反トスーゴの狼煙③
<フロンティア号>。
ボッケンの前のレーダーに反応が現れる。
「敵艦隊です!」
リュウから通信が入る。
『引き受けた。明、先にインパルスに向かってくれ』
「しかし・・」
『VIP乗せてるんだろ?任せとけ』
「新型機の性能をみたいだけだろ」
『はは・正解』
スペースコンドル編隊は旋回し敵艦隊に向かう。
流が「ムチャはするな。ワープブースターを付けてるんだぞ。時間を稼いだらもどれ!」
『了解』
交戦するコンドル隊。
『番組の途中ですが、報道特別番組をお送りします』
「ん?」
『私は銀河連合副大統領のラプトンです』
モニターを見ているヨキが「誰?」
「エスザレーヌ様の後任よ」麗子が教える。多分次期銀河連合大統領だ。
『我々はここに<反トスーゴ連合・ATU>の設立を宣言する』
同じくモニターを見ている<スペースインパルス>乗員たち。
非番のサライは自室で荷物を片付けながら黙って聴いている。
Qは疲れて寝ていて聞いていない。
メインブリッジで聴いているロイとグレイ。
『神を名乗る“トスーゴ”は銀河系をはじめ、宇宙の星々を支配下に置こうとしている。彼らは“暗黒星”というべき特殊兵器と関係あると考えられている。この暗黒星は恒星のエネルギーを吸収し、銀河を暗黒物質で満たそうとしている』
明は唖然となる。
「おいおい。トスーゴと暗黒星は別モノだろ?」
それは流も同じ。
「証拠が乏しい。団結を得るためには何でも利用する」
「嘘も方便って事か」ヨキにこんなセリフは似合わない。
ジグが「これが銀河連合のやり方か」
無言のボッケン、麗子、シャーロット。気まずい。
「・・気に入らねえ」と明。
「・・俺もだ」と流。エスザレーヌなら絶対にこんな事はやらない。
腕組みする二人。ヨキも真似する。
ジグは微笑みながらぽつりと言う。
「あなた方は別だ」
<スペースコンドル>のビームバルカンが命中。爆発。
リュウは敵機を撃墜する。
演説は続く。
『我々は彼らトスーゴの第三艦隊と交戦し、勝利した。しかしこれは彼らの戦力のほんの一部でしかない』
マーチンとカンナは機関室で作業しながら聞いていたが、見知らぬ人物に気付く。
長い銀髪を後ろで束ねた長身の老婦人。まくられた腕は筋肉質だ。モニターのラプトンをにらみつけている。
「あのーすみません。ここは関係者以外立ち入り禁止なんです」。
「関係者よ」
「あ」マーチンはその女性の顔に見覚えがあった。ニコライの遺品を整理していた時に出てきた写真の女性だ。
「機関長に任命されたリベラです」
カンナは素早く敬礼をする。マーチンは遅れる。
「あなたがマーチンくんね。元夫のニコライより聞いているわ。よろしくね」
リベラは手を差し出す。握手。
『我々は勝ち続けなければならない。そのためには何が必要なのか?・・力だ。より強い力が必要なのだ』
「この前の戦いでも多くの命が失われた。できることなら戦いは避けたい。だが戦力の増強が戦争の抑止力になるとは限らない」流がつぶやく。
「・・・」明たちは終始無言だ。
画面にゴリラに似た大男が現れる。
「コンガッシュ。アンドロメダ銀河の総督だ」ジグが説明する。要は偉い人。
ラプトンとコンガッシュは握手する。
『この様な全宇宙規模の敵に対して、我々は銀河を超えた協力を得なければならない。
全宇宙の自由と平和のために、“ATU・反トスーゴ連合”は・・・』
敵を倒し合流した<スペースコンドル>と共に<フロンティア号>はワープに入る。
「艦長。我々もATUに所属するのですか?」明が尋ねる。
「そうなるだろうな。・・アンドロメダ銀河から始まったトスーゴ配下にあった星々の反乱は次々と広がっている。確かに彼らを仲間に出来れば、第三艦隊以上の敵とも戦える。当面我々の役割は、そんな彼らとのコンタクトになるだろう」流はジグを見る。
「協力は惜しまないつもりだ。だがまず必要なのは、隣銀河の銀河跳躍砲の破壊だ」
「・・・」明は無言で操縦桿を握りしめる。
流は明の肩に手を置く。
「あせるな」
ワープアウトした<フロンティア号>の行く手に<スペースインパルス>の姿がある。
インパルスの格納庫が開く。
着艦。
「なかなかいい船だな」
そう言うと流は立ち上がる。次いで席を立つジグを麗子が呼び止める。
「ジグさん。私小学生の時にあなたの種族と会っています。あなたの星の人たちがワープ事故で漂着して、子供たちがちょっとの間、学校に来ていたんです」
「・・そうですか」
ふたりはコクピットを後にする。
明が麗子に「ルリウス星の話?」と訊く。
「いえ、私は生まれはルリウスだけど、三歳から中一まで別の星に住んでいたの。とっても寒い星」
「へえ」




