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原案3 事故⇒異世界召喚③

なんてことだ……。


3話で収まりきらないとは。


次でオープニング設定のラストです。

・封印の間へ


封印の間を開けられるのは王族のみという事で王子と王女が同行する。さらに好奇心から他のメンバーも付いてきていた。王が主人公を天使の力を引き出す道具の様に考えている事は態度から丸分かりだった。主人公は天使と契約した後、自分が国のために働くと決めつけている王に呆れていた。王子は悪い予感がして落ち着かなかった。覇王は異世界人を道具として見る王に不信感を募らせていた。王女は勇者なら天使の封印を解けると信じ、解放された天使は勇者と国に助力してくれると根拠も無く考えていた。勇者はそんな王女の態度に困惑していた。そして王子は迷いながらも封印の扉を開く。


王城の地下に存在する封印の間。王城と同じくらいのサイズはあろうかという巨大空間。そこには巨大な水晶が鎮座し、その周囲を円柱状の積層型魔法陣が囲んでいた。その水晶の中心にソレはいた。天使と聞いて羽のある人間をイメージしていた者は多かったが、それは人型をしていなかった。6対12枚の純白の翼を持つ白銀の大蛇。それが天使の正体だった。王子の説明によると、水晶が天使を封じる物質化するほど高密度の封印結界。周囲の積層魔法陣は封印から漏れ出す聖属性の魔力を収束し、王族が利用できるようにする変換装置だということだった。


しばらく呆気に取られていた一同。封印状態にありながら天使の放つ力は圧倒的で、それなりに強くなったはずの彼らを委縮させるほどだったのだ。気を取り直して水晶に近づく主人公。他のメンバーも恐る恐る近づいて行く。天使とコンタクトを取ろうとするが強力な封印はビクともしない。王女に乞われて勇者も封印を破ろうとするがまるで効かない。覇王は、そもそもなぜこの天使はこんなところで封印されているのか王子に問いただす。しかし、王子も知らされていないし、王もおそらく知らないということだった。なんでも天使について記された重要な機密文書を、何代か前の王が錯乱し焼き捨ててしまったというのだ。仮に可能だとしても、本当に封印を解いて良いものなのかと疑問に思い始める一同。主人公も封印に阻まれ手が出せない。その時、主人公の脳裏に声が響く。


〈枷を緩めよう。右目でよく視ることだ〉


瞬間、主人公の全身に魔力が漲る。さらに右目が黄金の竜眼に変わったのだが、それに気付いたものはいなかった。時空竜の右目は封印を解析し、天使の情報も解析する。人間の脳が処理できる限界を超えた作業だったが、それはアイオーンが片手間に行い結果のみを主人公に送信する。そして主人公は意識を天使に接続する事に成功し、この天使が何者なのかを知る。


・告発の聖蛇


かつて神は人と共にあった。神は数多の眷属と共に人を導いた。神が降臨し滞在した地は現在でも聖地とされている。最高神の1柱、法の神が降臨した地こそ主人公たちが召喚された国だった。法の神の役目は多種多様な生物が必要以上の衝突を起こさない様に調停する事。つまりは世界共通の法、倫理観や道徳心と呼ばれるものを浸透させることであった。法の神には12の最高位の天使が付き従い、その下に数多の天使が存在した。その中には、およそ天使というイメージからかけ離れた役目を持つ者もいた。『彼』もその内の1柱だった。天使たちは人を導くという役職上人に似通った姿をしていた。しかし。彼は翼蛇という異質な姿から『聖蛇』の通称で呼ばれていた。彼の役目は罪人の告発。世界を監視し綻びを見つけ、それを法の神に伝える事。法の神はその報告を基に他の天使たちに指示を出した。『告発の聖蛇サタネル』の名は神聖にして畏怖されるものであった。


しかし、12の最高位の天使の中でサタネルだけがある疑問を持つようになった。人を完全に正しく導く事などできるのか? できるとしても、それは人のためになるのか、と。他の11の天使は情報を送信する側だが、サタネルだけは情報を受信する側だった。故に彼は人という存在に近づきすぎてしまったのかもしれない。修正しても修正しても次々に起こるエラー。サタネルは不完全である事こそ人である証なのではないかと結論付けた。そうなると主は無駄な作業を延々と繰り返しているだけという事になる。サタネルは法の神に、もう人間に干渉する必要はないのではないかと提案した。創造主である法の神に意見する。これは本来あり得ない機能であり、その時点でサタネルは堕天使となっていたのかもしれない。法の神はサタネルの意見を却下した。法の神にとって人はまだ幼子であり、守り導く対象だったからだ。どちらも人の事を考えているのに、その考えは真逆だった。


