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再会を誓った友とは、あの日かぎり

作者: 影月 
掲載日:2025/10/21

 辺鄙な土地。この土地はその言葉以外で、形容はできないだろう。馬の蹄が地面に強く、跡を残している。

 森を抜けても続く一本道。たどり着くのは小さな村だった。


 乾いた金色の藁が風に靡いているのがこちらからも見えてくる。


 ここには今、誰がいるだろうか――

 

 別れを告げたのは十数年前、告げたのは青年時代を共にした友。私が抜けたのは、遅く、後ろから三人目だった。


 彼、彼女らが今、どこに住んでいるのかは知る余地もない。懐かしさを纏ったまま村の中へと進む。

払い落とす気にはなれない、この気持ちは……


 一歩、一歩、の全てで過去の記憶を奮い起こす。視界がぼんやりしてくる、どうしてだろう。


 あぁ、覚えている。この景色、いろいろ変わっているようだが、記憶にはある。


 ここは確か――目に入ったのは、小さな花壇の前。十数年前にもあった花壇。その隣のベンチに座っているとある記憶が鮮明に思い出す。


 いつか、帰ってくる

と私は皆に告げた。皆も――


 私が抜ける前の皆も、同じ言葉を言った。言い方に齟齬はあった、しかし、あの時はまた会えることを疑いもしなかった。


 子供の遊ぶ声が聞こえる。花壇から離れて、村を歩く。

 今は――悲しい。

あぁ、何だ、何だ。耳障りに感じる。耳を抑えてしまいたい。何も聞きたくない。


 ――うるさい、うるさい――


 私は、わたしは、君たちのことは何も知らない。

一体誰なんだ、この村にいる君はわたしにとって……


 心は虚しく叫びが聞こえてくる。――誰の叫びだ。





 はぁはぁ、落ち着け、何をしに来たのか、思いだせ。そうだ、そうだ、あの子たちは何も関係ない。

ただの子供だ。迷惑でも何でもない。


 子たちを見ていると、わたしの昔を俯瞰しているようだ。記憶が、巡り巡ってくる。


 俺は――言いたいことがたくさんある。

あれから実家が犬を飼ったんだ、可愛くてな、帰ってくると走って寄ってきてくれるんだ。今回も帰ったら、喜んでくれるだろうな。


 そう、良い仕事を見つけたんだ。給料は贅沢できるほどは良くないけど楽しいんだよ。それでもな上司との折り合いが悪くて結構キツいんだよ。


 それで、最近思うのは恋をしてみたいんだよ。俺も歳とっちまたから相手を早く見つけたいのに、仕事が忙しくて恋愛なんて後回しだよ。


 ……


 いつもの揺れる中帰路につく、見慣れた帰路をゆっくりと歩いている。着いた家は物静かで、部屋には俺の声が響き渡って……


 いつからだろう、私と言うようになったのは、昔は俺と名乗っていたのに、いつのまにか私と名乗るようになったのか。


 人と交流することが多くなって、特に目上の人がいると、私としか名乗るように制限されてきた。初めは違和感に包まれていたのに、今は、もう俺という口が重くなってしまう。


 もう帰るか。村の全てを探索して、ようやく諦めがつく。誰もいなかった。


 いるのは知らない子供のみ、友はどこに行ったのだろうか。

 帰路についてもまだ友のことを俺は思い続ける。

 

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