タイトル未定2026/01/29 18:04
短大のグループ講義が終わり、和やかなムードになった。
「何処かによってく?」などという会話が上がり水田若菜も誘われたが、若菜は「用事があるから」と言って断った。
若菜は教室を出て、キャンパス内を歩き、繁華街に向かって歩いた。
咄嗟に「用事があるから」と言ったが、用事なんてなかった。
若菜は数日前から何者かにつけられたり、鳴りやまない非通知電話「ストーカー」に悩まされていた。
そんなある日、若菜は気分転換に買い物に出かけた。
買い物を終え家に帰ろうとした時、また若菜は後をつけられた。
恐ろしくなった若菜はbar「ジェシカ」に逃げ込み、マスターにストーカーに悩んでいたことを打ち明けた。
心配をしたマスターは、若菜と一緒に帰った。
マスターと一緒に歩いていると、再びストーカーにつけられた。
マスターは身体を張って、ストーカーを撃退した。
若菜をストーカーから守ったマスターは、力尽きたように地面に座り込んだ。
そんなマスターを、若菜は抱きしめキスをした。
マスターと肩を並べ笑いながら、一緒に歩いたこと。
マスターが身体を張って、ストーカーを撃退したこと。
力を尽くして座り込んだマスターを、抱きしめキスをしたこと。
全てが夢のようだったが、現実だった。
ストーカー被害にあい、真っ先に思い浮かべたのは赤井だったのに、またマスターが離れない。
この想いを思いきり、誰かに打ち明けたい。
それとは、裏腹に自分の中に閉まっておきたい。
気がつくと、目の前は水田菓子メーカーの本社だった。
営業部に勤める、馬場と友光ちはるを思い出した。
二人には、励まされたな。
ファミレスで、食事をしたことを思い出す。
食後のバナナサンドのパンケーキ、美味しかった。
大きな身体をした馬場が、溢れそうな程のホイップクリームに埋もれていたバナナサンドのパンケーキを夢中で食べている姿は可愛かった。
思い出して、思わず笑ってしまった。
マスターのことは、忘れられない。
忘れなくていい。
今自分がすべきことは、赤井ともう一度やり直すことだ。
若菜は、歩き出した。




