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27 最終回 ビタ、人間になる


 ビックリマザーの統率のもと、ビタの親しい面子が洞窟の前にいました。


 聖なる洞窟でのお祈りをしているビタを、待っているのです。


 そしてそこに別れの挨拶をしに来たエリアドルが来て、困惑。


「ビタが俺のために人間の女になるって本当か?」


「そう。ただし、蝶の羽根はなくなる・・・」


「ビタはなぜ羽根が蝶なんだ?」


「ビタは一度羽根をなくして、蝶と合体した・・・親友だ」


「そういうことか・・・なるほど・・・」


 少し考え事を始めたリアドルは、荷物の中から本を取り出していました。


 そこにお祈りを終えて、人間になったビタが出てきます。



 一糸まとわぬ彼女に、妖精たちは白いローブを手早く着せます。


 そしてルーアンが泣き出して、フセンが彼女の背中をさすります。


 ビタのお腹は少し出ていて、ぽっこりとしています。


 そしてエリアドルは本の内容を確認すると、荷物をしまって振り向きました。


 ビタにぎょっとして、「ああ・・・」と少し動揺。


「僕の・・・子供なの?」


「・・・はい」


「産んでくれるって、こと・・・?」


「それは当たり前なのっ」


「蝶の羽根・・・」


 何かを言おうとしましたが、悲しくなってビタは泣き出しました。


「何をにぎっているの?」


 ビタの手の中には、死んだかもしれない蝶がいました。


 エリアドルは「間に合うかもしれない」と言うと、魔法の杖を取り出しました。


「ビタ、本当に僕の子供なんだよね?」


「そうだって言ってるじゃないのっ」


「じゃあ、この蝶を子供にしよう?」


「・・・ん?」


 不思議なことすぎて泣くのを少しやめたビタに、エリアドルが言います。


「お腹の赤ちゃんに、蝶の命を移植する」


「おい」


 そこに現われたのはアリアスで、話を聞いていたのか少し怒っています。


「おじうえは黙っていて下さい。これは僕とビタの問題です」


 眉間にしわを寄せて、アリアスは腕組みをしました。


 ビタが、「エリアドル、そんなことが叶うの?」と聞きます。


「少し特殊な代価が必要だ」


 そう言うとエリアドルとビタの下半身から、光の粒がひとつずつ現われました。


 そしてそれはビタの手のひらにいる蝶を包むと、ビタのお腹に飛んでいって、すと解けるように中に入っていきました。


 周りの者たちは息を呑みました。


「ビタ、何か変化はある・・・?」とルーアン。


「中で、ぱたぱた、って言ってる・・・?」とビタが答えます。


 アリアスが、「まさかホムンクルスにしたのか?」と甥に聞きます。


「おそらくだけど、一生に一度の子供」とエリアドル。


「嫁にするのか、ビタを?」


「はい。どうか祝福して下さい」


「・・・しょうがない。旅路のしたくはととのったか?」


 その時でした。


「うっ・・・え?なんか出た」


 お腹をおさえたビタのローブをめくって、出てきたのは灰色髪の2歳に見える男の子。


 妖精たちは唖然としています。


 エリアドルは「まさか・・・もう出産したの?」とビタに聞きます。


「そうみたい」とビタ。


「おじうえ、どうか祝って下さい」


「あぁ・・・ああ、もう、無理っ。私は違うルートで旅立つ。じゃあな」


 そう言ってアリアスが旅立つのを、見送るエリアドルとビタ。


「追いかけなくていいの?痛みはもう退いたんだけど・・・」


 ふたりは生まれた男の子が、生まれた喜びに笑っているのを見つけました。


「おぱぱーうえ、それと、おままーうえ、僕、蝶としての名前をマークって言います」


「じゃあ、そのままマークでいいだろう。な、ビタ?」


「はい!マーク、ママだよ~」


「わ~、不思議な感じだ~。初めましての久しぶり~」


「寿命はどれくらいなんだ?」とエリアドルがマークに聞きます。


「おぱぱーうえ、と、おままーうえが死んだら、自動的に僕は寿命です。不老です」


「ほうほう」


 ビタたちはマークにローブを着せてやって、


「うまれてきてくれてありがとう」と言祝ぎをしました。


「うれしーなぁ。アリアスおじさま・・・あれ?義理のおじぃちゃん??あれ?アリアスおじぃちゃんは?」


 道を戻ってくるアリアスが来て、


 エリアドルの近くに落ちていたアクセサリーをひろいます。


 そして彼らを見ると、「留まるのか?」と聞かれます。


「人間になったからには、外の世界を知りたい!」とビタが明るく言います。


「ならば着いてきなさい」


 アリアスがそう言って、「急ぐぞ」とマークがせがむのでだっこします。


「名前は?」


「マーク!」


「ほうほう。生まれてきてくれてありがとう」


「うーれしー。あははははは!」


「ビタ、もう時間がないんだ。おぶってでも連れて行くよ」


「荷車が藏之助にあっただろう?」


「そう言えばそうだった」


 魔法石指輪藏之助から荷車を取り出すと、ビタはそこに毛布をしいて座ることに。


 そのまま荷車を押すのはエリアドルです。


「じゃあ、嫁をもらいまーす。皆、達者でなー」


 エリアドルがそう言うと、「おー」と妖精たち。



 妖精達はしばらく彼らの後ろ姿を見ていましたが、ビタが声を透します。


「ルーアン、フセン、私、後悔しなーいっ」


「「それでいいー」」


 

 アリアスは空を見上げました。


「今日は案外と風が涼しいな・・・」



 このお話はここで終わるけど、ビタとエリアドルの幸せはきっと一生続きます。


 そして彼らの子供になったマークも、いつか来る寿命まで幸せに暮らしましたとさ。


 めでたし、めでたし。


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