第19章:ゴブリン
朝の太陽がまだ地平線に昇る頃、俺は古樫の村の門に到着した。農場からの旅は孤独で、トロヴァオの一歩ごとに俺の決断の重さが響いていた。ポケットの中では、セラがライラのために作った小さな絹のブローチが絶え間ない温かさを放ち、何が懸かっているのかを肌で感じさせてくれた。それはただの任務ではなかった。それは、我が家を守るための戦いだった。
ギルドの入り口では、トーレンがすでに三人の冒険者と共に俺を待っていた。彼らは一本の松明の光の下に集まり、そのシルエットは緊張していた。ドワーフのマスターが近づき、俺が即座に高価な品だと認識したいくつかの小さなガラス瓶を俺の手に置いた。
「傷薬のポーション二本と毒薬一本だ」と彼は重々しい声で言った。「大したものではないが、貴重な数秒を稼げるかもしれん。五体満足で帰ってこい、セレン。この村には希望の一滴が必要なんだ」
俺は頷き、ポーションをベルトにしまい、新しく、そして一時的なチームに近づいた。
若き剣士フィンは背筋を伸ばし、その目は輝いていた。「トーレン様から、あなたは素晴らしいリーダーだと伺いました。あなたと共に戦えるとは光栄です、旦那様!」
彼の隣で、魔術師のミラはトネリコの杖を指の関節が白くなるほど強く握りしめていた。「せ、セレン様」と彼女はどもった。「私の炎の魔法は…強力ですが、実戦経験は…乏しいです。最善を尽くします」
追跡者のゴランはただ、経験豊富な目で俺を評価し、一度だけゆっくりと頷いた。
「結構だ」俺は鋭い声で言った。「お前たちには最高の働きを期待する。隊列は、ゴランが先導しろ、俺がお前の跡をカバーする。フィン、お前は後衛と側面を守れ。ミラ、中央で俺の近くにいろ。お前の優先事項は安全を確保し、マナを温存することだ。俺が命じるまで呪文は使うな。分かったか?」
「はい、旦那様」という合唱と、ゴランのもう一度の頷きが返事だった。「行くぞ」
登りは険しく、過酷だった。山の麓の森は奇妙に静まり返っており、それは支配的な捕食者が野生動物を追い払った兆候だった。空気は薄くなり、冷たくなっていった。
「ペースを維持しろ、フィン」と、若者が再び前に出始めた時、俺は低い声で命じた。
彼は黙っていたが、俺の言葉を考慮しているのが見て取れた。
進むうちに、ゴランが立ち止まり、顎で棘のある茂みを指差した。そこには、エプロンから引き裂かれた布切れが引っかかっており、何か黒く乾いたもので汚れていた。
「これ…人のもの?」ミラは口を手で覆いながら囁いた。
俺は布を調べた。「そうだ。ミラー家のものだ。トーレンから襲撃の話は聞いた」一瞬、オーロラのエプロンのイメージが頭に浮かんだ。あの布切れは彼女のものだったかもしれない。俺は拳を握りしめ、怒りが冷たい炎となって胸に燃え上がった。
俺たちが知る由もなく、山には俺たちだけではなかった。俺たちのはるか上、木々の梢を移動しながら、セラが俺たちに付き添っていた。彼女の鋭い感覚は、俺たちの感覚では捉えられないものを捉えていた。平行する尾根を移動する三体のゴブリンの斥候隊だ。彼女は彼らを観察し、その錆びた武器と巡回ルートに気づいた。彼らは俺たちから百メートルも離れていない場所を、俺たちの存在に全く気づかずに通り過ぎていった。セラの息が、彼女の蜘蛛の胸の中で止まった。彼らはもう少しで発見されるところだった。
数時間後、ゴランは俺たちを蔦に覆われた岩壁へと導いた。「ここだ」と彼は囁いた。「ここから風の流れを感じた。淀んだ空気。巣の匂いだ」
俺は近づき、岩に暗い裂け目があるのを発見した。そして、その前には、罠があった。一本の糸。一つの落とし穴。原始的なものだ。
「どうやって見つけたの?」ミラは感嘆して尋ねた。
「長年の経験だ」俺は石の網の引き金を解除しながら答えた。「それに、賢い敵は錠をかけずに玄関を開けっ放しにはしないと知っているからな。ミラ、入る前に。魔法で何か感じられるか?熱、生命…何でもいい」
