再会を誓った友とは、あの日かぎり
辺鄙な土地。この土地はその言葉以外で、形容はできないだろう。馬の蹄が地面に強く、跡を残している。
森を抜けても続く一本道。たどり着くのは小さな村だった。
乾いた金色の藁が風に靡いているのがこちらからも見えてくる。
ここには今、誰がいるだろうか――
別れを告げたのは十数年前、告げたのは青年時代を共にした友。私が抜けたのは、遅く、後ろから三人目だった。
彼、彼女らが今、どこに住んでいるのかは知る余地もない。懐かしさを纏ったまま村の中へと進む。
払い落とす気にはなれない、この気持ちは……
一歩、一歩、の全てで過去の記憶を奮い起こす。視界がぼんやりしてくる、どうしてだろう。
あぁ、覚えている。この景色、いろいろ変わっているようだが、記憶にはある。
ここは確か――目に入ったのは、小さな花壇の前。十数年前にもあった花壇。その隣のベンチに座っているとある記憶が鮮明に思い出す。
いつか、帰ってくる
と私は皆に告げた。皆も――
私が抜ける前の皆も、同じ言葉を言った。言い方に齟齬はあった、しかし、あの時はまた会えることを疑いもしなかった。
子供の遊ぶ声が聞こえる。花壇から離れて、村を歩く。
今は――悲しい。
あぁ、何だ、何だ。耳障りに感じる。耳を抑えてしまいたい。何も聞きたくない。
――うるさい、うるさい――
私は、わたしは、君たちのことは何も知らない。
一体誰なんだ、この村にいる君はわたしにとって……
心は虚しく叫びが聞こえてくる。――誰の叫びだ。
はぁはぁ、落ち着け、何をしに来たのか、思いだせ。そうだ、そうだ、あの子たちは何も関係ない。
ただの子供だ。迷惑でも何でもない。
子たちを見ていると、わたしの昔を俯瞰しているようだ。記憶が、巡り巡ってくる。
俺は――言いたいことがたくさんある。
あれから実家が犬を飼ったんだ、可愛くてな、帰ってくると走って寄ってきてくれるんだ。今回も帰ったら、喜んでくれるだろうな。
そう、良い仕事を見つけたんだ。給料は贅沢できるほどは良くないけど楽しいんだよ。それでもな上司との折り合いが悪くて結構キツいんだよ。
それで、最近思うのは恋をしてみたいんだよ。俺も歳とっちまたから相手を早く見つけたいのに、仕事が忙しくて恋愛なんて後回しだよ。
……
いつもの揺れる中帰路につく、見慣れた帰路をゆっくりと歩いている。着いた家は物静かで、部屋には俺の声が響き渡って……
いつからだろう、私と言うようになったのは、昔は俺と名乗っていたのに、いつのまにか私と名乗るようになったのか。
人と交流することが多くなって、特に目上の人がいると、私としか名乗るように制限されてきた。初めは違和感に包まれていたのに、今は、もう俺という口が重くなってしまう。
もう帰るか。村の全てを探索して、ようやく諦めがつく。誰もいなかった。
いるのは知らない子供のみ、友はどこに行ったのだろうか。
帰路についてもまだ友のことを俺は思い続ける。




