21、封印からの開放
新章開始
〜三人称視点、ルベフォードで〜
異花が封印されてから、かなりの年月がたったある日のこと。
ルベフォード帝国の龍神の神殿で、信託が下されていた。
「おお、龍神様からの信託じゃ。なになに?『元ハルサーム王国の王都に行き、神殿にある”封印解除の秘宝”を使え。そうすれば、今の時代…”混沌の時代”を乗り越えることができるだろう』?大変じゃ、皇帝テギメキバ様に許可をもらって行かねば」
そうして、彼・・・神殿長であるラドラは、皇帝に許可を貰いに行った。
「テギメキバ様、龍神の神殿の神殿長が謁見を望んでいます」
「通せ」
「はっ」
「テギメキバ様、ラドラでございますじゃ。先程、信託がありまして、”混沌の時代”を乗り越えられるかもしれないのじゃ。だから、”封印解除の秘宝”を持って元ハルサーム王国の王都に行かせてほしいのじゃ」
「”混沌の時代”を乗り越えられるだと!?許す、元王都へ行け」
「ありがとうございますじゃ」
こうして、神殿長は、元王都へいくことになった。
〜元王都で〜
元王都に神殿長は、たどり着いた。
元王都は今は人気の無い廃都となっている。
だが、その領域に着くと、”封印解除の秘宝”が勝手に動き始めた。
「この、秘宝が動く方に行けということかの」
神殿長が行くと、そこには1つの鍵穴がついた扉があった。
扉の前に行くと、”封印解除の秘宝”が鍵の形に変形した。
「鍵を開けろということかの」
そう言って、鍵を開けると銀髪黒目の15歳ぐらいの少女がいた。
そして、彼女は言った。
「え?だれ?」
〜異花視点〜
私は封印された後、まずは脱出しようと試みたが能力が封印されていて脱出をすることができなかった。
封印されたとき、私は別空間に飛ばされた。
片方が白もう片方が黒の倒れた砂時計の形をした封印空間だ。
砂時計なのに、砂は無かった。
私は砂時計の白と黒の境界で砂が通るところに封印されていた。
特に何もすることなんてなかった。
ただただ時間がすぎるのを待っていた。
まあ暇だったから、創造神の記憶を反芻していたけど。
あと、『器』についても考えていた。
それ以外は、ぼーっとすることと寝ることぐらいである。
記憶を反芻していると、創造神とは別の記憶もあった。
その記憶はぼやけていてよくわからない。
そんなことをしばらくやっている時、突然眼の前が明るくなり始めた。
気になって進んでみると、そこは外だった。
そして、老人がいた。
「え?だれ?」
思わず呟いてしまった。
「儂はルベフォード帝国の『龍神の神殿』の神殿長、ラドラじゃ。嬢ちゃんの名前は?」
「私は異花。ルベフォード帝国?王国じゃなくて?」
私の記憶だと、ルベフォード王国だったと思うのだが・・・。
「ルベフォード王国は、1000年ぐらい前にルベフォード帝国に変わったのじゃ」
「1000年!?私そんなに封印されてたの!?・・・何で王国から、帝国に変わったの?」
そんなに私は封印されていたのね・・・。
「大陸を統一したからじゃ。たしか、『厄災の日』をきっかけに、ガバダナ帝国が滅びたからの」
「『厄災の日』?」
なにそれ。
「邪神魔帝王を名乗る奴が、『精霊神の消失』をきっかけに、この大陸『巨大大陸ビッグプレーン』に攻めてきたのじゃ。そして、たったの一日でガバダナ帝国の当時最強の軍を無傷で破壊し尽くしたのじゃ」
あれ、ガバダナ帝国の最強の軍ってGのようにしぶといんじゃなかったっけ?
それを一日とは神クラスの強さかな?
