表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

19/59

19. いろいろと忙しい毎日なんです


 それから、頻繁に、佐藤さんに呼び出されるのである。


 喫茶店で待ち合わせてふたりでお茶を飲んだり、あるいは駅で待ち合わせてふたりで夕飯を食べたり、時には少し飲んだりして、いろいろな場所でデートを繰り返すのだが、べつに親密な関係の男女って感じには全然ならなくて、いつも、なんだか、ガールズトークしている女友達って感じになってしまうのである。

 デートの度に、毎回、佐藤さんに女子度を採点されるのだが、私って見た目は美少女のはずなのに、細かいところでいろいろと駄目なところが多くて、いつも合格点はもらえないのである。それがなんだか悔しくて、女子度を上げることに熱心になってしまって、それが女友達になっちゃっている原因なのかもしれないのである。


 帰宅後も、女装姿で生活して、ひとりで佐藤さんから指摘された女性っぽい仕草のポイントとかの復習をしたりしている日々なのである。


 お化粧の練習もするんだけれど、これが意外と難しくて、すぐお化けみたいな顔になってしまうのである。ロックバンドなんだからそういう派手なのもありかもしれない、とか考えたりするのだが、たぶん和田っちは乗るかもしれないけれど真面目な紅緒あたりが却下するだろうな、とか考えて、佐藤さんが言うようにナチュラルメークというやつを目指して練習を繰り返すのである。


 ギターを弾いていても、男と女で演奏するスタイルのかっこよさが違うので、鏡を見て立ち方の研究をするのである。


 毎日こんな風に美少女な自分を鏡で眺めていると、完璧な女子になるためのこうした面倒なことも、なんだか楽しくやっている私がいるのである。


 そんなことをしているので、大学の同級生からの遊びや飲みの誘いはきっぱりと断るのである。

「悪いな。今、いろいろと忙しいのだ」

「女だな」

「女だろ」

「誰だよ」

「ああ、まあ、その、お前らの知らない娘だよ」

「うらやましい」

「うまくやれよ」

「ヒューヒュー」

 まったく、みんないい野郎どもである。

 バンドメンバーの女子高校生たち・・・ひとりは弟で男なんだけど・・・や、そのお姉さんとお付き合いしているのは事実なんだけれども、決してヒューヒュー言われる関係ではないのである。

 それから、女になる練習をしているなんてことは決してやつらに知られてはならないのである。


 女装で・・・そのうえ、カツ丼、海鮮丼・・・そして天麩羅定食・・・なのに、なんでこんなにのめり込んじゃったのかは自分でも謎ではあるのだけれども、なんだか毎日が充実しているのは確かなのである。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