13、魔王さんこんにちは
私は魔王バベルニカと対峙した。
「魔王さんこんにちは、なにか用?」
「あ、異花様こんにちは。魔神様からの命にて、ここに来たハルサーム王国への使節団を止めるよう言われておりますので悪しからず」
そうか、奴ね。
「ふーん。じゃあ直接聞きにいかないとね。ちょっと聞いてくる」
「え?異花様?」
魔王が困惑しているが、無視。
「みんな、ちょっと行ってくるね」
『はい?』
「じゃあがんばって」
私は、魔神の神界へと転移した。
いつ来てもやばいとこだなぁ。
{ほんとあの神の趣味悪い}
悪いってレベルじゃないけど。
魔神に神界は、魔神に連れてかれて何回か来たことがある。
そしてその神界は禍々しい植物や動物がたくさんいる。
さすが『魔族の神』であり、『魔物の神』であり、『魔術の神』である。
魔神の名前はバデラメス。
ちなみに、私はバデと呼んでいる。
魔神と言っても悪い奴じゃないし、私がよく話す神でもある。
しばらく歩いて行くと、バデラメスが座っている髑髏の玉座までたどり着いた。
「お、異花か。どうした?」
どうしたじゃないよ。
「なんであそこを通っちゃダメなの?」
「そこか・・・。まあ簡単に言うと、ルカが暗殺されるかもしれん」
「ん?なんでルカ?」
ルカ関係あるっけ?
{無いと思うけど・・・}
「まあ一国の王女であり、転生者であり、膨大なスキルを持っているからだ」
「『未来視』の限りでは、殺される未来は見つからないけど?」
殺される未来は見つかってない。
「まあ一応不安なのだ」
そう言いつつ、バデラメスは顔を赤く染めてくねくねしていた。
男のくねくねしている様子に需要があるのか・・・?
{特殊な性癖の方には需要があるかもね}
「んん〜?バデ、もしかしてルカのこと気になってるよね?」
「そ、そそんなことないぞ」
ものすごい動揺。
{異花ぁ、こいつ嘘付いてるよ}
やっぱりね。
結ばれるのかはルカ次第かな?
「はい、こいつルカに恋してます。まあルカは私が守るし、なんだったら結界魔法付き御守りでもあげたら?」
「そうだな・・・よしこれをルカに渡してこい!」
バデラメスは速攻で結界魔法付き御守りを作った。
「自分で行けば?」
自分で渡すもんでしょ普通。
「それは、は、はは恥ずかしいのだ」
「えー」
自分で渡さなきゃ気持ちは伝わらないよ。
「仕方があるまい。『指令』『ルカにこれを渡せ』」
「うわ『指令』はないでしょ」
「そちらが拒むからだ」
『指令』とは神が自分より下の強さのものに強制的に物事をやらせることができる。
同格の神同士ではできないが序列があり、下の序列には一応できる。
序列はその神の強さで決まる。
序列順
1位:創造神
2位:魔神
3位:精霊神
4位:龍神
5位:邪神
これが上位5名である。
何故か私が序列3位にいるが、精霊とは万物に宿っているため、その神は必然的に強くなるらしい。
だが、魔神は序列2位のため『指令』される。
めんどくさいと思いつつも、ルカのためだから私は渡すことにした。
「じゃあ渡すから、通せるようにして」
「わかった」
話が早くて助かるよ。
「あと、バベルニカも戦闘狂だから気をつけろよ」
「あいつも!?まあいいかとりあえず戻る!」
お願いだからスクイと戦ってないで。
戦闘狂は止めるのが大変なんだよ・・・。
そうして私は元いた場所に戻ったのだが・・・。
そこでは、スクイとバベルニカが戦っていた。
{あーあ。戦ってるねぇ}
カイは呑気に何言ってるの!?
止めるの面倒だよ絶対。
まあ、魔神のところに行っていた私も悪いんだけどさぁ・・・。
「おーい!なにやってんのよ!?」
「あの魔王と戦いをしてるのでございます」
知ってるよ!
今戦いをする必要ある!?
「もう戦わなくていいからね」
「いやまだ戦いは途中で・・・」
途中でもおしまい。
時間もないから行きたい。
「あいつはもう帰らせるよう言ってきたから、戦うのは次の機会ね」
「そんなぁ・・・」
そんなおやつがお預けになった犬みたいに悲しそうにしないでよ。
そもそも、イカでしょ。
犬じゃないでしょ。
「異花様、スクイもそのように言っていることですし、戦わせてください」
「バベルニカもそんな事言わないの。仮にも貴方の信仰する魔神の命令だよ?」
こいつ、自分の主の命令を無視する気かな?
「で、ですが・・・」
「異花様ぁ、魔王も言っております。戦わせてください!」
スクイは一旦調子乗るのやめようか。
「また別の機会でいいでしょ・・・。そんなこと言ってないで行くよ」
「はい・・・」
スクイを黙らせたあと、みんながいる方に行くと、何故か皆私に頭を下げていた。
『精霊神様とは知らず申し訳ございませんでした』
口を揃えてそんな事を言う。
「え?そんなこと言ったっけ?」
{異花は言っていないと思うけど}
『あの魔王が言ってたじゃないですか』
「あ、そうだった。あの魔王許さん。あと、このことは門外不出ね《契約》で縛るからね」
契約でこの情報を縛ると、また王都の方へ向かい始めた。
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その頃王都では・・・
「なんじゃと!?魔族と魔王が出てきただと・・・?」
「はい魔力感知系によるとそのようです。魔族はそこにいた者によって討伐されましたが、現在魔王と交戦中のようです」
「うむむ、何故いきなり魔王が?」
「まだ勇者の準備が整ってませんし、戦っている者の勝利を願いましょう」
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1時間後
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「魔王が引いた?死んではないようじゃが・・・」
「それが、そこにいる者によって帰らされとようでございます」
「まあ脅威が引いたのなら良い。そこにいた者に、褒美を与えよう。して、そこに居た者の名前は?」
「調べます」
こうして、魔王達の脅威から、王都は救われたのだった。
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その頃、勇者達の訓練所では...次に訪問するシュドース王国についての話題で持ちきりだった。
エルフが実際に見れて、面会もできるから尚更である。
こうして、異花達はハルサーム王国に着いたのだった。
色々と出てきましたね