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虚像

「美桜ッ!!」

電話を貰って、俺は無我夢中で美桜の通う塾へと走った。

俺は叫ぶと同時に明かりがついた室内と真っ暗な外を繋ぐ、扉を壊れるんじゃないかってくらいの勢いで開いた。

風がビュウびゅう吹く外と違い、完璧に空調が設備され快適な空間が完備された場所で数人の生徒と先生に囲まれ、心配されている中心に顔を真っ青にした美桜は、涙を流しながら座っていた。


「朱!」


美桜は俺を見るなり輪の中心を抜け俺に飛びついてくる。

「のわっ!!」

体勢を崩すのは本日二回目。

けれど、今回は先ほどのようにうまく、持ち直せずそのまま地面に倒れこむ。

美桜は俺の肩に顔を埋めると、そのまま泣く。

うーん。どうしたものか・・・・。

そんなこんなで思っていると、美桜を囲んでいた生徒達が駆け寄ってくれて、オレンジ色のボディを誇る美桜の携帯画面を見せる。

「不破くん、これなんだけど・・・」

綺麗な栗色の髪を両サイドを束ねた、いかにもおしとやかそうな少女が美桜を心配そうに見ながら言う。

そして、俺は渡された携帯の文面を黙読する。


《美桜へ

   僕は、ずっと君を見ているよ。

   早く、君が僕に気づいてくれる事を願ってるよ。

   愛している》


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?

いや、こんなに行数とって一文字とかごめんなさい。

もう一度言っておきますが、ごめんなさい。

いやいや、何この文面。

キモイでしょ。つか《ずっと》とか俺の方が長いですからね?

張り合う所じゃないんですけど、貼り合わせてもらいます。

俺の方が長いから!!!


「とつ、ぜん来たの・・・・。帰ろうとおもったら突然・・・」

嗚咽混じりにいう美桜。

「分かった分かったから。」

俺は安心させるように頭をわしゃわしゃとする。

「あー、美桜は俺、送ってくんで……」

そう言い、美桜を支えながら立ち上がる。

「美桜、なんかあったら電話頂戴?すぐにいくから。」

先程の少女が美桜の顔は除きこみながら言う

と美桜は小さく「ありがとう」と言う。

そして、小さく会釈し俺と美桜は塾を後にした。


真っ暗な道の中を無言で歩き続けるのも中々の拷問だな。

「ごめんね。」

「何が?」

「こんなことで呼び出して………。」

申し訳なさそうに首を垂れる美桜。

「いいの。」

まぁ、多少ぶっきらぼうだったがしんないけど、美桜は少し顔を赤らめる。

美桜の家はマンションで一人暮らし。

塾から真っ直ぐの所にあるので、もう到着だ。

「ほい、到着。寂しくなったら、お電話いつでもどーぞ。」

そう言い俺も帰路につこうとする。


その時、


「ん?」


俺の制服の裾を摘まむ美桜の姿があった。


「きょ、今日は帰んないで………」




あー、俺大人の階段登っちゃうかも

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