彼女は目を閉じ、集中した。「ええと…弱いですが、感じます…熱と、動きが。すぐ先に。止まっています。二体…いえ、三体です。待っています」
「歩哨か」俺は言った。「よくやった、ミラ。お前は今、俺たちを待ち伏せから救った」珍しく誇らしげな笑みが彼女の顔を照らした。
俺たちは悪臭を放つ暗闇に入った。ミラが唱えた小さな魔法の火球が俺たちの上を漂い、踊るような影を落としていた。トンネルは湿気、排泄物、そして古い血の金属的な匂いがした。約五十メートル進むと、トンネルはより広い空洞へと開けた。
俺は皆に隠れるよう合図した。俺たちが見たものは、血の気を引くものだった。広い空間で、十数体の新米ゴブリンが、威圧的なホブゴブリンの怒鳴り声の下で剣の訓練を強制されていた。
「奴らを見ろ」フィンは、抑えた怒りに満ちた声で囁いた。「残忍な生き物が、自分たちの似姿を鍛え上げている」
その光景の残忍さ、不器用にぶつかり合う鋼の音、そしてゴブリンたちの金切り声が、フィンに拳を握りしめさせた。
無力な怒りのあまり、彼は前かがみになり、その手は本能的に剣の柄へと伸びた。彼の足が滑り、小さな石が転がり落ち、洞窟の張り詰めた静寂の中で、その「カタッ」という鋭い音は雷鳴のように響いた。
即座に、すべての訓練が停止した。ホブゴブリンの指揮官は、驚くべき速さで、その異形の頭を俺たちの方向へ向けた。その黒く残忍な目は、松明の光に輝き、俺たちの隠れ場所に直接固定された。
鋭い歯に満ちた恐ろしい笑みが、彼の顔に広がった。そして、彼は口を開け、洞窟の壁に響き渡る甲高い金切り声を上げた。直ちに、小さなゴブリンたちの金切り声が合唱に加わり、訓練のセッションは、俺たちの方向へ進んでくる混沌とした飢えた大群へと変わった。
フィンの過ちを非難する時間などなかった。生存が唯一の優先事項だった。
「ミラ、トンネルの入り口に炎の壁を、今すぐだ!」俺は、混沌を上回る指揮官の声で叫んだ。「増援を断ち切れ!ゴラン、遠距離の標的を、側面を突こうとする奴らを撃ち落とせ!フィン、俺と一緒だ、戦線を維持しろ!」
ミラの顔のパニックは、獰猛な集中力に取って代わられた。杖を素早く振るうと、彼女は轟音を立てる炎の壁を唱え、俺たちの背後のトンネルを封鎖し、洞窟をオレンジ色で地獄のような光で満たした。彼女の迅速な行動が、俺たちに必要な空間を与えてくれた。
訓練中のゴブリンたちは、規律が乱れていたものの、若者の絶望的な怒りで襲いかかってきた。フィンは鬨の声を上げ、彼らの真ん中に飛び込み、その剣は銀の弧を描いた。彼は情熱的だが、無謀で、すぐに囲まれてしまった。一方、ゴランは冷徹な効率性の化身だった。彼のクロスボウの一射一射が標的を捉え、洞窟の壁を利用して俺たちを包囲しようとするゴブリンたちを撃ち落とした。
俺は彼らの間を動き、俺たちの防御の要となった。俺の刃は踊らなかった。働いた。一撃を受け流し、別のゴブリンの膝を素早く切りつけ、フィンにスペースを作るために肩で突き飛ばす。俺たちは機能不全の機械だったが、今のところは、機能していた。
その時、教官であるホブゴブリンが戦いに加わった。彼は自分の弟子たちを脇に押しやり、錆びて残忍な金属片である両手斧を手に進み出た。彼は俺とゴランを無視し、最も攻撃的で無防備な標的であるフィンに集中した。
咆哮とともに、彼は破壊的な一撃を繰り出した。フィンはどうにか受け流したが、その純粋な力の衝撃に後ろへ吹き飛ばされ、腕が不気味な音を立てて折れた。彼は痛みの叫び声とともに倒れた。ホブゴブリンは、追跡者が射線を確保しようと動くのを見て、岩を掴み、致命的な正確さで投げつけ、ゴランの脚に命中させ、抑えられた呻き声とともに彼を倒した。
世界は一点に集約された。俺の仲間たちの傷ついた体の上にそびえ立つ、あの生き物。数秒のうちに、俺はあの翼の指揮官と一対一になっていた。
ホブゴブリンは微笑んだ。その異形の顔に鋭い歯が並び、両手斧からは俺のものではない血が滴っていた。彼は筋肉と憎悪の壁であり、俺は最後の障害物だった。
