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5. カレーを食べながら困ってしまう


 駅から歩いてすぐのところにある結城さんの家に案内された。広い芝生の庭がある、日当たりの良い、白い大きな一戸建てである。防音された広いピアノ室があって、週末はいつもそこで練習しているとのこと。ご両親はこの週末は旅行に出かけて留守だそうだ。

 昼食の用意がされていて、5人で食卓を囲んだ。おいしいカレーだと思ったら、若葉が作ったんだと。


 可愛い女の子たち・・・ひとりは男だけど・・・からなるガールズバントにガールとして参加しろとか言われて、困ったことになったと思った俺は、駅から歩きながらいろいろと考えたことを皆に問いかけた。  

「君たち、予選で選ばれたそれなりに優秀なバンドなわけだし、オリジナルのメンバーの4人でいけばいいんじゃない?こんなことをしてまで俺を加えなくても、4人で全力を尽くして悔いなし、ひと夏の経験といい思い出・・・みたいな」

 若葉が答えた。

「今の兄貴の質問の中に答えがある・・・」

「は?」

 俺が、若葉が何を言っているのかよくわからない、という顔をしたのを見て、和田さんが言った。

「つまり、それなりに優秀、ってとこと、いい思い出ってとこね」

 結城さんが続ける。

「えーと・・・お兄さん・・・は、今のバンドの音で全国で勝てると思いますか?」

 里美さんは黙ってる。

「・・・」

 俺は返答に詰まった。

「・・・いや・・・わからないけど・・・勝負は時の運・・・とか」


 和田さんが説明をしてくれた。

「私たちは、ぎりぎり特別枠で予選を通過したので、地区大会でぎりぎりってことは、全国から集まってくるバンドの中では、下の下じゃないかと思うの・・・だから、出来ることはなんでもしてレベルアップしようということになって、優勝は無理でもせめて決勝までは行きたいな、ってね」

 どうも、全国大会の中でも勝ち上がりがあるらしい。

「レベルアップは良いけれど、誰かほかにギターのうまい子とかいなかったのかね?・・・女の子で」

和田さん「こんな田舎にそんな子はいないし、それに、若葉から話を聞いて、お兄さんだから誘ったんだよ」

結城さん「そういうことです」

里美さん「・・・」

若葉「それにね、ギターが弾けるだけじゃだめなんだよ。容姿も重要なんだよ」

 若葉が言うように、このメンバーは若葉を含めて4人ともみんな可愛い、というかよく見れば美少女と呼んでもいいかもしれないと思うわけで、それに負けない容姿をもっていて、その上ギターの上手い女子高校生なんてこの田舎にそうそういない、ということはよく理解できた。

 で、若葉の推薦で、俺を引っ張り込もうとしているわけなんだよね。

 これは、ますます困ったことになってきた、と思った。なぜなら・・・


「兄貴ならみんなとうまくやれそうだし」

「若葉のお兄さんだから、いろいろと大丈夫そうでしょ」

「若葉からいろいろ聞きましたから」

「うん・・・」

 俺が処分し損ねた録音を聞いて、みんな乗り気になったんだっけ。


 俺はもう1つ聞いた。

「でも、だますにしても、俺が高校生は無理じゃないか?」

「ガールズっていっても、高校生でなくてもいいんだよ。兄貴」

 ここまで言われると、むげに断ることも出来ずに、何も言えないまま困ってしまう俺がいるのである。なぜなら・・・


「じゃあ、兄貴、ここに服とか一式あるから」

「試しに着てみてもらえないっすかね」

「鏡で自分の姿を見てもらえば、納得すると思います」

「うふふふ・・・・」


 もう俺の衣装があるだなんて、譜面だけじゃなくて、いろいろときちんとしてるんだね。

 しかし、高校生でなくてもいいとか言っておきながら、そこには、皆とお揃いの女子高校生制服が用意されていた。

 おしゃれなかわいい制服に長い黒髪のかつら・・・下着はないけど、髭剃りとか・・・

 本当に、まずいことになったと思った。なぜなら・・・


 カレーを食べ終わった俺はその衣装を持たされて、風呂場の脱衣所で着替えることとなった。




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