53、さあ皆集まってダンジョン攻略が始まるとでも思っていたのか(始まります) 【1時間目(1)】
今回、生徒視点です。
題名はブロッコリー風味
〜ヴェキルド視点〜
ダンジョン攻略が始まった。
俺は正直舐めていた。
授業だからそこまでぶっ飛んだことはしないだろう、と。
そう思っていた。
だが、蓋を開けてみれば・・・。
「1階層は迷路のフロアか・・・」
なぜダンジョンを授業のために作る!?
しかもかなり難易度の高いものを!?
そもそもなぜダンジョンを作れる!?
とまあ色々と突っ込みたくなるが、俺は由緒正しきルベフォード帝国公爵家の人間だ。
口にはしない。
「あ〜。めんどくさいっ!わたし、いんどあはだよ」
スミラ殿下が何かを言っている。
そもそも流暢に喋れるはずなのにわざと幼稚な喋り方をしている理由は謎だ。
スミラ殿下が皇女だということに気がついたのは自己紹介のときだ。
いや、それ以前にも疑念はあった。
ただ、自己紹介の時に確定した。
殿下は自身のことを皇女だと言わなかった。
まだ殿下の一般人へのお披露目はまだ行っていないため、クラスで殿下を皇女だと知ってる人は恐らく担任と俺だけだろう。
何?担任が知ってると思う理由?
あの人(?)は色々と規格外だからだ。
「スミラちゃん、面倒とか言っちゃだめ」
珍しくレーミャが口を開く。
無表情で言うから反応に困る。
「オレはダンジョンが楽しそうだからそろそろ行きたいがな」
ロレドラスは自分勝手だな。
まあそれが長所になるときもあるだろうが。
「まあそうですね。一応チームということらしいので、まずは1階層の攻略を目指しますか」
ラルトの意見に俺も賛成だ。
あの担任が俺たちを2つのチームに分けた。
俺、幼稚な殿下、無口無表情女、自分勝手竜人、まとも枠のチームで1つ。
煽り野郎、まとも枠、職人、男の娘、記憶喪失女のチームでもう1つだ。
この2つのチームでそれぞれ攻略を進める。
「まずは迷路を少しずつ進むか。もう一つのチームはもう先に行ってしまったからな」
俺たちは迷路を進み始めた。
〜ここからテイセ視点〜
「キュウ」
「ウサギ・・・?」
第1階層の迷路を進んでいると、ウサギが飛び出してきた。
そして僕たちは瞬時に理解する。
「ダンジョンの魔物だっ!」
困ったら《鑑定》!!
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
種族:ラビリンスラビット(ダンジョン産魔物)
レベル:50(固定)
攻撃力:1000(固定)
知力:1000(固定)
防御力:1000(固定)
精神力:1000(固定)
素早さ:1000(固定)
魔力:10000(固定)
魔法:空間魔法
スキル:《魅了》《身体強化》《蹴の頂》
称号:通称”ラビラビ”
ランク:B
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鑑定の表示方法が少し前に変わった。
僕だけかもしれないから、他の人にも聞いてみたが、皆表示方法が変わっているとのこと。
・・・《空間魔法》!?
「気をつけて、このウサギはかなり強い!空間魔法を持っている!」
「早くそれを言えよっ!」
ドサタカルくんが空間の圧縮によるウサギの高速移動攻撃を食らって吹っ飛ばされる。
「ちょっと?大丈夫なの?」
「他所見は不味いっ!避けて!」
「キュ」
「?、あっ・・・」
リュケさんが呆気に取られている間に空間魔法により転移されてしまった。
「ちょっと不味いね・・・」
「どうするの?僕はできる限りのことをするけど」
不安気なライサくんが話しかけてくる。
「僕のスキルを使う」
僕が自身を持っているスキルの1つ。
「どんなスキルなの?」
「見れば解るよ」
スキル・・・《勇者》発動!
めっちゃウサギが強そうですが、このダンジョン最弱の魔物です。
ちなみにウサギがキュと鳴くときは命の危機とか酷い恐怖とかの時らしいです。
次回からペースを元に戻せそうです。
題名の元ネタ『さあ皆集まって、ちび●る子ちゃんが始まるとでも思っていたのか』




