03 妖精がかけあわせた植物:蜜壺草
「あった、あった、あったよ~っ」
魔法の森の中、葉の群集する場所にその植物を見つけ、
食料調達係の女の子の妖精が、他の妖精たちを呼んだ。
そっちかすぐ行く~、と、少し離れた場所から仲間たちの声がする。
集まった食料調達係たちは、緑の葉のかげに隠れた青い葉とツルの白い花、
『蜜壺草:みつつぼそう』を見つけて、ハイタッチをした。
蜜壺草とは、昔妖精がかけあわせをしたとされる、野生でしか育たない植物。
膜に蜜がたっぷりとたまっていて、
食料調達係たちは、たっぷんたっぷんだ、と判断しました。
蜜壺草は、膜にたっぷんたっぷん蜜がたまっていないと、
収穫したらいけないという妖精の決まりがあるのです。
それからちゃんと感謝をしないと、その美味しい蜜は毒に変わりかねません。
蜜壺草に手を合わせて、
食料調達係たちは、
膜の袋口を押さえながら、
キュポンと引き抜きました。
嬉しさに笑いが出てくる者もいて、
膜はそのままキューっとのばして
袋口をクルリンギュッとしばって、
蜜袋がプルルンとしたら、あとは運びます。
妖精が、またお願いします、と真面目に手を合わせると、
蜜壺草は、プワーっと、膜を作りました。
どうやらいつかまた、蜜を取りに来てもいい、ということらしいです。
「これで、なに作るんだろう?」
おーい、バナナを発見食べ頃だ~っ、と食料調達係の声が遠くからします。
「ワァオっ」
隣にいた男の子の妖精が、すぐに行く~、と返事をかえします。
君は女の子だから、ここで蜜壺袋を持って先に帰るといい、
バナナはそれより重いから
君の代わりに僕が担当するよ、と言って、急いで声の方に飛んで行きました。
そのうしろ姿を少し見送り、女の子の妖精は嬉しそうに声をあげます。
「バナナ蜜もけもけ、作れる~っ」
なぜか周りにいる妖精たちが呆れて溜息を吐き、かぶりを振ります。
まだ恋愛にたっしない、とぼやいたあと、
ほら先に帰るよ、と
蜜壺袋担当たちは、妖精の里に向かって移動をはじめましたとさ。




