善花
王妃張氏が誕生日を迎えた。その日、慶華は靖安君を連れて交泰殿に訪れた。正殿に通されると趙淑儀や外命婦、天月府夫人が王妃と雑談していた。
「中殿媽媽、ご機嫌麗しく」
「あら、楊良媛。それに靖安君まで」
王妃は両手を広げた。慶華は靖安君を一度、全尚宮に預けると彼女はそのまま王妃に靖安君を抱かせた。
すると天月府夫人が言った。
「鼻筋が通っていて立派な顔立ちですわ」
「そうね。目は良媛に似ているわ。女の子だったら大変な器量良しになるわ」
すると趙淑儀が言った。
「良媛の顔は麗華、翠娥という形容詞には当てはまりませんものね」
「何をおっしゃいますか。淑儀媽媽の方がお美しいですわ」
すると趙淑儀は頬に手を当てため息をついた。その仕草が艶かしい。
「枯れていく一方よ。愛されているうちが花よ」
「淑儀らしい言い方だわ」
王妃は靖安君を抱きながら言った。そこに盆を持った内人が現れた。
「淑儀媽媽、頼まれていた茶菓子をお持ちしました」
「善花ありがとう」
王妃は善花を見つめる。
「見かけない顔だわ」
「最近、笄礼を済ませたのです。気が利くので側仕えにしました」
すると思い出したかのように天月府夫人が言った。




