原案2 ゲーム⇒異世界 プロローグ設定
新年1回目の投稿です。
・プロローグ
ゲーム世界
その日、ゲームではオルクスが主催した大会が開かれていた。景品が主人公の提供によるドラゴンの卵という事もあり、大会は大賑わいだった。試合は順調に進み、観客も合わせて1万を超えるプレイヤーが熱狂していた。しかし、突然会場の上空に亀裂が走り、そこから異形の怪物が出現した。
異世界
世界は滅亡の危機に瀕していた。その世界ではある新興宗教組織が問題視されていた。彼らの教義とは神に至る事。彼らはその実現のためにはあらゆることを正当化した。あらゆる国が、全ての種族が彼らを排除しようとした。彼らは聖遺物を盗み出し、聖獣精霊あらゆる高位存在を襲い、実験で数多の犠牲者を出していた。光があれば闇がある、世界に絶望した者達は決していなくならず、邪教徒達は決して滅びなかった。
そして、遂にその時が来てしまう。気の遠くなるような試行錯誤の末に、彼らは恐るべき秘術を生み出した。それは複数の生命体の霊体を一つに融合させる術。彼らはその秘術を使い『1人』となった。万を超える邪教徒達は1体の高位存在となった。ソレは世界を喰らいだした。古の神は世界と同化し消え去ったと言われているが、ソレは世界を己に同化させようとしたのだ。
ソレは偽りの神『偽神』と名付けられた。世界中が全力を持って偽神を滅ぼそうとした。しかし、誕生の段階で神獣、聖獣、魔獣、精霊、天使、悪魔といった高位存在の断片を取り込んでいた偽神の力は圧倒的だった。数多の勇者英雄がなすすべも無く破れ、喰われていった。もはや偽神を滅ぼす手段は存在しなかった。
追い詰められた人類は一つの手段を考案した。しかし、それは無責任で、恥知らずで、最低の方法だった。それでも、その方法にすがる以外に手段は残されていなかった。それは偽神を異世界に放逐するという方法だった。もちろん、放逐先が滅びないように術式が組まれた。転移先の世界は偽神を倒しうる者が存在するか、偽神が本来の力を発揮できない世界が選ばれるように設定したのだ。
偽神によって既に滅ぼされた島で準備は行われた。
異世界放逐魔法の準備には膨大な時間がかかる。
世界中の勇士達が己を犠牲に偽神を足止めし、その悉くが散っていった。
そして遂に準備が完了する。
偽神は強い魔力に惹かれる。
異世界放逐魔法を起動させると、偽神は自ら島へとやってきた。
そして魔法が発動する。
発生した次元の亀裂に飲み込まれていく偽神。
しかし、魔法が不完全なのか偽神が強すぎるのか上半身が呑み込まれたところで止まってしまう。
失敗かと悲壮感が漂う中、気付いた。
偽神が苦しんでいる。
亀裂の向こうの何者かによって攻撃を受けているのだ。
誰が何をしても揺るがなかった存在が苦しんでいる。
人類は固唾を飲んで見守る事しかできなかった。
ゲーム世界
突然現れた異形の怪物。
しかし、ここはゲームの世界であり、突然イベントが始まる事もある。
大会の熱狂も手伝い、怪物に挑むプレイヤー達。
しかし、冷静なプレイヤーは異変に気付く。
まず、亀裂の向こうにある部分には攻撃が当たらない。
何か壁のようなものが存在するようで、亀裂の向こう側には行けない。
そして怪物のHPバーと名前が表示されない。
主人公とオルクスは戦闘力の低いプレイヤー達を避難させる。
しかし、そこで驚愕の事態に気付く。
プレイヤーがログアウトできない。
そして痛覚遮断システムが機能していない。
徐々に事態の異常性が判明していく。
そして遂にあり得ない事態が起こる。
ダメージを受けたプレイヤーのアバターが血を流している事が解ったのだ。
まるでリアルの様に。
偽神はゲームの世界に捕らわれた事で不死身ではなくなった。
しかし、世界を取り込んだ偽神を受け入れた事で、ゲームの世界が現実化していたのだ。
GMへのコールも無効、もはや自分達で怪物を倒す以外に解決する手段は無かった。
