20.5、勇者たちの強化訓練
勇者たちの回です
三人称視点です
異花が胡椒を探し回っている頃、勇者たちは訓練をしていた。
場所は、迷宮だ。
迷宮とはその名の通り迷宮で、ダンジョン中では魔物が湧く。
迷宮では、魔物の死骸が残らず魔物を倒すたび『魔石』をドロップする。
この『魔石』が、高値で売れるから、冒険者たちはみんなこぞって迷宮に行く。
ただ、中では罠があったり、大量の魔物がいるため、危険が伴う。
勇者達は、異世界からの転移者ということで元からかなり強くなっているため、迷宮への探索が許可されている。
この日、初めて迷宮に向かった。
ハルサーム王国の王都の中には迷宮はないが、王都から日帰りで向かえる初心者向けの迷宮があり、勇者たちはそこに向かった。
『ノンハド迷宮』という名前だ。
「あれが『ノンハド迷宮』ですか…」
「『ノンハド迷宮』を攻略して強くなるぞぉ」
「迷宮に反応して左手が疼く…鎮まれ我が左手!」
・・・若干厨二病の奴がいたが、彼らは迷宮に潜っていった。
・・・先に言っておこう。
初心者向けとはいえ、迷宮は迷宮だ。
勇者たちが迷宮に入ってしばらくすると、魔物が湧いてきた。
「何あれ・・・気持ち悪っ」
「あれが・・・魔物?」
そこには、台所によくいる黒く光る蠢く、人類の敵であるGのデカいやつがいた。
1メートルぐらいだろうか。
勇者たちを見つけると襲いかかってきた。
「気持ち悪い・・・」
「『鑑定』・・・名前は、コックローチだそうだ」
「完全にGじゃねぇか」
「こんなとこにも奴が…」
「駆逐してやる・・・この世から・・・一匹も残さず・・・!」
ここはダンジョンだから、リスポーンするけど・・・。
「Gは、殺虫剤を使おう。・・・『殺虫』」
とある生徒が、スキルを使った。
すると、Gが苦しみ始めて、死んだ。
「『殺虫』強いな」
「まだ・・・まだGの気配がする・・・駆逐すべき・・・」
「お、なにか落ちたぞ、あれが『魔石』か?」
「多分そうだろう・・・レベルが上ったぞ!」
「ほんとだ」
「私も」
「俺もだ」
「我が深淵が深まり、我の力が強まった・・・封印されし力を解き放つ時は近い!」
若干厨二病末期患者がいるような気がするが気にしないでおこう。
だが、そんなワイワイとした声につられて、たくさんのGがやってきた。
「えっ・・・Gの援軍?」
「うわっ、本当に1匹見つけたら30匹はいるんだな・・・」
「おい、『殺虫剤』くん、やってくれないか・・・?」
「あれは一匹対象だから無理」
「じゃあどうするんだよ・・・」
「逃げるんだよぉ」
そう言ってみんな一目散に逃げ出した。
「見えた・・・出口だ!」
「急げ、追ってくるかもしれない」
「ここまで来たら大丈夫だろう」
フラグ建築王さんの山田太郎氏がやっちまいました。
「え、ちょそれフラグだって」
「大丈夫、大丈夫、問題なんて無いさ」
そう言った途端、奥から、さっきのGよりもデカいやつが出てきた。
「うわっ何だあれ・・・」
「『鑑定』・・・げ、キングコックローチ!?」
「Gの上位種じゃん」
「やばい、逃げないと」
Gから逃げ出すと、外に出れた。
その後、迷宮の門番の人に、キングコックローチがいたことを伝えたが・・・
「キング?いるわけ無いじゃないか」
と言って相手にされなかった。
キングは、魔物の上位種で、進化や突然変異などで出現する。
そして、その魔物よりも遥かに強いステータスを持つ。
本来、この初心者向けの迷宮である、『ノンハド迷宮』にいるはずがないのだ。
だから、なにかイレギュラーなことが起きた以外には、起こるはずがない。
そして、イレギュラーの原因となったことが、勇者たちに、聞こえてきた。
[精霊神が消失し、封印されました]
そう、異花の封印である。
ちなみに、後日偵察に行った門番はその門番の管理人にこういったそうだ。
「何の成果も・・・得られませんでしたっ!」
Gが家に出ました
異花の封印の影響とは……
異花の身長を150センチから、155センチに変更
150は低すぎた気が…