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第18章:危機

その問いはギルドの空気中に漂い、その重みでドワーフのギルドマスター自身が背筋を伸ばすほどだった。トーレンの目は俺を吟味し、俺の顔に宿った冷徹な決意を見て取った。


「まともな戦士だと?そんなのがいたら、俺がここにいると思うか?」彼は苦々しさを隠さずに不平を言った。「だが、見込みのある奴が三人いる。剣士の若造、フィンは、獅子の心臓を持つが、鶏のような判断力だ。魔術師のミラは、炎の力は強力だが、青二才のように震える。そして、北の戦争を生き抜いた古参の追跡者、ゴラン。俺が提供できるのは、これが精一杯だ」


三人の冒険者。向こう見ずな剣士、経験の浅い魔術師、そして無口な追跡者。危険なほど弱いチームだったが、これしかなかった。


「日の出までに、ここに準備万端で待機させろ」と、俺は言った。その声は、かつて置き去りにしてきたはずのリーダーの声だった。俺はドワーフの暗く敬意のこもった視線の下、ギルドを後にした。


活気に満ち、希望に溢れていた村の空気が、今や重苦しく感じられた。商人の笑い声も、広場で遊ぶ子供の叫び声も、今や俺が知ってしまった脅威の前では、か弱いこだまのように聞こえた。冒険者としての、そして「幽霊」としての古い人生の重みが、俺の肩にのしかかった。もはや農夫としての居場所はなかった。ただ、俺が築き上げてきたものを守るという、冷徹で鋭い義務だけがあった。


俺は彼女たちを荷車馬車の近くで見つけた。荷車はすでに俺たちの買い物の包みや袋でいっぱいだった。ライラとマリアは端に座り、足をぶらぶらさせ、顔はまだ結晶化した蜜で少しべたついていた。オーロラは最後の布地を整理し、彼女特有の効率の良さで全てを整えていた。


「パパ、パパ!見て!」ライラが俺を見るなり叫び、地面に飛び降りて駆け寄ってきた。「オーロラおばさんが、色んないい匂いのする香辛料をいっぱい買ってくれたの!それに、セラへのプレゼントも買ったんだ。でも、内緒だよ!」


俺はギルドが落とした影を振り払おうと、無理に笑顔を作り、彼女を迎えるためにかがんだ。「香辛料か?それはいいな。それに、秘密のプレゼントか?きっと誰かさんが大喜びするだろうな」


オーロラが近づいてきたが、その温かい笑顔は俺を間近で見て揺らいだ。しかし、彼女の青い目は俺に注がれ、その中には、少女たちの前では決して口にしないであろう、静かな問いかけが見えた。彼女は変化を感じ取った。俺たちの街での朝の軽やかさは消え去り、俺が第二の皮膚のように纏う緊張に取って代わられていた。


「大丈夫ですか、セレン?」彼女は低い声で尋ねた。


「大丈夫だ」と嘘をつき、立ち上がって最後の重い包みを荷車に積むのを手伝った。「少し人混みに疲れただけだ。もう谷の静けさに慣れてしまったらしい」


彼女は納得していないようだったが、頷き、心配そうな眼差しはまだ俺に注がれていた。遠くに、俺たちの農場の見慣れたシルエットが、オレンジ色と紫色に染まり始めた空を背景に浮かび上がった。日は暮れようとしていた。近づくにつれて、あまりにも家庭的で穏やかな光景が、まるでパンチを食らったかのように俺を打ちのめした。セラが庭で、洗ったシーツを物干し綱に干していたのだ。谷の穏やかな風が白い布を揺らし、一瞬、彼女の姿――半分は女性、半分は巨大な蜘蛛――が、自分の家を守る守護者として、世界で最も自然なものに見えた。


荷車がきしむ音を立てて止まると、彼女は作業の手を止めた。彼女の赤い目が俺たちに固定された。ライラとマリアは元気に手を振り、彼女はゆっくりと頭を傾けてそれに答えた。俺がトロヴァオから降りると、彼女の、穏やかで聞き慣れたシューという声が、午後の空気を切り裂いた。


「お帰りなさい」


その言葉には素朴さがあったが、彼女の目はどんな人間よりも鋭く、何かを即座に見抜いた。俺の肩の硬直、ギルドから持ち帰った埃と緊張の匂い、そして顔に張り付けた下手な仮面。彼女は何も言わなかったが、その視線には分析的な輝きが見え、オーロラのそれとは異なる、より根源的な、静かな問いかけがあった。


その静寂の瞬間が深まる前に、ライラは荷車から飛び降り、エネルギーと言葉の渦となって彼女のもとへ走っていった。


「セラ、信じられないよ!村はすっごく大きいの!どこもかしこも人でいっぱいで、棒に刺さった蜜を売ってるお姉さんがいて、すっごく美味しかったの!それに、オーロラおばさんがマリアに暖かい上着を買ってくれて…私には、あなたへのプレゼントがあるの!」