飛空艇や騎乗モンスターをフルに使い避難を続けるプレイヤー達。
オルクスは避難誘導に専念し、主人公は精鋭の上位プレイヤーと共に偽神と戦う。
負傷したプレイヤーは即座に後方に下がり、回復して復帰する。
しかし、いくら倉庫内に大量のアイテムがあっても、持ち出せるのはその一部。
徐々に回復手段は尽き、プレイヤー達は離脱していく。
世界融合
永遠に続くかと思われた戦いにも遂に決着の時が来る。
主人公が振るう最強装備『神龍牙』が偽神の核を貫く。
本来なら偽神に核など無いが、ゲームのボスとして定義された結果、弱点部位が発生したのだ。
偽神の体内に切り込んだ主人公は、そこで狂気に染まった老人に出会う。
それは自らを神の座に押し上げようとした男。
そのなれの果てだと主人公は知る由も無い。
主人公の一撃が老人を切り裂き、核を失った偽神は崩壊した。
崩れ去る偽神。
しかし、そこで想定外の事が起こる。
偽神の崩壊と共に、プレイヤーの侵入を拒んでいた障壁が崩れ去ったのだ。
そして亀裂は猛烈な勢いでゲームの世界を吸い込み始める。
偽神の残骸と共に吸い込まれていく主人公。
偽神は世界を自身に吸収していた。
元の世界で倒されていれば、そのリソースは還元されていた。
しかし、異世界であるゲームの世界で倒されたため、元の世界には巨大な欠落が出来てしまった。
それを補填するために偽神消滅の余波で世界の壁が消えた瞬間、ゲームの世界を取り込み始めたのだ。
天が地が、人が物が亀裂に吸い込まれ消えていく。
偽神と戦っていた上級プレイヤー達も、避難していた一般プレイヤー達も次々に吸い込まれていく。
亀裂はゲーム世界の8割を飲み込み、ようやく消滅する。
そして構成データの8割を失ったゲーム世界は消滅する。
亀裂に巻き込まれなかった一部のプレイヤーは強制ログアウトされ目を覚ます。
しかし、亀裂に飲み込まれたプレイヤー達は植物状態となり、二度と目覚める事は無かった。
この事件は度重なる調査にもかかわらず、原因も事件の詳細も一切不明であった。
生還者の証言も空想じみた要領を得ないものであり、現代のミステリーとして記憶されることになる。
一時は業界の存続も危ぶまれたが、そうはならなかった。
原因もセキュリティが働かなかった理由も不明であり、システム的な問題は一切無かったからだ。
同じ事件が2度起きなかった事もあり、やがては記憶の彼方に事件は消えていった
新世界
それは新たなる天地創造であった。
偽神の消滅、それだけで事は終わらなかったのだ。
次元の亀裂からは世界の断片が押し寄せ、パズルのピースの様に世界を埋めていった。
山が森がダンジョンが、果ては町や村が突然世界に現れたのだ。
そして、そこには住人が存在した。
異世界の人類とモンスター達である。
現地人と異世界人の衝突が起こるのは必然であった。
現地人にしてみれば自分の土地に突然よそ者が現れたのだ。
警戒するのは当然だし、言う事を聞かせようとするだろう。
異世界人にすれば突然訳の解らない世界に放り込まれたのだ。
従えと言われて素直に従えるはずも無い。
ましてや、自分達の町や家が一緒にこの世界に来ているのだ。
彼らにとってその町や家は自分の物である。
大小様々ないざこざが起き、それが国家レベルにまで発展するのに時間はかからなかった。
異世界人は種族の他にプレイヤーとNPCという2つのグループに分かれていた。
NPCは温和で従順な傾向が目立つが、プレイヤーには良く従うのに現地人にはどこか冷淡であった。
プレイヤーは自己主張が激しい傾向があるが1人1人が強者であり、成長速度が凄まじかった。
単体で見れば異世界人の方が遥かに強いが、彼らにも弱点はあった。
まずは数が少ない。
多め見ても10万程度、1億を超える現地人とは比べ物にならない。
そして彼らは国という形にまとまっていない。
少人数が世界中に散らばっており、それを纏めるような指導者もいなかった。
