表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/12

ふたりの王女②

 メインブリッジ。

 クリスの息が荒い。目がかすむ。レーダーコンソールに倒れかかる。

 麗子が駆け寄る。こういう時のための医療班配置だ。

 脈をとり呼吸を確かめる。

「すごい熱・・!」

 クリスの首筋に赤い斑点。皮疹。

「何?これ」

 麗子から連絡を受けたQだが事態は切迫していた。

 医務室に次から次に患者が担ぎ込まれる。

 皆高い熱を出し身体には赤い斑点が出ている。

 Q自身もふらつく。見ると自身の腕にも赤い斑点が。

「伝染病だ。麻疹に似た発疹だが、違う。未知の病原体だ。医療コンピューター<BigJ>の自動検疫システムをすり抜けるとは」

 装甲兵の遠隔操作室。

 リュウとガルムを介助しようとしたロミも倒れる。

 アランとボッケンには何の問題も起きていない。遠隔操縦を続けている。

 機関室では新入り機関員以外ダウン。床に倒れたままマーチンは彼らに指示を出す。偶然ここに来ていたヨキだが、斑点出ているのに元気に手伝っている。

 託児室。葵ら保母さんは倒れているが、望たち子供は発疹だらけなのに遊んでいる。

 メインブリッジの患者もクリスだけではなかった。

 グレイがシャーロットがモカがエヴァンスがアベルが次々と倒れる。

 麗子がマイクに叫ぶ。

「明さん!至急もどって!」

 明がテレポートで帰還。すぐに異変に気付く。

「!何だ!?何が起こっている?」

 明はエヴァンスを補助席に移し主操縦席に座る。ヘルメットを取ろうとして麗子に止められる。空気感染の可能性もあると。納得して操縦桿を握る。

 敵艦隊の砲撃をかわす。

「ウィングサーベル!」

 インパルスの両翼が光り輝き、迫りくる敵艦を切り裂く。

「那由多!可能な限りオートで応戦しろ!」

 そう言うと流艦長も倒れる。

「うそだろ」


 トスーゴ無敵艦隊所属超弩級戦艦<アポロン>。

 艦内でピンニョは自由に行動できた。ただし昆虫型監視カメラに常に見張られている。トイレ中も水浴び中もだ(ずっと裸だけどね)。

 それでもピンニョは情報収集目的で艦内をウロウロしていた。

 驚く事に艦橋以外ほとんど乗員ひとがいない。

 ここは機関室だろうか?トスーゴ艦の中はどことなく有機的だ。無機質な地球艦と対照的だ。

「!」

 突然ピンニョは飛び立つ。監視カメラが後を追う。

 空中でピンニョは羽根手裏剣を投げる。

 それは前を歩く男の肩に命中。男は倒れる。

「アッシュ!」

 ピンニョは猛スピードで男に体当たり。男は数メートル吹っ飛ぶ。

「ピ、ピンニョさん」

「よくも!」ピンニョは羽根手裏剣を投げる。 

 それは空中で止まる。止めたのは・オズマだ。

「やめろ!アッシュは命令に従っただけだ。アッシュ、お前もなぜESPを使わない」

「・・・(サイコキネシス!オズマ王子もエスパーなのか?そうか“神王”だから?)」

「私は・・美理さまが倒れたと聞いて、私のせいで・・」

 ピンニョはアッシュをにらむ。オズマは静かに言う。

「美理の意識がもどった。会いに行かないのか?」


 病室で美理は横になっている。あの後ふたたび倒れたのだ。

 ピンニョはその枕元に降り立つ。

「どこ行ってたの?」

「散歩」

「そう・・」美理はピンニョの頭をなでる。まだ顔色悪い。

「美・理ちゃん、どう思う?リナ王女って?」

「新しいお友達出来ちゃった。しかも王女さま」 

 笑うピンニョ。

 だがそれは一瞬で、すぐに重い空気が流れる。

「このままではお前は死ぬ」オズマの言葉を思い出す。

「!」美理はドアの所に立っている人物に気付く。

「あなたは!」

 アッシュ!自分たちをさらった人物だ。

「美理様、私は・・貴方に謝らなければなりません」

「アッシュさん。確かにあなたを憎みました。でも感謝もしています。トスーゴとの和平のチャンスを得られたのですから」

「え?・・あ、ありがとう・ございます。そんなお言葉をいただけるなんて・・わ私は命を懸けて貴方をお守りいたします」

「あーそんなにかしこまらなくていいから」

 病室にオズマとリナが入ってくる。

 美理は身を起こし、ぺこりとお辞儀をし、オズマに問う。

「・・これは、私の病気は・・トスーゴと地球の混血児には絶対起こるものなの?」

「前例がないから何とも言えないが、通常<イブ型心臓ミトコンドリア異常>は女しか発症しない」

 美理は望の事を思いひとまずホッとする。

「遺伝子治療でトスーゴになる以外に方法は?無いのですか?」

「無いこともないが・・どうした?完全なトスーゴになりたくないのか?」

「私は・・」 

「好きな地球人がいるの?」リナが訊く。

 美理は真っ赤になる。わかりやすい。

「地球人になりたいのか?それも一つの方法だが、下等星民だぞ」

 美理はきっとオズマをにらむ。父も地球人だ。

 オズマは息を吐き、「まだ時間はある。よく考えろ」

「は・い・・今はまだこのままにしておいてください」 

「ん?」

「私は・・トスーゴと私達の戦いを止めさせたい。そのためには、混血のままの方が、その・・都合がいいんです」 

「でもそれでは・・」リナが案ずる。

 オズマは微笑みながら腕を組む。

「意外とタフで打算的だな。気に入った」

 美理はオズマの方へ向き直り、その目を見ながらきっぱりと言った。

「予定通りトスーゴ本星に連れて行ってください。そして・大神王に会わせてください」

 部下が入室して来る。「オズマ司令!」

「何だ?報告なら後で聞く」

「ギガロが落ちました!」 

「何っ?」

「第一第四艦隊に出撃命令が出ております」


「出撃する」

 トスーゴ第一艦隊司令ガルゴスの号令の下、次々と艦艇が惑星より飛び立って行く。

 先頭はガルゴスの乗艦・旗艦<ポセイドン>。

 全長600mはインパルスと互角、地球の“船”を思わせるようなフォルムだ。

 約2万隻の大艦隊は一斉にワープに入る。

 別の銀河でも同規模の艦隊が発進していた。

 トスーゴ第四艦隊。司令ユーダは陰のある細身の男。旗艦<クロノス>はステルスのため外観はわからない。

 二つの大艦隊はM33銀河ギガロを目指す。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