世界を交換してみたら、案外しっくりきてしまいまして。
それは、この世のバグだった。
例えばの話。
「人間関係が難しくて」
『人間関係に疲れていて』
「家庭環境に悩んでいて」
『家庭環境に絶望していて』
「やりたいことなんて何にも見つからなくて」
「このしがらみから解放されて、本当にやりたいことに目を向けたくて」
似ているようで、似ていない。
そんな2人の女の子が、それぞれの世界に存在したとき。
「彼氏…ほしいな」
『あんなお方と婚姻だなんて…!絶対に嫌!』
世界が、何らかのバグを起こしたとして。
「きゃっ?!」
『…っ?!なんですのっ?!』
|或《・》|る《・》|場《・》|所《・》で、それは人知れず起きー…。
「……」
『……』
杏奈はアンナへ、アンナは杏奈へ。
意識だけが入れ替わってから、この物語は始まったのです。
プロローグ
2023/11/01 05:20