これには一つ理由があった。
山や森、ダンジョンと言った地形は速やかに融合したが、生物はそうではなかったのだ。
次元の亀裂に吸い込まれた者達は、後で吸い込まれた者達ほど先に新世界に送り出されたのだ。
偽神と戦った精鋭や避難誘導を行っていた指導者たちは、この時点ではまだいなかったのだ。
そしてそれは、事情をよく知らない者達が先に送り出されたということでもある。
彼らの大半はゲームと現実の区別がつかず、自分勝手に振る舞い軋轢を大きくした。
そしてついに、現地人たちは総力を挙げて異世界人たちを制圧することを決定した。
彼らの世界に偽神を押し付けたという罪悪感もあったが、一部のプレイヤーの行動はエスカレートし続けたのだ。
今、世界にいる異世界人の中にそれ程圧倒的な強者がいなかった事もその選択を後押しした。
世界に散らばった異世界の断片の情報を得るために捕縛を優先したが、抵抗する者は殺害された。
初めは躊躇っていた現地人も慣れてしまい、異世界人狩りは徐々に悲惨な方向へと進んでいく。
しかし、そこで更なる転機が訪れた。
初期と同等かそれ以上の数の異世界人の流入。
そして、その中に存在する圧倒的な強者たち、指導者たち。
『冥王』オルクスや偽神と戦った精鋭たちが遂に現れたのだ。
戦況は一変した。
1人で一国を落とすような強者達によって、異世界人狩りをしていた国は蹂躙された。
いくつもの国が崩壊し、異世界人たちは開放されていった。
異世界人たちは国こそ作らなかったが互助組織を設立し、領土を持たぬ国家となった。
その初代リーダーに選ばれたのはオルクスであった。
オルクスは敵対するだけでは先が無いと判断し、現地国家との交渉に乗り出す。
異世界人も法を犯せば犯罪者であるとし、その処罰に協力するとも申し出た。
その結果、3分の2ほどの国家と条約を結び停戦する事になる。
残りの3分の1は独裁国家や覇権国家であり、異世界人を戦力として手に入れようと強硬姿勢を貫いた。
オルクス達はあえて攻め落とそうとはしなかったが、それらの国とは距離を取った。
しかし、オルクス達に反発してコミュニティを脱退、それらの国と接触するプレイヤーも存在した。
そして世界融合から10年、ようやく世界は落ち着きを見せ始めた。
次元の亀裂は小さくなり、最後に異世界人が送り込まれてから数年、新たな異世界人は現れなかった。
しかし、コミュニティは亀裂の監視を続けていた。
今更、元の世界に帰れるとは思っていない。
目的は別にあった。
そして、ある日、突然、亀裂は消え去った。
その情報が入るやコミュニティは、オルクスは動き出した。
彼を迎え入れるために。
神殺しの戦竜王
広大な草原に一人の青年が倒れていた。
身に纏う装備品の魔力だけで周辺の魔物は尻尾を巻いて逃げ出すほどだ。
見た目は人間だが頭には2本の竜の角が生えている。
竜人の特徴である。
彼は最初の一人にして最後の一人。
偽神を滅ぼした神殺し。
〈エクストラ・ミッション『偽神討伐』をクリア〉
〈レベルキャップ開放 レベル256に到達しました〉
〈ランクアップ 種族がハイ・ドラゴノイドからドラゴノイド・ハイロードに進化します〉
やがて青年の目がゆっくりと開かれる。
額、右目、左胸、右手の甲、左の掌、5か所に刻まれた刻印が薄く輝く。
彼の半身とも言える者達とのリンクが再接続される。
新世界の空の上を彷徨う竜達の楽園。
そこを統べる5体の竜達が同時に気付く。
だが、彼らは動かない、動けない。
主の最後に下した『浮遊島を守れ』という命令に、忠実に従っているがゆえに。
だから彼らは待ち続ける。
先程までより希望に満ちた心で。
長き時を経て、遂にこの浮遊島に真の主が帰還する
再会の時が近い事を彼らは疑っていなかった。
う~ん、どうにもザ・ニュ〇・ゲー〇な感じがぬぐえない……。
オリジナルが難しいご時世になりましたねぇ。