タイトル未定2026/01/29 18:22
診療時間が終わり、マスターが受け持っている診療室から、マスターと看護師長の紫野緑と一緒に出てきた。
緑は待合室のブラインドを下ろしながら、ソファーに座っていたマスターに言った。
「先生、お見合いはどうでしたか?」
「養子を迎えた子供の母親になろうと言う、変わった女性なんていませんよ」
「じゃあ、破談?」
「破談も何も、はじめから無理な話です」
そう言うと、院長であるマスターの父親が来た。
マスターと緑が挨拶をすると、父親は苦虫を噛み切った顔をして言った。
「せっかくのお見合いだったのに、お見合いの場に子供を連れて来るなんて」
「大門を連れて行くのが、条件だっただろ。大門を連れて行こうが、行かまいが、お見合いはうまくいかないよ」
ブラインドを下げていた緑は、クスクス笑っていた。
そんな緑に気が付いたのか、父親はマスターから離れていった。
マスターは、父親の背中に言葉を投げた。
「今後お見合い話があっても、全て断ってください」
父親が居なくなると、緑はマスターの隣に座った。
マスターは、緑の肩にもたれた。
「もう、やめてほしいよ」
「お疲れ様です。先生、診療中にも指輪をしていますね。それに二つも」
「指輪をはめていれば、妻帯者だって思わせることができるでしょ」
「奥さんは、どんな人ですか?」
「怖〜い、看護師長の緑さんです」
緑は、声をあげて笑った。
「先生、流花ちゃんとはうまくいってる?」
「今日ラインを送りました。土曜日大門と三人で、出かけます」
「何処へ出かけるの?」
「まだ、決めていません」
「二人で、出かけたりしないの?」
「それは……」
「二人で出かけるなら、大門君見てあげるわよ」
「出かけているのを、大門と尾行をしてそうですね」
「あらっ、わかっちゃった」
マスターと緑は、声をあげて笑った。
「前にも、緑さんとこんな風に話しましたね」
「そうだったわね。迷惑?」
「いえ、癒されます」
「流花ちゃんのこと好きなんでしょ。これから、どうするの?」
「さぁ……彼女の気持ちを大切にしたいです」