ライラはドレスのポケットを探り、そこから丁寧に、磨かれた木製の小さな物を取り出した。それは、織機で使うような小さな杼で、花の模様が繊細に彫られていた。彼女はそれを手のひらに乗せて差し出した。


「あなたへの記念品よ」ライラは輝くような顔で言った。「あなたの巣で使うためのものよ!職人さんのお店で見て、あなたが気に入ると思ったの」


ライラは純粋な誠実さで話し、セラは無限の忍耐力で聞き、その人間型の上半身を傾けて小さな贈り物を見つめていた。ライラがその選択を説明している間、セラの目は時折俺の方を向き、子供の純粋で無邪気な喜びと、俺の暗い静けさとを結びつけていた。彼女は、俺が必死に隠そうとしていた危険を見ていた。


後の夕食は、ほとんど耐え難いものだった。俺は笑顔を作り、少女たちの質問に答え、オーロラの料理を褒める努力をしたが、それは全て仮面だった。テーブル越しに俺の目はオーロラの目と合い、彼女の視線には、子供たちの前では決して口にしないであろう、静かで怯えた問いかけがあった。そして、向こう側では、セラの赤く鋭い目が俺を見ていた。恐怖ではなく、巣の近くに狼の匂いを嗅ぎつけた捕食者のような、油断のない鋭さで。


少女たちがようやくベッドに入ると、見せかけは崩れ落ちた。訪れた沈黙は重く、期待に満ちていた。一言も発さずに、俺は部屋の隅にある長持ちに行き、古い短剣、胸当て、買っておいた砥石、そして油を含ませた小さな布を取り出した。鋼と暴力的な過去の匂いが空気に満ちた。


オーロラが近づいてきた。木の床を歩く彼女の足音はほとんど聞こえなかった。セラは影から現れ、彼女の隣に、静かな守護者として立った。


「セレン…これは何ですの?」オーロラの声は震え、恐怖に満ちたささやきだった。「あなたが冒険者だったことは知っていますが…何があったのですか?」


俺は砥石で刃を研ぐ、リズミカルでざらざらした動きを始めた。鋼と石が擦れる耳障りな金属音だけが、家の静寂を破り、その平和な場所にはそぐわない騒音だった。その行為の親しみやすさ、刃の正確な角度、一定の圧力が、俺を厳しい現実へとつなぎとめていた。


「必要なことをしているだけだ」と、俺は重々しい声で答え、目は作業に集中したままだった。


沈黙を破ったのは問いではなく、確信だった。セラの声は、研ぎの音にかき消されそうなほど低いシューという音だったが、恐ろしい確信を帯びていた。


「戦い」


その一言は、冷たく鋭く、空中に漂った。俺は顔を上げ、二人を見つめた。


「そうだ」と俺は認めた。「ギルドで任務を引き受けた。夜明けに出発する」と、俺は自身の不安を悟られないように、しっかりとした声で状況を説明した。「ギルドにはこれに対処できる人員がいない。巣が近すぎる。俺が行かなければ、誰も行かない。そして、脅威はいずれここまでやってくる。時間の問題だ」


トーレンがゴブリンのリーダーについて、その並外れた知性について言ったことを口にした。それがオーロラの顔を恐怖で覆い尽くした。普段はリラックスしている彼女の狼の耳は、灰色の髪に平らに押し付けられ、日常ではほとんど気づかないふさふさの尻尾は、本能的に縮こまり、純粋な恐怖の表れだった。


「奴は戦術を使う。攻撃を組織し、標的を選ぶ。普通のゴブリンじゃない、司令官だ。ランクBに分類されるモンスターだ」と、俺の言葉が彼女を突き刺していることに遅まきながら気づき、説明した。


普段は澄み切っている彼女の大きな青い目は、今や恐怖の記憶で曇っていた。「娘たちは危険なのですか?」その問いは、彼女の最悪の恐怖の重みを帯びて、詰まった声で発せられた。


俺が答える前に、セラが再び割って入った。彼女の赤く鋭い視線は、俺が提示した事実の一つ一つを分析し、捕食者の論理で点と点を繋いでいた。


「秘密裏に成長した巣」とセラは、まるで獲物を数えるかのように事実をシューと音を立てて言った。「辛抱強いリーダー。そしてトーレンがお前に与えたのは…弱いチーム。一度もまともに戦ったことのない魔術師」。彼女の視線は俺に固定され、戦術的な分析は直接的で個人的な心配へと変わった。彼女のシューという音は、より柔らかく、ほとんどためらいがちになった。「状況は不利よ、セレン。あなた…あなたは大丈夫なの?」


彼女からの、その論理と本能に満ちた問いは、どんな非難よりも鋭かった。


俺は小さな笑みを浮かべ、自分自身が感じる必要のある自信を伝えようと努めた。「大丈夫だ」と、しっかりとした声で答えた。「心配するな。ゴブリンと戦うのは初めてじゃない、たとえ組織化された奴らでもな。旅の途中で何体か相手にしたことがある。奴らの考え方は分かる。奴らの陣形を崩す方法も知っている」


