17 スピルオイル
言の葉紡ぎの歯車が
どうやら軋んでいたらしい
スピルオイルを差すべしな
今、花風息吹き、清くなる
星隠す雲は光を魅せ、
汝、晴れるやと
祝福せしむ
太陽は己の影法師を切り離したか
月の輝きは宝石へと宿ったか
水面は永の時映したか
草木は根を広げたか
主の心に花は咲いたか
気に入った服はもう着たか
旅路に季節はなしとする
春は君、種は花咲待っている
「はぁ・・・歌ったらのど乾いてきた。おじうえ、向こうにひとけありますか?」
「ん~・・・うんうん、額の角が言うに妖精の里の可能性が濃ゆいらしい」
「今更だけど、その髪型なんだか変ですよ」
「外交のための誠意だ。あながち気に入っている」
「じゃあ俺もその髪型にしたほうがよかったの?」
「そたしたら頭おかしいと思われるぞ」
「おじうえ・・・お腹もすいてきた」
「額の角いわく、そろそろ対面なんだそうだ」
「これ、なんだろう?」
側にあった葉の間から蜜壺草の蜜袋をスポンと抜き取って、示す少年の手。
「蜜だな」
「ちょっと味見・・・あ、美味しいな。歯で膜を割ればいいじゃん。
おじうえもどうです?」
「いや・・・いま、角の具合が何かおかしい」
「ふぅん・・・具合悪いんですか?」
「いや、そういうことではないと思う」
パチン、と音がして、どうやら膜を歯で割って味わったらしい。
少年が「めちゃ美味しい」と言って、袋をそこらに捨てた。
「ちゃんと感謝しなさい」
「あ、うん。ごめん」
一方、妖精の里。
ビタは外交役に選ばれた。
ビタの願いで、親友のルーアンと空想係フセンも外交役に。
そして里の代表的存在、ビックリ・マザーも圧倒的な多数決で外交役になりました。
立候補で、小人牛のメリコも同行です。
――
―――――・・・
そして当日。
里の入り口で待っていた外交役たちは、知らせ役の急ぎの報せを聞きました。
「入口とか知らないから、別のところからすでに里に入ってるって。
それから、外交に来たのふたりなんだけど、ひとり里内で行方不明中」
ビタが思わず言いました。
「お届け物係の力を使って、探しに行ってくるっ」
なにを届けるんだい、と知らせ役。
「ん~・・・自分っ」
周りがはっと息を呑むのに気づかず、ビタは飛び立ちました。




