13 植物卵の収穫祭
「あれ?あのこの羽根、なに?」
「ああ、ビタだよ」
「蝶の羽根?」
「そう、蝶の羽根のビタ。お届け物係」
「ほ~・・・なかなか可愛いね」
「あっ。ルーアンもいる」
「ルーアン?あの美女?どこ?」
「最近、ビタとルーアン、仲良し」
「あ。空想屋係のフセンだ・・・髪の毛、短くなってる~」
「さぁ、仕事、仕事」
今日は植物卵の収穫祭。
にわとりの卵に成分や役割がよく似た、
『卵草:たまごくさ』という実が魔法の国にはあります。
一晩でいっせいに実をつけ、収穫できるのはその日だけです。
なので収穫祭を催し、
頭数をそろえてるってわけ。
「よもぎの、天ぷら~♪」
「食べ物のことしか頭にないのかい?」
「なんで?いいじゃん、別に」
「俺の気持ちに、気づいてるよね?」
ねぇ、ちょっとこの微妙な柄はどうしたらいいの、と
蝶の羽根のビタが、
食料調達係の男の子ボリスを呼びます。
ビタたちのところに飛んでいくボリス。
もうちょっとでだったのにぃ、と他の食料調達係たちがぼやきます。
しばらくボリスの案内の様子を見つめていたカリーネが独り言。
「私、どうかしてるのかな・・・?胸が苦しいくらい、ボリス見てる」
「恋」
「なに、それ、美味しいの?」
「いいからいいから、収穫はじめよう」
カリーネはそばにあった星柄の卵草の実を、
ぶちり、と、少し失礼にもぎ、
「あ」
と我に返りました。
「失礼な収穫しちゃった。ごめんなさい」
戻って来たボリスが偶然それを聞いて、カリーネに話しかけます。
「一緒に収穫しよう?」
「なんで私?」
「なんでか、君がいいと思った」
「なんだ、分かった」
「うんうん」
ボリスとカリーネは、収穫をはじめます。
分かったって言ってたけど気持ちに応えるのかね、という意見に、
他の食料調達係たちは、
ぽつぽつ喋りながら収穫祭をつとめました。
「フセンって、ルーアンとビタ両方の恋人なの?」
カリーネの言葉に驚きすぎて、持っていた卵草の実を落とすフセン。
ボリスが様子を見て、少し不機嫌そうに、無事でよかったよ、と言いました。
「まんず、すまね。かわりに、あやまる」
美女ルーアンが文字にするのに難しい発音でボリスにあやまりました。
普通、それがルーアンの喋りかたです。
ボリスはそれを知りませんでした。
ボリスは目をぱちくりさせると、
驚きすぎてどうやら記憶が少しなくなっているようでした。
「・・・え?あ。収穫祭?」
蝶の羽根のビタが、ヒヒヒヒ、と笑い声をあげます。