彼は無謀な突進ではなく、重く自信に満ちた足取りで進んできた。洞窟の床がその重みでわずかに震えた。斧は一瞬、引きずられ、錆びた刃が石の上で鋭い音を立て、俺の腕の毛を逆立たせた。そして、純粋な支配の咆哮とともに、彼は突進してきた。
俺は受け流そうとはしなかった。それは雪崩を小枝で止めようとするようなものだった。代わりに、俺は自分の体を使い、最後の瞬間に踵を軸に回転した。斧によって動かされた空気の塊が耳元をかすめ、残忍な刃が顔から数センチのところを通り過ぎる間、風が髪を鞭打った。耳をつんざくような「ガッシャーン!」という音とともに、武器は俺の隣の岩壁に深く食い込み、石のかけらと埃の雨を降らせた。衝撃の振動が地面から伝わり、ブーツを通り抜けて背筋を駆け上がった。
彼は唸った。純粋な欲求不満の喉音で、両手で武器を揺さぶり、それを捕らえた岩から解放しようとした。彼の筋肉は収縮し、太い腕に血管が浮き上がった。
それは俺が待っていた隙だった。幸運ではなく、俺の経験によって作り出された隙。彼に少しのスタミナを消耗させ、ほんの一瞬、彼を足止めさせた。それで十分だった。
流れるような動きで、俺は前進した。俺の短剣は鎧で覆われた胸や筋肉質の背中を狙わなかった。俺の標的は、何年も獣を狩ってきた経験から覚えた弱点、あの力を支える蝶番である膝の裏の脆弱な腱だった。切り込みは素早く、深かった。鋭い刃が歌う前に、厚い皮と張りのある筋肉の抵抗を感じ、俺にしか聞こえない不気味な音とともに軟骨を引き裂いた。
怪物は甲高い金切り声を上げた。その痛みと怒りの音に、小さなゴブリンたちは後ずさった。彼の足は崩れ、彼は膝をついた。信頼に代わって、信じられないという表情と苦痛が浮かんだ。彼は強かったが、今は不具となり、その基盤は損なわれた。彼の目の怒りは、かまどのようになった。洞窟を震わせるほどの唸り声とともに、彼は壁から斧を引き抜き、岩のかけらを一緒に持ってきた。
健常な足で立ち上がり、純粋な憎悪に駆られ、彼は最後の絶望的な一撃を試みた。今や自由になった斧は、俺の頭を狙って、錆びた鋼の渦となって、野蛮な水平の弧を描いた。
俺は後退しなかった。彼の勢いを利用して、俺自身の動きを導いた。身をかがめると、重い刃が致命的な音を立てて頭上を通り過ぎ、俺は彼と一緒に回転し、彼の懐に入り込んだ。俺の疲労、決意、そして我が家を守るという義務の重みが、一つの上昇する一撃に集中した。俺の刃は、洞窟の悪臭を放つ空気の中で歌った。衝撃は重く、生々しいものだった。肉と骨が砕ける湿った音が、短剣の先から肩まで振動として伝わってきた。
ためらいはなかった。ホブゴブリンの異形の頭は、濃く厚い血しぶきとともに体から離れ、その黒い目は永遠の衝撃の表情でまだ見開かれていた。巨大な体は鈍い音を立てて前に倒れ、頭は数メートル転がってから止まった。その顔は洞窟の天井を向き、まるで天に、どうしてこんなことが起こり得たのかと問いかけているかのようだった。
一瞬、唯一の音は俺の荒い息遣いと、死体から絶えず滴り落ちる血の音だけだった。しかし、戦いは終わっていなかった…。
「動くな」と俺は命じ、まずフィンのところへ行った。彼の腕は折れていた。ゴランの足も同じような状態だった。トーレンからもらった二つの治癒ポーションを取り出した。「飲め。ゆっくりと」
俺は輝く液体を彼らの口に注いだ。ポーションはよく効き、彼らの最も重い傷は閉じた。彼らはまだ疲れ果て、傷ついていたが、立つことはできた。
「やったぞ…」フィンは、疲れ果てた勝利の笑みを浮かべて言った。「司令官を捕まえた!最悪の部分はもう過ぎた!」
「危なかったな」とゴランは同意し、慎重に自分の足を試した。「彼は強かった。この規模の巣のリーダーにしては、予想以上に強かった」
俺は彼らの安堵感を共有しなかった。何かがおかしかった。ホブゴブリンは確かに強かったが、その攻撃には無謀な残忍さがあった。真のランクBの司令官が持つべき狡猾さ、威圧的な存在感が欠けていた。これは大変だった、と俺は思った。だが、ランクBだったのか?
