26 悲しい報せ
ビタとエリアドルが療養している間に、妖精たちは話合いを何度かしました。
そしてビックリマザーが集会で壇上代りの岩にあがり声を透しました。
「ビタを、エリアドルの嫁にするっ」
集会場は歓喜や気合いで腕をふりあげる者たちばかりでした。
ベッドの上で休んでいるビタに、ビックリマザーがお見舞いに来ます。
「ビタ・・・あなた、エリアドルのお嫁さんになりなさい」
「・・・イヤよ!」
その場にいたメリコやビックリマザーのお付きたちが息を呑みます。
「どうしていイヤなの?」
「身体・・・身体の・・・大きさが・・・違う、から・・・」
「人間の女になりたいのね?」
「・・・はい」
「うん、分かった」
ビックリマザーはお付きへの合図に手を2回叩きました。
「なんでしょう、ビックリマザー?」
「エリアドルがそれで良いのであれば、ビタを人間にする儀式をはじめるっ」
「ビックリマザー・・・言いたいことが」とお付き。
「なに?」
「エリアドルはどうも、くすぶっている様子。もう二度目はないんだろうな、と」
「・・・ほーぅ」
ビタはまた泣き出しました。
「人間になったら・・・」
「そうね、人間は動物みたいに明確な発情期がないの」
「エリアドルは・・・」
「魔法使いって言ったって、あいつは私たちから見たら人間、よ?」
「浮気されたくないぃ。人間になりたいーーっ」
メリコが感情を抑えるのが難しくなってきたビタの背中をさすります。
そこにルーアンとフセンがやって来ました。
「ビタに悲しい報せと、幸せかもしれない報せがある」とフセン。
「どうしたの?」とメリコが代わりに聞く。
しばらく「あー・・・」と発するフセンを、横にいたルーアンがひじで小突く。
「エリアドルがこの里を出るって」
部屋の中にいた全員がぎょっとしました。
「それから、ビタ・・・お前、エリアドルとの間に、多分できてる」
「何が?」
「宿してる」
「・・・何を?」
「赤ちゃん、を、だ」
はっと息を呑むビタ。
「赤ちゃん??」
ビックリマザーが「里を出るってどこに行く?」とフセンに聞く。
「はい、先輩!身内が呼び出しをしているらしく、この里から近々出る、と」
「そうだ!!レジェル!!レジェルでまた大きくなればっ・・・」
ビタはそう言って明るくなったかと思ったら、しょんぼりとしました。
「レジェルに言われた。人間になりたいなら、蝶の羽根は無くなるって・・・」
ビタはまた泣き出して、ビックリマザーが優しく言いました。
「泣いていも仕方ないわ」




