04 キノコの家に住む小人たち
ビタが妖精としてしている仕事は、お届け係です。
木の実をもいだりしたり、伝言を伝えたりだったり、差し入れしたりだったり。
そういう『お届け』をする係のひとりが、ビタの仕事です。
料理番たちが、ビタが届けた食材で『バナナ蜜もけもけ』を作っています。
「注文があったから、もけもけを小人たちに届けておくれ」
とビタは料理番に頼まれました。
キノコの家に住む小人たちの、夜勤にお届け物。
建築に向いているおおぶりなキノコの軸にドアがあって、そこをノックします。
かさの部分はおそらく二階で、赤いカサに水玉模様の丸をくりぬいた窓が開きます。
「なに?」
「もけもけ、届けにきたよ~」
「うほほ」
窓が閉まり、ドアが開き、そして「そろそろ夕暮れだ」と小人が言います。
別の見張りがもけもけを受け取りました。
見張り塔キノコに対して、少しこぶりなキノコがそばにあります。
そのキノコには、上げ下げするスイッチがついています。
「これって、なに?」
「発光するキノコだよ、夜になると光るだろうに」
「あなたたちが、スイッチを入れていたのね」
「これは総電源だよ。見ていくといい」
キノコのスイッチを小人が持ち上げると、キノコが光りだしました。
「綺麗ね~」
「それで今回のもけもけは、なにもけもけ?」
「バナナ蜜もけもけだよ」
「うほほ~、君も一緒に食べていくかい?」
「いいえ、夜勤頑張ってね」
ビタの帰り際、キノコの二階窓が開きます。
口にもけもけが入っていて、もごもご何を言っているのか分かりません。
「なんて?」
ごくんともけもけを飲み込み、再度見張りが言います。
「ありがとう、美味しいって伝えておいて、綺麗な羽根さん」
「分かったわ~」
料理番に言伝して、また頼むよ、と言われて嬉しそうなビタ。
「この係で本当によかったわ」
ビタはわざわざ温め直してもらった野菜のスープと、
バナナ蜜もけもけで夕飯をすませ、
疲れが出たのかその場で眠ってしまいました。
「こんりゃまー、つかれて、ねむっちゃってっ」
ビタにショールをかけた妖精は、普段喋らない美女として有名です。
目を覚ましたビタがショールに気づき、持ち主を探します。
ビタにショールをかけてくれた妖精は、名前をルーアンと言います。
この日からビタとルーアンは、友達になったのでした。




