反トスーゴの狼煙⑦
ワープアウト。
ガクン。先程の宇宙気流など比べ物にならない衝撃が艦を襲う。
左に流される!明は必死に操縦桿をもどすが、キープできない。
―銀河中心部の巨大ブラックホール―
・・眼前に惑星ギガロ、その正体は惑星級の大要塞。周囲に無数の銀河跳躍砲のエネルギー施設と大艦隊。その真っただ中にワープアウトしたのだ。
「近すぎる!スーパーノヴァボンバーは使えない」
流が命ずる。
「バリアーアタック!」
アベルがスイッチを押す。
インパルス周囲へバリアーの光が広がる。バリアーを武器に転じた兵器。
それに触れた敵艦はエンジンが止まり機能を停止する。欠点は味方にも作用する事と(今回は単独行動なので問題なし)使用後バリアーが30秒間弱くなる事。
「ワープブースター排除!」
「全砲門開け!」
「ウィングサーベル展開!」
「敵要塞へ接近!前方下部砲塔は要塞を狙え!残りは護衛艦隊を攻撃!砲撃戦準備!」
<スペースインパルス>は一直線に要塞へ向う。
主砲発射。
主砲弾は左へ逸れていく。ブラックホールの超重力のせいだ。
「重力補正どうした?」グレイの檄がとぶ。
イグニスは後部左側部の第11砲塔の副主任となった。
「補正完了」
主任はキキイ星人のハット。待望の乗艦。相棒のラーは第8砲塔の主任だ。
「ワープブースターを狙う!」ハットはスコープをのぞきながら「こんなにずれるのか・・、発射!」
主砲弾は放物線を描きながら進み、ワープブースターに命中。
爆発。追撃して来た敵艦数十隻を巻き込む。
次々と発射される主砲、ミサイル、次元衝撃砲、ホーミングアロー、爆雷。
インパルスは動きの止まった敵艦を次々と撃破していく。
バリアーアタックの射程は短い。要塞や離れた艦隊から攻撃が来る。
明は紙一重でそれらを避けて行く。
「出番なしかよ」控室でリュウがぼやく。
<スペースコンドル>をワープ射出する事も可能だが、外はすさまじい重力と数千℃の地獄さながらの環境だ。
ウィングサーベルが敵艦を斬り裂く。
前方の数十隻の敵艦が砲撃。
「反重力ミサイル発射!」
艦首よりミサイル数発が放たれる。
重力の影響で左へ曲がる。敵艦隊の手前で爆発。無限の重力を反重力に。
敵艦隊は吹き飛ばされる。ブラックホールのジェットに捕まり、はるか彼方へ飛ばされる。その加速に耐え切れずに艦は爆発する。
ブラックホールに“光の球”が、その上方に“光るリング”が現れる。
ドヴン!!
突如発射される銀河跳躍砲。トスーゴ兵士がうろたえる。
“光の球”はインパルスではなく“光るリング“の中へ・・ そして消えて行く
「!!」 「ワープした!」 「どこへ?」
危険を察知し明はインパルスを急加速させる。
「マーチン!フルパワーだ!!」
「了解!」
ドヴァアアアーーーンン 力強いエンジンの咆哮。
同時にレーダーが重力震をとらえる。
「うそでしょ。ここ?」
インパルスは惑星型要塞ギガロを通り越す。
明は操縦桿を傾け、攻撃をかいくぐり、ギガロの陰に隠れる。
「反重力爆雷、全弾散布!」
艦尾より数多の爆雷が射出。数秒で爆発。重力を反重力に変える。ここでは最強の弾幕だ。
「バリアー出力最大!総員、衝撃に備えよ!」
元々インパルスのいた空間へ突然“光”が出現する。
艦隊だけでなく要塞の一部も巻き込んで・・・
大爆発。
「作戦終了」
アランがぽつりとつぶやく。
「銀河間射程を持つ無敵の超兵器の弱点は制御が全自動という点だったか。まさか自滅するとは」
「艦長、暗号電文はどうしますか?」モカが尋ねる。
「敵基地の奪取はできなかった。半壊状態だ。“トラトラトラ”とは打てないな」
「適当に打っときます」
「頼む」いいのか?
自動操縦に切り替えて、明は突っ伏している。
疲れきっているクルー。
(テロップ)『廃棄したブースターはATUが回収しました』
第一艦隊の査察を終えた<アポロン>は次の目的地に向かっていた。
美理は疲れて眠っている。
そばにいるピンニョは人の気配に気付く。
金髪の美少女がドアの所に立っている。
「私はリナ。トスーゴ第一王女です」
「へ?」
目を開ける美理。
「ごめんなさい。起こしちゃいましたか」
三人は話をする。
「兄の査察に付いて来ていました。あなた方の話を聞いて会いたくてうずうずしていました。ようやく兄から許可がおりて・・」
「もっと牢屋みたいな所に入れられると思っていました」
「王家の人間を?美理さんのお母様は第一王妃エレーヌ様。私の母は第二王妃エルザです。兄のオズマ王子は私の父・大神王とエレーヌ様の子供です」
ピンニョが「じゃあ、オズマ王子と美理ちゃんは異父兄妹ってこと?」
美理は驚きを隠せない。
「(母は本当にトスーゴの王妃だったんだ)え?啓作兄さんは?」
「啓作・さま?」
「兄です。私の様な混血と違い、母と同じトスーゴ人でした。赤ちゃんの時に母と一緒に今の父に助けられたと聞いています。オズマ王子とよく似ていて・・2年前に亡くなりました」
「ごめんなさい。でも・・そんな方の存在、初めて聞きました」
「・・・」
「・・美理さんは、トスーゴとあなた方の戦い・・どうお考えですか?」
「どうって・・戦いは嫌いです。出来る事なら止めさせたい」
「私もです。どうやら私たちは同志になれそうですね」
ホッとする美理。 その時だった。
「!!」
美理は胸を押さえて倒れる。
「美理ちゃん!」
「だれか!」
オズマが飛び込んで来る。美理を抱きかかえる。
「・・啓作・にい・さ・ん?・・」
美理は意識を失う。




