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壱 漆黒の少女

テスト2日前

自分は何をしているのだろうか……

 何も無い田舎の道を16歳くらいの少女が歩いていた。様相は黒、黒、黒と黒づくめだった。


 「お嬢さん、こんなところ通って何処に行くんだい?」

 農作業をしていると思われる老婆が少女に声をかけた。その額には汗の玉が浮かんでいる。


 「この向こうの山に知り合いが住んでいるんですよ」

 少女は笑みを返しなが言った。


「あの山にねぇ。あんた大丈夫なのかい?あの山は深くて地元の者でも滅多に近付かないんだよ」 老婆は目を丸くして言った。

 「大丈夫ですよ。何回も行った事がありますから」


「大変だねぇ。ところでなんでそんな暑そうな格好をしているんだい?」

 言われて少女は自分の姿を見直してみた。黒い膝まであるコートを羽織、黒いブーツをはいたその姿は確かに暑そうだった。


「これには理由があるんですよ」

 少女は苦笑いしながら答えた。次の瞬間、横の茂みから男達が少女にとびかかってきた。 少女は素早く男達の様子を確認した。男達の数は三人、全員両刃の剣をもっていて兜をしている為に顔は見えない。

そして一番後ろを走っている男がリーダーなのか鎧が他の者の鎧と装飾が違っている。

少女は腰に挿した一対の刀を抜き、一番最初に近付いてきた男に向け右手の刀を横に一閃した。


「一人」

 続いて右側から降り下ろされた剣を左手の刀で左側へ受け流す。その剣は左側に忍び寄っていた男の腹を切り裂く。 

「二人」 

味方を切り裂いてしまったリーダーの様な男はすっかりバランスを崩し少女の右手に握られている刀に右腕を切り落とされる。それまでの動き 約4秒、まるで滞りの無い動きで三人を仕留めた。その姿は踊っているかの様に美しいものだった。


「三人。さぁ早く帰りなさい。そして貴方のボスに伝えなさい。私を捕まえたかったら後100人は必要だってね」

 腕を切り落とした男に少女は表情を変えずに言った。

「この傷の恨み忘れはしないぞシルテア・アズ」 男はそう言って無くなった右腕の付け根を押さえながら駆けて行った。


「ふぅ」

 少女は男が駆けて行ったのを確認してか息をついた。その横では老婆が腰を着いている。


「これが黒い服を着ている理由です。黒い服なら血の色が目立たないんで」

 少女・・・シルテアは少し悲しそうに言った。黒い服を着ていることによる暑さもむせ返るような血の臭いもシルテアにとっては日常的になってしまっていた。シルテアは今まで気付いていなかったその事が少しショックだった。


「あんたいったい何者なんだい」

 老婆は腰を抜かした状態のまま尋ねた。


「私はシルテア。シルテア・アズ。目的も無いまま只生きているだけの存在……」 シルテアはそれだけ言うと山の方に歩いて行くのだった。

次回予告

シルテアはある男と再会する。そして

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