まるで運命が俺の疑いを嘲笑うかのように、洞窟の奥深くから重苦しい存在感が漂ってきた。ゆっくりとした引きずるような足音が響き、暗闇から新たな姿が現れた。
それは巨大で、身長は二メートル半近くあった。その肌は病的な緑色で、部族の傷跡で覆われていた。胸と肩には黒い金属の板を身につけ、その手には巨大な両刃剣、倒れた英雄の墓から引き抜かれたかのような、残忍で鋸歯状の刃を握っていた。その目は黒ではなく、邪悪で知的な黄色で、洞窟の空気を冷たくするほどの力のオーラで輝いていた。
フィンとゴランの顔から安堵の色は消え、麻痺させるような恐怖に取って代わられた。魔法に対する感覚がより鋭いミラは、制御不能に震え始めた。
「そ…そんな…あれはゴブリンロードだ」と彼女はどもった。その顔は蝋のように青白かった。「奴のオーラ…この圧力…これはランクBじゃない。これは…ランクAだ!」
彼女の宣言は、俺たちに死刑宣告のように降りかかった。ランクA。自然災害のようなモンスター、ベテランの冒険者集団でさえ対峙をためらうほどの生き物。トーレンは知らなかった。誰も知らなかった。ホブゴブリンは標的ではなかった。ただの門番の一人に過ぎなかったのだ。
ゴブリンロードは、部下の死体を見て、怒りではなく、退屈そうな軽蔑の表情を浮かべた。そして、その黄色い目が俺たちに固定され、短剣ほどの大きさの牙をむき出しにして、顔に笑みが浮かんだ。
絶望が波のように俺たちを襲った。ミラはマナを使い果たしていた。フィンとゴランはかろうじて武器を握っていた。そして、決闘で疲れ果てた俺は、自分の短剣があの化物に対して小枝ほど役に立たないことを知っていた。これは制圧ではなかった。これは虐殺だった。
ゴブリンロードはゆっくりと両刃剣を掲げ、俺たちの恐怖を味わっていた。俺はポケットの中のライラのブローチに触れた。申し訳ない、と俺は思い、他の者たちの前に立ち、死ぬ覚悟を決めた。
巨大な刃が振り下ろされ始めた時、俺たちの上空を動きの霞が切り裂いた。鞭が鳴るような音が響き、太い絹の綱が天井の影から放たれた。それは、ゴブリンロードの手首にあり得ないほどの力で巻き付き、空中で一撃を止めた。
俺たちの誰かが理解する前に、暗く巨大な姿が天井から降りてきた。刃のように鋭い八本の蜘蛛の脚が、固く恐ろしい「ズシンッ!」という音とともに洞窟の床に着地した。蜘蛛の体の上には、セラの人間型の上半身が直立し、その二つの赤い目が、俺がこれまで見たことのない冷たい怒りで輝いていた。
ランクAのゴブリンロードは、捕らえられた自分の腕を見てショックを受けた。その幽霊のように白く、取り外すことのできない絹を見て。その知的で黄色い目は、糸をたどり、彼の前に降り立った黒い姿へと向けられた。彼の顔のショックは、喉の奥から出る怒りへと変わった。彼は唸り、洞窟の壁を震わせるほどの圧力と殺意の波を放ち、木を根こそぎ引き抜くほどの力で腕を引いた。絹の巣は一ミリも動かなかった。
彼の前で、セラは唸り声ではなく、もっと恐ろしいもので応えた。その顎を脅威的にカチッと鳴らし、彼女は純粋な捕食者の怒りの金切り声を上げた。その甲高く攻撃的な音は、農場での彼女の優しさとはかけ離れた、暴力的で計算された死の約束だけを含んでいた。
それは、俺がこれまで見たことのない怒りだった。彼女の二つの赤い目、普段は穏やかで観察眼が鋭いが、今やかまどの燃えさしのように、内なる光で燃えていた。彼女の人間型の上半身は攻撃態勢で前かがみになり、彼女の周りの空気は触知できるほどの圧力でパチパチと音を立てているようだった。彼女は農場の守護者ではなかった。ここは彼女の狩場であり、彼女はその頂点に立つ捕食者だった。
一方には、ゴブリンロードの粗野な力と爆発的な怒り。もう一方には、アラクネの冷たい怒りと静かな殺意。洞窟は、二体の同等の力を持つモンスターの差し迫った対決の舞台となり、俺たちはただ、その中間に囚われた、怯えた観客に過ぎなかった。
俺は彼女を見た。一本の糸でランクAのモンスターの一撃を止めたその生き物を見て、背筋に寒気が走った。それはゴブリンの危険とは何の関係もない寒気だった。あれは、ブチの世話をしながら俺に「おはよう」と言ってくれるセラではなかった。あれは、ライラの蜂蜜菓子や青い毛糸玉の話を辛抱強く聞いてくれるセラではなかった。
俺の目の前で、俺がこれまで見た中で最も危険なモンスターの一体と対峙しているのは、太古の怒りの生き物、彼女が持っているとは想像もできなかった力だった。
俺は、あのセラを知らなかった。