ふたりの王女④
ギガロのコントロールルーム。
「・・・」アランはスイッチを入れる。
ブウウウ・・・ンン 機械がうねりを上げる。
巨大ブラックホールの上方にリング状の雲(発光体)が出現する。
装甲兵として復帰したガルムとリュウがつぶやく。
「まるででかいドーナッツだな」
「天使の輪だろ」
「こちらアランです。センサーの情報をそちらのレーダーへ送ります」
<スペースインパルス>メインブリッジ。
「了解。長距離レーダーとして使えるって事ね」
メインレーダーを見たクリスは信じられない表情になる。
「すごい。半径200万光年もの情報が!」
「神の目か」誰かが言った。
明は目を開ける。
シートはフラットに倒されている。誰かが自分を見つめている。脈をとっている。
「美理?」
「残念。違います」麗子が答える。
明は苦笑いしてシートを起こす。「ありがとう。もう大丈夫だ」
麗子は自分の席に戻る。メインブリッジの全員の熱は下がり、発疹は薄くなっている。
「ご苦労だった。ありがとう。ジグ、君も」
艦長に褒められ、麗子は赤くなりながら軽くお辞儀する。
ジグはVサイン。誰が教えたんだ?
ジグは麗子の方を向き直り、「レイコさん。あなたは昔私の同胞に会ったと言った。多分その時にヴィクダン熱に感染した。だがあの星の寒さが発病を防いだ」
「え?」
「私もあの星にいた。最年少だった。委員長だったあなたの事はよく覚えている。我々の成長は地球人より早い」
「え?年下?」麗子ちゃんショック。
「艦内温度はしばらくこのままでいく。寒いが我慢してくれ。各員スペーススーツの設定は任せる」
クリスのメインレーダーに反応がある。
「!! 第三艦隊に匹敵する大艦隊が接近中です!」
それは集結したトスーゴ第一艦隊だった。
その中でも巨大な旗艦<ポセイドン>。そのブリッジに立つ司令官ガルゴス。不敵に笑う。
戦いは絶え間なく続く。トスーゴ艦隊が間髪を入れずに襲来する。
グレイが「次から次と・・」
援軍は来ない。インパルスは孤軍奮闘する。
「敵本隊の位置は?」流が尋ねる。
「この銀河外190万光年。ワープを繰り返し接近中」
「援軍は?」
「同じく銀河外40万光年」
「こっちの方が近いじゃん」ほっとするアベル。
「速度が違います。敵のワープは20分おきに10万光年跳躍しています。このままでは敵艦隊の方が早く到達します。・・待ってください。別方向からも敵艦隊!距離200万光年。同規模の大艦隊です!」
トスーゴ第四艦隊。
旗艦<クロノス>は姿の見えないステルス艦だ。ブリッジで司令官ユーダが笑う。
「第三艦隊の残存部隊および先遣部隊に伝えろ。我々の到着まで、敵を止めておけ!」
「敵艦隊到達まで6時間20分」クリスの声は悲愴だ。
「このままでは・・」
「ATUより入電。“なんとしてもギガロを死守せよ“との事です」モカが報告する。
「無茶言うな」グレイが吐き捨てる。
「ごめんなさい」
「君に言ったんじゃない」
「はい」
流はネクタイを締め直し、
「やれるだけやってみるさ。スーパーノヴァボンバー、エネルギー充填開始」
ギガロにいるアラン(の装甲兵)はスイッチを入れる。
リングの光が増す。
『艦長。銀河跳躍砲は使えませんが、ワープシステムは使えます。ブラックホールの先のリングへスーパーノヴァボンバーを撃ち込んでください』アランからの通信。
「!」
『クリス。敵艦隊の正確な情報を送ってくれ』
「了解。ワープのパターン分析。現在地および予測針路データ、送ります」
グレイが「スーパーノヴァボンバー発射準備完了」
アランは計器を操作する。
リングの光が変わる。
『今です!』