「その後、ハルサーム王国、シュドース王国の順で一日ごとに国を滅ぼしたのじゃ。その後、ルベフォード王国にやってきて、ハルサーム王国から来ていた勇者達によって、邪神魔帝王を倒したのじゃ。そして、その後、ルベフォード王国が、この大陸すべてを統一して、ルベフォード帝国になったのじゃ。これが『厄災の日』じゃ」
ちょ、聞き捨てならない単語が聞こえた気がする。
あと勇者たちって鈴音たちだよね。
鈴音たちのステータスでは亜神クラスでもまだ勝てないと思うんだけど・・・。
亜神クラスではガバダナ帝国の軍は一日で潰せないはずだから、神クラスだと思う。
じゃあどうやって鈴音たちは倒したんだ?
「『厄災の日』以降、魔物が強くなって出てくるようになり、いつの間にか邪神魔帝王も復活していたのじゃ。そして、今は”混沌の時代”と呼ばれておる。お主を封印から開放したのは、龍神様の信託のおかげじゃ。龍神様に感謝せんとの」
龍神が助けてくれたのね。
感謝感謝。
そんなことよりも、情報量が多い。
「ガバダナ帝国の壊滅?ハルサーム王国とシュドース王国の滅亡?邪神魔帝王を倒した?”混沌の時代”?」
「混乱しておるの・・・少し待つわい」
ありがたい。
情報の整理をしたい。
しばらくして、またラドラが話し始めた。
「落ち着いたかの?・・・そういえば、お主なぜここに封印されてたのじゃ?」
「たしか・・・邪神の奴に封印された気が・・・」
記憶の反芻に時間がかかったから、忘れかけている。
「邪神?邪神魔帝王のことかの?」
「邪神と邪神魔帝王は同一人物じゃなかった気もするけど・・・」
流石に邪神ではないはず。
邪神は流石に名乗るときは邪神と名乗っていたはずだから。
「同一人物じゃないじゃと?」
「詳しいことはわからないから、その当時から生きている人に聞かないと・・・」
「1000年前からずっと生きている人などおらんぞ・・・」
誰かいたような・・・。
「あ!ハイエルフの人たちに聞けばいいのか」
忘れてた。
「ハイエルフは、シュドース王国の滅亡によって、どこかに隠れてしまったのじゃ・・・」
森の奥深くとかに居るでしょ。
「まあ探せばいるとは思う。ハイエルフの友人がいるし」
「ところで、どうやって探すのじゃ?」
「それは、スキルで・・・あ、ステータスが消されたんだった」
忘れてた。
でも、大丈夫。
『器』についての検証はすべて終わっているから。
『器』によるスキルでいける。
「ステータスが消されたじゃと?確か古い文献によると、『精霊神の消失』のときに、精霊神のステータスが消されて封印されたと書いてあったが・・・お主、もしかして精霊神なのかの?」
「元精霊神だけどね。今は、自分が何なのかがわからない」
何の種族かも調べなきゃね。
ただ、見た感じ類人族とかではなさそうだし、神族でもなさそう。
「龍神様の神界へは行けるかの?」
「たしか1回行ったことがあるけど・・・行けるかはわからない。そういえばルカ達大丈夫かな」
ルカ、ラト、ミレ、スクイ、フィン、オリハルコン隊、カイ、フェリア、ルミ達は大丈夫かな。
そういえば神界ってどうなったんだろ。
今度行ってみよ。
「ルカ?ルカフィリート様のことかの?」
「そうだけど・・・何でそれを?」
1000年の間になにかあったの?
「ルカフィリート様は厄災の日に、ルベフォード王国に逃げてきたのじゃ。今も元気なのじゃ。もしかしてルカフィリート様と友達なのかの?」
「そうだけど、今どこにいるの?」
ルカが生きているならよし。
「ルベフォード帝国の帝都じゃ。では行くかの?」
「歩いて?」
「そうじゃ」
『転移』で行きたい。
あ、今、《時空魔法》ないんだった。
「魔物とか盗賊とかいないの?」
「いるのじゃ」
「安全なの?」
「結界の魔法道具があるから大丈夫なのじゃ」
「ならいいか」
結界の魔道具ということだから、かなり強いと思う。
こうして、私は封印が解かれ、ルベフォード帝国の帝都へ行くことになった。
封印解放早すぎるって話