そこでサタネルが引けば、その後の歴史は変わっていただろう。だが、彼は引かず法の神に人間の本質を見せるために行動を起こした。最高位の天使の中でも上位の存在が、神に背き堕天した瞬間だった。彼は法の神のお膝元、最も安定した地に一つの術式をもたらした。それは天使を隷属させ使役できる秘術。12天使と一部を除く中位以下の天使は自我を持たぬゴーレムのような存在であり、高位天使たちが命じた通りに動く働き蜂のような存在だ。だが、それでも人をはるかに超える力を持っている事は間違いない。最初は畏れ多いとして利用する者はいなかった。だが、1人2人と使役者が現れると、その後は爆発的に広がった。犯罪に使う者も現れ、対抗するために人々はさらに天使を求めた。法の神が気付いた時には、聖地の民は天使を武器として周辺の国々を蹂躙し始めていた。法の神は慌ててコードを変更して術式を無効化し、天使を全て引き上げさせた。意気消沈する法の神と高位天使たち。「もう一度天使を使わせてくれ」と言う聖地の民の声を背にサタネルは法の神に告発した。


〈これが人という種族です。彼らは生まれながらに罪を背負っているのです。完全に正しく染め上げる事などできない。できたとしたら、それはもう人ではない。不完全だからこそ人は人。我々の様に役目を持って創られた存在とは違うのです〉


法の神はその告発を受け入れた。実は他の神々ももう十分と判断し、現世から手を引き始めていた。法の神が過保護すぎというのも間違ってはいなかったのだ。だが、悲しみが、無力感が渦巻く事を抑える事はできなかった。自分の愛を無意味と断じたサタネルを必死に許そうとした。何故ならサタネルの行動も人を、そして法の神を愛するが故の行動であったからだ。彼の行いは人を『神の愛』という枷から解き放ったのだ。たとえその結果が混沌であったとしても、彼の言う通りそれこそが人の本質なのだろう。自分よりも長く近くで人を見続けてきたサタネルは、自分より人を理解しているのだ。彼の考えは間違っていない。だが、彼の行いは裁かねばならなかった。彼は天使の使役法を人に流すという大罪を犯したのだから。


法の神はサタネルを水晶結界に封印し聖地に落とした。そして全ての天使を引き連れて現世を離れた。封印は神か天使の力で解除できるようにしておいた。封印の周囲には漏れ出すサタネルの魔力を蓄積し、変換利用できる術式を設置した。数十年も魔力を蓄え、その魔力を封印に逆流させれば封印は解けるのだ。ただしそれは、人がサタネルを解放しようと思えばの話だ。法の神は聖地の民にサタネルの封印を解く事も出来るし、その力を利用する事も出来ると伝え、去った。そして聖地の民はサタネルの力を利用する事を選んだ。やがて聖地は国となり、封印の天使の真実は機密文書に記され秘匿された。天使の力を人に付与する方法が開発され、国は天使を食い物に発展した。さらに時は過ぎ、ある王が機密文書を読んで錯乱し、処分してしまった。プライドは高いが小心だったかの王は、先祖の犯した罪が漏れる事を恐れたのだ。


さらに時は過ぎる。天使の力はサタネル本体から離れすぎると失われた。故に国もその力の及ぶ範囲より広げられなくなっていた。更なる領土拡張を望む王は天使の力を防衛戦力と割り切り、侵攻のための戦力として異世界召喚を行う事にした。本来なら膨大な対価と大規模な儀式が必要だが、サタネルの力を数年蓄えれば実行は可能だった。そして召喚魔法は実行され、向こう側で更なる魔力供給が起きた事で予想よりも大人数の異世界人が召喚された。そして



白昼夢から覚める様に意識を取り戻した主人公。後ろを見ると他のメンバーも呆然としている。封印の間にいた全員が今の映像を見たのだ。王国の真実に呆然とする王族。困惑する異世界人達。もう1度水晶に目を向ける主人公。水晶の中心では聖蛇がその眼を開いていた。主人公の触れていた場所から水晶に亀裂が走る。右目を通じて注がれたアイオーンの神力によって封印が解かれたのだ。積層魔法陣が弾け飛び、水晶が砕け散る。砕けた水晶は光の粒子と化し、聖蛇に吸い込まれていく。蕾が開くように翼が広がり、蛇体が伸ばされる。圧倒的な存在感と神々しさ。悠久の時を経て、告発の聖蛇の封印は解かれた。


サタネルのモデルは当然、大人気のサタン。


あとサマエルとかマステマ(マンセマット)とか悪魔的な側面を持つ天使たちですね。

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