氏と金尚宮が連れてこられた。趙氏は大王大妃の御前であってもふてぶてしい表情を浮かべている。
「大王大妃媽媽、ご機嫌よう。宮廷に帰還できて何よりでしたわね」
「趙氏、お前は相変わらずだわね。いいわ、それくらいが張り合いがあって。単刀直入に聞くわ。嬪宮をすり替えたのはお前の仕業か?」
「そうよ?そう答えたら淑媛くらいには復位させてくれるのかしら?」
趙氏の隣にいた金尚宮は内心で冷や汗をかいていた。趙氏の徴発的な態度で大王大妃の怒りが自分にも降りかかってこないか心配だったのである。