俺の言葉は、彼女たちを落ち着かせ、彼女たちの恐怖の嵐の中で、確固たる岩であろうとする試みだった。


彼女たちの心配は、それぞれ異なりながらも、同時に同じものであり、まるで二本の短剣が俺の胸に突き刺さっているようだった。オーロラの心配は、トラウマから生まれ、子供たちに及ぶかもしれない恐怖に焦点を当てていた。セラの心配は、冷徹な生存の論理から来ており、今や、俺が生きて帰れるかという、最も単純で根本的な問いに集約されていた。


以前、ゴブリンと戦ったことがあるという俺の返事は、彼女たちを落ち着かせるための試みだったが、彼女たちの顔にはまだ恐怖が、執拗な影として残っているのが見て取れた。


俺は作業を止め、布と油を脇に置いた。膝の上の鎧が、急に重くなったように感じられた。揺らめくランプの光の中で、彼女たちの顔に刻まれた痛みと不安を、一人一人見つめた。


「行かなければならない」と、俺は低いが、反論の余地のない重みを帯びた声で言った。「お前たち二人の、マリアの…そしてライラの安全のためだ」。俺の手は冷たい革の上で拳を握りしめた。「お前たちを危険に晒すことはできないし、するつもりもない」


俺の言葉は戦いを求める冒険者のものではなく、父であり守護者のものだった。それは誓いだった。


オーロラの顔から恐怖は消えなかったが、それは変化した。俺が心から尊敬する彼女の強さが、命令や指示ではなく、静かな理解を通して現れた。彼女は近づき、その手が俺の手と触れた時、それは俺を止めるためではなく、俺の決意に加わるためだった。彼女の指が、革の胸当ての上で俺の指と絡み合った。


彼女の声はただのささやき、俺の約束を封印する懇願だった。「ただ…私たちの元へ帰ってきて、セレン。家に帰ってきて」


俺たちの隣で、セラはその瞬間を見ていた。彼女の赤い目がランプの炎を映していた。そして、彼女はゆっくりと一度だけ頷いた。


「ゴブリン」と彼女はシューと音を立てた。その言葉は今や分析ではなく、裁定のように、俺の任務の必要性への同意のように響いた。「疫病ね」


その瞬間、決断は下された。命令によってではなく、交わされ、受け入れられた誓いによって。俺たちの家は守られるのだ。


その夜は、誰もまともに眠れなかった。俺はライラとマリアと一緒にベッドに横になった。二人は異変を感じ取って、俺のそばに寄り添ってきた。俺は月明かりに照らされた彼女たちの穏やかな顔を見つめ、一つ一つの特徴、髪の匂い、小さな体の温もりを記憶に刻み込んだ。彼女たちのためだ。この平和のため、この無垢のためだ。犠牲は価値がある。


夜が明ける頃には、俺はもう起きて、決して逃れることのできないアイデンティティである革の鎧を身に着けていた。オーロラは台所で、温かいお茶の入ったマグカップと、旅のために包んだパンを持って俺を待っていた。彼女の目は赤かったが、顔つきはしっかりしていた。


別れは、開いた傷口から絆創膏を剥がすように、素早く、そして残酷だった。俺は少女たちの前にひざまずいた。彼女たちはパジャマ姿で、まだ眠そうな目で俺を見ていた。


「パパは、とても大事な仕事に出かけなくちゃならないんだ」と、俺はかすれた声で言った。「オーロラとセラの言うことをよく聞く、いい子でいるんだぞ」


ライラは、すでに喪失を知る子供の鋭い直感で、小さな絹のブローチを俺に差し出した。「これを持って行って、パパ。セラのが私を守ってくれるから。だから、これもパパを守ってくれるよ」


俺はブローチを受け取り、胸が痛むような結び目で締め付けられた。彼女たちの額にキスをし、オーロラを強く抱きしめ、彼女の髪に「戻ってくる」と囁き、そして振り返らずに立ち去った。もし振り返ってしまったら、俺の勇気がくじけてしまうかもしれないと知っていたからだ。


俺が村に向かって土の道を歩いている間、昇る朝日が俺の長い影を前に映し出していたが、俺は知らなかった。もう一つの、ずっと大きく、ずっと静かな影が、納屋から離れていくのを。


セラは、俺が道の曲がり角に消えるまで見守っていた。人間の世界に対する彼女の恐怖は、冷たく現実的なものだった。しかし、彼女に名前と家を与えてくれた男、セレンが、彼女たちを守るために危険を冒しに行くという思いは、耐え難い苦痛だった。彼女が救えなかった人間の家族の記憶が、彼女の意識に焼き付いていた。「二度とごめんだ」。


彼女はその巨体からは想像もつかないほどの幽霊のような俊敏さで動いた。家の方向ではなく、森の縁へと。音一つ立てずに、農場の守護者であるアラクネは木々の間に身を投じた。その新しく、そして脆い…我が家の痕跡を追う、守護の影として。

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