ふたりの王女①
第2章 ふたりの王女
ルリウス星の草原。
幼い美理と啓作が歩いている。
「(ああ、これは父が行方不明になった日だ)」
ふと気づくと啓作がいない。
「兄さん?兄さん、どこ?」
風の音。
「兄さーん・・」
目が覚める。
病室。心配そうに見つめるピンニョとリナがいる。
オズマの声がする。
「一兵にすぎないお前の持つ情報などしれたものなのに、負担をかけてすまなかった」
オズマは首を垂れる。王子ともあろう人の意外過ぎる行動に美理は驚く。
「トスーゴと地球人の混血は前例が無い。お前の激しい胸痛は心臓のミトコンドリア遺伝子が不完全なためだ。遺伝子変換治療で完全なトスーゴになれば治癒するはずだ」
「え?」
「このままではお前は死ぬ」
「!!」
<スペースインパルス>医務室の一角に薄暗いエリアがある。
小さな水槽のような装置を眺めているのはグレイだ。
これは人工子宮で、中には彼と亡き妻ショーンとの子供(胎児)がいる。
グレイは無言で我が子を見つめる。そっと装置に触れる。
時折ショーンの声や歌声が流れる。生前に彼女が録音したものもあるが、多くはA.I.が作ったものだ。
ふいに腕時計型通信機が震える。
「どうした?」
『戦闘長。至急メインブリッジにお越しください』
「わかった」
グレイは足早に医務室を後にする
M33銀河中心ブラックホール。その近くの人工惑星ギガロ。
トスーゴ艦隊が襲来する。約50隻。
ギガロの前に<スペースインパルス>が立ちふさがる。
「各主砲、狙え!」
メインブリッジ・主戦闘席のグレイの命を受け、二列に並んだ主砲が右舷を向く。
「撃て!」
一斉発射。
一撃で数隻のトスーゴ戦艦<バノラス>が木っ端微塵に吹き飛ぶ。
撃ちもらした敵に対しホーミングアローの洗礼。
次から次に敵艦が迫る。
インパルス・メインブリッジ。
流は髭を触りながら「ここは連中にとってよほど重要な拠点だったようだな」
「モカ、援軍はまだなのかい?」アベルが訊く。
「作戦成功と同時に連絡したのですが・・」
「10時方向下方70度より新たな敵艦隊、約60隻」
クリスの報告を受け、主操縦席のエヴァンスは操縦桿をたおす。
インパルスは転針する。群がる敵の真っただ中へ。
「全砲門開け!」
インパルスより発進した重装甲特別機はギガロに着陸?していた。
ギガロは数万光年先の星をも破壊する銀河跳躍砲のコントロール基地である。至近距離にワープアウトしたインパルスに向けて放たれた砲の直撃を受け自滅した。だがそのエネルギーは対艦用に低出力のためギガロを破壊するには至っていない。
超重力下高密度空間でも飛行可能なこの特別機から降り立ったのは重装甲兵四体。
それらをインパルスから遠隔操作しているのはアラン、リュウ、ガルム、ボッケンだ。ボッケンの装甲兵は特注のケンタウルスタイプ、四本足に二本腕。地球決戦で玄武が使用したパワードスーツに酷似している(スーツと違い無人遠隔操作)。そしてもう一人、明はヘルメットしているもののいつもの姿だ。
「おまえの格好は反則だ。リアリティがない。ESPバリアーだと?だからエスパーは嫌いなんだ」リュウの言葉は負け惜しみにしか聞こえない。
重装甲兵は動きが鈍い。明はスキップしてリュウを挑発する。
「凄いな。もう自己修復が始まっている」マイペースのアランは壁を触りながら進む。
ギガロは無人基地である。機能停止した基地を復旧させるべく“上陸”したアラン達だったが、“招かれざる客“だったようで、基地のガードシステムが次々と襲いかかってきた。
ガルム(の装甲兵)はビームマシンガンを乱射しながら進軍する。
通路の壁から蛇のような砲台がせり出して ビームを発射。
明がESPバリアーで防ぐ。
ガルムが手榴弾を投げる。
前方で炸裂。新兵器のバリアーアタック手榴弾だ。
機能停止した砲台をリュウが銃撃する。
後方より敵のガードロボットが出現。毛虫のような形状をしている。
その銃が火を噴く前にボッケンは接近しビームブレードで真っ二つに斬り裂く。
「動きが遅い。手ってやっぱやりにくい」ボッケンは厳しい感想を言う。
アランは端末を壁の装置に繋ぐ。基地内部をスキャンする。
「ここだ」コントロールセンターを突き止める。
明に場所を教える。
「了解」
明はテレポートで消える。
残りの一行はガードシステムと戦いながら基地の深部へ。中枢部コントロールセンターと思われる扉の前に立つ。
扉が開く。
センターを制圧した明が立っていた。
アランは直ちに基地の復旧に取り組む。ここまでは順調だ。
ふいにリュウとガルムの装甲兵の動きが止まる。
「何だ?どうした?」
ふたりは答えない。
インパルス艦内の遠隔操作室でふたりは気を失っていた。




