23 クラゲ花火の宴の夜に
ついにクラゲさんたちの都合がついた、と
客人をもてなすための宴の準備に妖精たちは大忙し。
「いそげ、いそげ~」
レンチン魔法で料理番たちが作っているのは、もけもけ。
もけもけしい触感と・・・
も・も・もっけもけ、はー☆
も・も・もっけもけ、とうっ☆
と、感覚で歌う不思議なひとならざる食べ物です。
自分でもけもけを名乗っているので、里では「もけもけ」と呼ばれています。
アリアスが持っていたチョコレートとココアとシナモンシュガーのもけもけ。
まるで夢のように美味しいらしい、と料理番たちのうわさ。
「どれも貴重な食材だ~」
と、料理番としてルーアンがぼやきます。
通りすがりの妖精の男の子が、「フセンはくらげたちと交渉中だよ」と近況報告。
「わざわざありがとう」
「いいんだ、いいんだ。じゃあ」
「うん」
冷静を装ってルーアンから離れたその妖精は、
「ラッキー。ルーアンと喋れた~」と嬉しそうです。
さらにそこを通りがかった妖精がそれを聞いていて、「うらやましいぜ」と言いました。
一緒に布を運んでいた嫌味が得意な女の子の妖精が、ふん、とそっぽを向きます。
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そして夜。
宴会の準備は万全で、リンゴ酒で乾杯。
そしてビタはすぐに酔ってしまって、
エリアドルのうわぎポケットの中に入って眠ってしまいました。
ドーン、と音を立てたかと思うと始まったクラゲ花火。
クラゲさん特有の光線が足を勢いよく空に広げることで光っています。
歓声。
音楽隊の太鼓の「ドーン」と言う音に合わせて、クラゲ花火が咲いて行きます。
クラゲさんの都合と言うのは、体調面と精神面と時間帯です。
界隈で一番大きなクラゲさんは、なんと直径が1メートルほど。
金色の成分を持っているそのクラゲさんは、クラゲ花火のフィナーレには最高でした。
ベリーズを数種類、それからベリーズを使った料理、もちろん『もけもけ』も。
シュアザローナのテンプラやおひたし、アリアスたちがくれた乾燥わかめでスープ。
草卵でゆでたまご、魔法レンチンの甘いイモ。
レモンと花を使ったソフトドリンク、貴重なオレンジジュースはエリアドルから・・・
皆がわいわいとしていたのに、ふと沈黙が降りてきて広場が静かになります。
音楽隊も奏を止めました。
皆が言います。
「「ビタと、エリアドルはどこ??」」
リンゴ酒のコップ最後の一口分をくいっと飲み干し、アリアスは冷静に言いました。
「今日の昼、ビタとうちの甥は伝説のキノコの話をしていた・・・」
「それだな」とルーアン。
「多分、レジェルだな」とフセン。
「レジェルはどこらへんに生息しているんだ?」とアリアス。
「「森のどこか」」と複数人。
ん~・・・と、少しうなるようにアリアスが困ります。
「多分、ビタを連れてうちの甥はレジェルを探しに散歩に出たな」




