反トスーゴの狼煙⑤
トスーゴ無敵艦隊前衛旗艦<アポロン>はとある惑星に着陸していた。
「わああああああ・・・・・」
巨大なスタジアムに大歓声が上がる。
「オズマ」「オズマ」「オズマ」・・・
オズマ王子が壇上に上がる。
壇上には一人のいかつい大男が立っていた。トスーゴ第一艦隊司令ガルゴス。
ふたりは握手を交わす。
大歓声。
その光景を美理は<アポロン>の居室の窓から見ていた。
「そろそろ再開してよろしいいでしょうか」
講師の女性士官テサラッティーに言われ、美理とピンニョは席に着く。
彼女たちはトスーゴについての講義を受けていた。
「トスーゴは宇宙最大の戦闘国家である。その勢力範囲は約90億光年に及ぶ。
大神王様直下の無敵艦隊の他に、第一から九までの主力艦隊が存在する。お前達と戦ったのは第三艦隊に当たる」
「(あのクラスがあと八ついや九つも!)」ピンニョ驚く。
「我々の身分は神王(王族)を頂点に、貴武(参謀士官)、戦兵(兵士)、民徒(非戦闘員)、雑隷(他星民)に分かれている」
美理は居眠りし始める。気付いたピンニョがつんつん。
「何か?」テサラッティーがピンニョに問う。
「・・み美理ちゃんは?何になるのかなー」とんだとばっちり。
「もちろんミリ様は神王になります。お忘れなきよう」
「私、ハーフですけど。それでも?」
「え?・・どうでしょう?・・申し訳ございません。何も聞かされておりません。エレーヌ様の転生者ではないようですし。・・とにかく神王だけは別格です。王室の方々と各艦隊司令です。特別な“力“あなた方の言うESP(超能力)を持っています」
「(エスパーってこと?少なくとも私にはそんな力はない)」
「それに永遠の命を持ち、亡くなられても数年のうちに生まれ変わられます」
「生まれ変わる?」
「トスーゴの民の中から選ばれた者がその命を受け継ぐのです。それは神王以外の者の場合もあり、それはそれは名誉なことです。神王になれるのですから」
「・・・」美理とピンニョは顔を見合わせる。
「何か質問は?」
「トスーゴ本星の位置は?」
「それを教えるよう言われておりません」
ちぇっ。
<スペースインパルス>メインブリッジ。
メインパネルに星図が映し出されている。ジグが説明する。
「我々が知っているのは50万光年先までです。あ、この位置には磁力星雲があります」
シャーロットが「修正します」
「ブースターの性能は?」流がアランに尋ねる。
「1回のワープで5万光年飛べます。計15回で到達できる計算です」
「理論上はな。だが我々は生身だ。そんな連続長距離ワープ、経験した者はいない」
「ブースター1基での使用は最大10回まで、そのため2基装着することになります」
「復路は考えていないのか?」
「乗員は宇宙服着用。本艦のワープのタイミングに合わせて、基地から囮を別の位置にワープさせて、敵の注意を逸らします。また本艦からもダミーを放出します」
「うまく到達できたとして、どうやって基地を攻撃するのですか?艦長」グレイが尋ねる。
「まず守備艦隊をスーパーノヴァボンバー20%程の低出力で撃破する。つづけて基地を主砲・ウィングサーベルで攻撃して接舷、陸戦隊が制圧する」
「なるほど」
ジグが「トスーゴには数億光年を跳躍できる船があるそうです」
「嘘だろ?」と明。ヘルメットを被る。
医務室では葵が望を耐Gベビーベッドに入れている。
Qたちは宇宙服着用の上、各自椅子に座りベルトを着ける。ヨキもここにいる。
戦闘班控室でも。
めんどくさいと宇宙服着用を嫌がるガルムを命令だからとロミが説得する。
機関室。
マーチンたち機関士たちがエンジンの最終チェックを行っている。
マーチンは整備長だけでなく副機関長も兼任している。断れなかった・・
「全エンジン異常なし」報告する。
再びメインブリッジ。
「了解。引き続きよろしく」リベラが答える。
シャーロットが計器から顔を上げる。
「ワーププログラミングすべて完了しました」
流はうなずき、モカに通信を指示する。
暗号電文『ニイタカヤマノボレ』
反乱軍の基地から無人宇宙船がワープして行く。
アンドロメダ銀河近縁へワープアウト。
30秒後、その船は銀河跳躍砲の餌食となる。
計算では今から2分間銀河跳躍砲は発射されない。
「行くか」流がさりげなく言う。
明は操縦桿を握る。
「スペースインパルス発進!」
<スペースインパルス>は静かに基地を離れる。
停泊中のインパルス2のブリッジでロイとサライは敬礼して見送る。
ワープ。




