インターミッション 1
千草たちWBSYの知らないところで、もちろん、竹内プロデューサーをはじめとするMHプロダクションの関係者もまったく知らないところで、ある陰謀が秘密裡に企まれていた。
そして、その準備は着々と進んでいたのである。
ここは、MHプロダクションと並ぶ大手の芸能プロダクション、YYプロダクションの本社ビルの一室である。
ビジネススーツに身を包んだ50代の女性が、部下の若い男ふたりに強い口調で言った。
「準備は順調に進んでいるかしら」
ふたりの部下が答える。
「はい、青山部長、MHプロのガールズバンドの大会を失敗に追い込む作戦は着々と進んでおります」
「今、いくつかの作戦が立てられており、どれも準備は万端です」
部下たちの報告を聞いて、青山部長は不敵に笑った。
「ガールズバンドはこれから伸びる分野よ。新規参入するところに、大々的な青田刈りをさせるわけにはいかないの」
「はい」
「手段は問わないから、好きなように、そして大々的に妨害なさい」
「はい。おまかせください」
「でも、うちがやってるってばれちゃだめよ」
「はい、わかっております」
青山部長とその部下たちは、大会の失敗を確信して静かに笑うのであった。
第一部終了、次回から第二部です。




