チキンからの卒業
まぁ、すいません。最後の言葉嘘です。
はい。俺みたいなチキン野郎が大人の階段登れるわけないじゃないですか。
あ、ちょっとエロいシーン期待した方々すいません。俺生まれた時からMr,チキン野郎なんで。
「ごめんね、朱。」
珈琲を淹れながら申し訳なさそうに謝る美桜
「だから、大丈夫だって。今日位は不安だろ?」
あっ、今のかっこよくね?
「…………ありがとう。珈琲ブラック?」
「いや、砂糖3つ。」
はい。台無しー。
でも俺甘党だから。
苦いのとか無理無理。
「ふふっ、朱は昔から甘いの好きだよね。」
可愛らしく笑う美桜。
知ってた?男は皆、狼なのさ!!!!
「はい。」
え………?
目の前に置かれる珈琲。
あ、珈琲ね。びっくりしたぁ。
ホカホカと湯気を立てるソレは眼鏡を曇らせる天才だろう。
じっと珈琲を見つめる俺の姿はとても奇妙だろう。けどね言葉が見つかんないんですよねー。誰か教えてくれよっ!
そんな情けない事を考えていると美桜が俺の横に腰掛ける。…ち、近くないですか。
いや、俺童貞なんですよ。まぁ嘘だけど。
と見せかけてこれも嘘ッ!真実はたった一つ!
「まぁ、しょうがないだろ。あんな物届いて。」
珈琲を啜り、言う。その時、美桜の表情が曇る。俺はそんな美桜を慰めるように自分の肩に引き寄せる。言っとくけど恋人じゃないからな。安心したんか美桜はゆっくりと目を閉じた。
「―――――朱ぅ。」
あ、やっちまた。
室内に甘ったるい声が伝う。
「やぁ、美桜。」
「もう、私は美桜じゃなくて椿だってば。」
美桜――いや椿は悪戯を考え付いた子供のように笑い俺に甘えてくる。
仄かに香る香水に少し目眩を覚える。
「ねぇ、朱なんで最近、会いに来てくれないのぉ?椿寂しいよ?」
俺の上に股がり、何故か制服のボタンに手をかける彼女。
「何で服脱ごうとしてんの?」
「えー、二人きりの男女がスル事なんて一つでしょ?――愛してるわ。」
そう言い俺の唇に重なる。
舌と舌が絡みあい唾液が混ざる。
「でも、この体って一応私のだし。」
ははは。そうきましたか。
「それに今夜の事は本気で怖かったのよ。だから癒してよ。」
笑顔を向ける。けれども何処か妖しい。
「いいの?」
「うん!」
はぁ、今夜は徹夜ですかねー。まぁチキンですが大人の階段登っちゃうねー。
「上等。」
そのまま俺は【美桜】ではなく【椿】をソファの上に押し倒した。
「んぅ……あぁぁんっ!!」
軋むベッドのスプリング。
皺が無かったシーツがクシャクシャに歪む
「しゅう………朱ッ!!」
瞳に涙を浮かべ林檎のように真っ赤に頬を紅潮させる椿。
「やめる……?」
「だめ……もっと朱が欲しい!!!」
椿が揺れ動くたびに白桃のような乳房が揺れる。顔も真っ赤になってゆく。
その姿が俺の嗜虐心を煽る。
「もう、無理……だめっ!!」
「いつでも、いいよ!」
瞬間、椿は快楽の絶頂を迎えた。
隣で、Tシャツを着せた美桜がスヤスヤと寝息をたてる。目元が紅潮してるけど。
俺はズボンだけ履いてベッドから出てキッチンで水を飲む。
ふと、近くにあった包丁が目に入る。
そうだ。明日から犯人探ししなきゃな。
それから椿にも会いに行って。
うわぁ、やることだらけ。もしかすると人生最大のモテキ?
そんな下らないことを考えながら取りあえず睡眠をとるべく、ソファに横になった。
同じベッドにいたら目覚めた美桜に殺されるからね。